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公開されたUSDT(テザー)の裏付け資産、専門家が「問題点」を指摘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

テザー社の準備資産構成を批判

今年中に開業が予定されている米国の暗号資産(仮想通貨)銀行、アバンティ銀行(Avanti Bank)の創設者兼CEOのケイトリン・ロング(Caitlin Long)氏が、テザー社が発行するステーブルコインUSDTの準備資産の詳細発表についてコメントを発表した。

ロング氏は、仮想通貨市場にとって「イーロン・マスクやバイナンスのニュースよりもはるかに重要」なのは、USDTの準備資産の情報公開だとしたうえで、内訳の内容は「大きなネガティブ・サプライズ」になったとコメント。これに続く一連のツイートで、その理由を解説している。

USDT内訳

2021年3月31日付の準備資産の詳細は以下の通り:

  • 75.85%:現金及び現金等貨物、その他の短期預金、コマーシャルペーパー
  • 12.55%:担保貸付金
  • 9.96%:社債、ファンド、貴金属
  • 1.64%:その他(デジタルトークンを含む)

出典:Tether

さらに、76%近くを占める「現金及び現金等貨物」の内訳は以下のような構成となっている。

  • 65.39%:コマーシャルペーパー
  • 24.12%:信託預金
  • 3.87%:現金
  • 3.6%:リバースレポ・ノート
  • 2.94%:短期国債
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テザー社の信用リスク

ロング氏は、USDTの準備資産の大半が、短期国債や低リスクで流動性の高い証券ではなく、「品質のよくわからない信用資産」に投資されていることを問題視。同社のポートフォリオは社債の金利リスクやコモデティリスクを含んだ「クレジットのヘッジファンド」のようだと批判した。

公開されたUSDT準備資産の約半分はコマーシャルペーパー(CP)として保有されているが、契約先企業など、その詳細は一切明らかにされていない点を懸念した。

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ロング氏は、なぜテザー社が、ユーザーが支払った準備金で、これほどのリスクを取る選択をしたのかと疑問を投げかけ、準備資産はヘッジファンドの「遊び道具ではない」と強く非難した。

なお、テザー社の準備金ポートフォリオの総額、582億ドル(約6.3兆円)の利回りを、控えめに1%だと仮定したとしても、同社には年間5億8,200万ドル(6300億円)の利益が入ることになると同氏は試算している。

仮想通貨市場とクレジット市場が相関する可能性

「テザー社が準備金を投資することで、事実上のクレジット・ヘッジファンドであり続けるならば、ビットコインと仮想通貨の価格は、クレジット市場と高い相関を示す可能性が高くなることは予想に難くない。」とロング氏は指摘。「両方の市場は、おそらく同時に修正されるだろう」と付け加えた。

同氏は、クレジット市場が調整された場合、USDTが米ドルに対し、額面以下で取引される可能性のリスクが高まったと警告している。そうなると、仮想通貨市場も共に下落する可能性が高いとした。

ロング氏は、テザー社の準備資産公開が、仮想通貨ヘッジファンドがUSDTの保有を減らす行動に結びついたと見ている。そして、USDT以外の仮想通貨もポートフォリオのエクスポージャーを減らすために、売られる結果となったと説明した。

JPモルガンのアナリストは、今年2月に発表されたレポートで、何らかの原因でUSDTの信頼性が損なわれると、ビットコイン市場に「深刻な流動性ショック」をもたらす可能性が高いと指摘していた。

ステーブルコインの重要性

ロング氏は、ステーブルコインは「仮想通貨と米ドル間の非常に重要な架け橋」であり、現時点では、米国の規制当局がステーブルコインを受け入れることが、仮想通貨業界にとってベストだと主張している。

同氏はUSDTを「重要な決済技術」と評価しているだけに、テザー社の準備資産配分の選択と、完全なリスク開示を行わないことは、リスク開示を重んじる規制当局の心証を害す可能性があり、業界にとって手痛い機会損失だと嘆いた。

アバンティ銀行のステーブルコイン

ロング氏が開業準備を進めるアバンティ銀行は、特別目的預託機関(SPDI)として、米ワイオミング州で設立されている。ワイオミングの州法は、SPDIが顧客預金に対する準備金の100%を、現金もしくは短期国債等で保有することを求めているという。

そのため、同行が計画している独自の米ドル建てステーブルコイン「AVIT」はUSDTの「ビジネスモデル」とは、全く異なる運営方法をとり、その準備金でリスクを取るようなことはないと、ロング氏は強調した。

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