はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

大手ICO評価サイト:ICOの46%は事業計画なしで開始している

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ICOの市場調査
ニューヨークやシンガポールなどにオフィスを構える「ICO Rating」が、2018年第一四半期のICO市場調査報告書を公開しました。市場規模が拡大の一途を辿る一方で、多くのICOでは事業計画がないに等しい状態でローンチされていると指摘しています。
2018年第一四半期の現状
現時点のICO市場規模、内容、成熟度、地理など、あらゆる側面から現状分析を行い、今後改善が必要な部分、すでに改善されつつある部分についても言及しています。

ICOの現状

ICO Ratingが発表した「ICOに関する2018年第一四半期市場調査報告書」にて、興味深い統計が明らかになりました。

2018年第一四半期のICO市場調査によると、数多くのブロックチェーンプロジェクトは”ローンチ時点で何の成果も挙げていない”のにも関わらず、機関投資家が多額の出資を行っていることが明らかになりました。

この調査は、その名の通り「ICOの評価」を行い、アムステルダム、ニューヨーク、シンガポール、サンクトペテルブルクにオフィスを構える「ICO Rating」という機関によって執り行われたものです。

公式ウェブサイトによると、その分析チームは、”ブロックチェーンや仮想通貨、ICO/ITOの分野における企業の評価に特化した”50人以上の専門家によって構成されたものになります。

注目すべき数値

同報告書によると、2018年ですでに412件のプロジェクトによって33億ドル(約3600億円)の資金調達が行われたと報告されています。

この数字は、プレセールで未達に終わったプロジェクトや、17億ドル(約1850億円)を調達したものの途中で廃止されたTelegramのケースなどを除き、完了されたICOの資金調達のみで算出されています。

未達のICOを含めた場合、その資金調達総額は、63億ドル(約6870億円)以上に上ります。

2017年にICOによって調達された資金額のほとんどが、少数のプロジェクトによって調達されており、報告書によると、このトレンドは2018年にもある程度続くと予想されています。

さらに、現時点までに半数ほどが「10万ドル(約1,000万円)」以上の調達に成功しており、「10億ドル(約1,000億円)」以上は、わずか20プロジェクトで調達されたと報告されています。

またICO全体の約9%が既存のビジネスに関連づけられたもので、驚くべきことに全体の46.6%がICOキャンペーン前に、”何の成果も挙げていない”ことが明らかになっています。

つまりそれらのICOは、ほぼアイデアの強みだけで、資金調達を行っている現状があるのです。

ICO RatingのCEOを務めるSasha Kamshilov氏は、「既存ビジネスにおける商品に対して、ブロックチェーン使用も可能性の一つとして常に考慮されているが、その結果、起業家の定義に関して不一致が起こっている。」と述べています。

成熟しつつある業界

この業界が成熟してきている兆候の一つとして、資金調達にかかる平均期間が2ヶ月と約2倍になったことが挙げられます。

資金調達を1日で成し遂げたプロジェクトもありますが、その中にはわずか数分で資金調達を達成したプロジェクトも存在しています。

トークンセールの内、約65%はそれぞれの企業の商品/サービスでの使用目的(ユーティリティトークンorハイブリッドトークン)として販売されており、3.8%のみが仮想通貨として売り出されました。

Investing.comの調査では、現時点で1,685種類もの仮想通貨が存在しているされており、円やドルなどの法定通貨の180種類と比較しても非常に多いことも考慮すると、最善の傾向であると言えるかもしれません。

ファンドの資金について

また同報告書では、”クラウドセールでの調達は、ファンドの資金流入によって、著しく進行が遅れ始めた”と記述しています。

さらに「ファンド資金は、ICOへの投資準備ができている一方で、多くのICOプロジェクトがKYC(本人確認)やAML(アンチ資金洗浄)基準を満たしていないため、機関の参入が遅れている。このような過程は、法的リスクを抑えるため、高い水準で適切に整備されるべきだ。」と追加されました。

実際、2018年に行われたICOの内、約25%が合法的に登録されていませんが、これは2017年の76%と比較すると大幅に改善されていると言えるでしょう。

また同報告書では、119の機関によって278億ドル(約3兆円)が運営される、仮想通貨投資ファンドの重要性を主張しています。

しかし、内40%のファンドではCEOの身分が公開されておらず、9%のファンドがすでに閉鎖されている現状があります。

ICOプロジェクトの中でも、最も人気の高い業界は「金融サービス」であり、最も多額の資金調達を行っているようです。

しかしながら、トークンのICO後の価値は悲惨なもので、投資リターンの中央値は49.32%で、全四半期からの急激な落ち込みとなっており、取引所で取引されているトークンに関しても、17%のみがトークン販売時よりも高値で取引されています。

地理的側面

最も多くのICOが登録された国は、59ものプロジェクトが登録されたアメリカで、その次にシンガポールが34、イギリスが26と続いています。

しかしこれは、資金調達額と必ずしも相関関係にあるわけではありません。

資金調達額として、アメリカが5.8億ドル(約630億円)、シンガポールが4.6億ドル(約500億円)であるのに対し、イギリスは9970万ドル(約110億円)と、14プロジェクトで2.6億ドル(約280億円)を調達したスイス、9プロジェクトで2億ドル(約220億円)を調達した中国、そして16プロジェクトで1.2億ドル(約130億円)を調達したエストニアに遅れを取っています。

興味深いことに、イギリス本土よりも、イギリス領ヴァージン諸島(5プロジェクト、1.5億ドル、約163億円)や、同じくイギリス領のジブラルタル(6プロジェクト、1.3ドル億、約141億円)の方が、より多くの資金調達を行っているのです。

注目すべき点は、ロシアから13ものプロジェクトが出ているのに対し、ロシア人という枠組みにすると、45ものプロジェクトが作成されている事でしょう。

よって、ロシアは自国でICOを行わないというだけで、実際には多くのプロジェクトが作成されているのです。

なおエリア別に見ると、ヨーロッパが全体の46.6%と最も多額の資金調達を行っているという現状があります。

CoinPostの関連記事

ICOの爆発的増加を可視化した動画が公開・1位は Petroに|調達額ランキングも掲載
2018年3月までのICOの爆発的拡大をビジュアル化した動画が公開されています。最近はICO健全化のため、大口投資家や機関投資家のみを対象とするICOが増えてきていますが、ICOの規模の拡大は今年に入っても失速する様子は見られません。

46% of ICOs Launched Without a Business Plan

May 6, 2018 by Simon Golstein

参考記事はこちらから
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/23 木曜日
10:45
ハイパーリキッド・ストラテジーズ、最大約1500億円調達をSECに提出 HYPEトークン購入含む
ナスダック上場のハイパーリキッド・ストラテジーズが最大10億ドル(約1,500億円)の資金調達を目指すS-1をSECに提出した。HYPEトークン購入を含む。7月設立後、早くも大規模増資計画。
10:30
計2600億円超相当のBTC、LuBian関連のウォレットから移動
計2600億円超相当の仮想通貨ビットコインが、マイニングプールLuBianに関連するウォレットから移動。トランザクションは4つに分けられて別々のアドレスに送金されている。
10:16
「ビットコインにとって2025年のゴールド高騰は好材料」Bitwise
Bitwiseは、ゴールドの価格上昇は仮想通貨ビットコインにとって好材料であるとの見方を示した。ゴールドの価格上昇の要因や市況を分析した上で、ビットコインにも同様のことが起きうると予測している。
10/22 水曜日
20:18
ソラナ(SOL)現物ETF、香港で初承認 10月27日取引開始
香港証券監督委員会がアジア初となるソラナ現物ETFを承認。ChinaAMC運用(香港)で10月27日取引開始。ビットコイン、イーサリアムに続く3番目の仮想通貨ETFとして、米国市場に先駆けた上場となる。
16:39
仮想通貨取引、米国で前年比50%増 トランプ効果鮮明に=2025上半期報告
TRMラボの最新報告書によると、トランプ政権下で米国の仮想通貨取引高が50%増の1兆ドル超に。日本は普及ランキング9位に上昇。ステーブルコインは前年比83%増で過去最高を記録。
16:30
注目の仮想通貨AI関連銘柄10選を網羅的に解説【2025年最新】
2024年注目のAI関連仮想通貨を10銘柄、時価総額・価格・年初来高騰率とともに解説。SUI、NEAR、TAOなど、AIとブロックチェーンを融合した主要プロジェクトの特徴について網羅的に紹介。
15:50
金融審議会、暗号資産のインサイダー取引規制と銀行の取扱要件が焦点に
金融審議会が暗号資産のインサイダー取引規制案を提示。DEX・P2P取引も対象に。銀行本体の取扱いは慎重に検討する一方、子会社には門戸を開く方針。無登録業者への罰則も強化へ。
14:30
「量子コンピュータはビットコインの最大リスク」、CoinMetrics共同創設者が警告
CoinMetrics共同創業者ニック・カーター氏が、量子コンピュータがビットコインの暗号セキュリティに及ぼす脅威について警告する論説を発表。ビットコインのセキュリティの仕組みについて解説し、量子技術の進化が現在の状況を変える可能性があると指摘した。
13:50
リミックスポイント、米ビットワイズのBTC保有企業ETFに新規採用
ビットワイズが3月から提供する「OWNB」ETFに、日本企業メタプラネット、リミックスポイント、ネクソンも組み入れられている。
13:30
ビットコインL2「Arkade」ベータ版公開、BTC上のステーブルコインや貸借の基盤に
Ark LabsがビットコインL2「Arkade」のベータ版を公開した。オフチェーンでステーブルコインやレンディング機能を実現し、ライトニングネットワークを補完する新基盤を目指す。
13:15
米国初で百貨店チェーンが仮想通貨決済導入、創業110年の「Bealls」
創業110年の米百貨店チェーンBeallsが仮想通貨決済を導入。Flexa経由でビットコイン、イーサリアムなどに対応。全米初、複数ブロックチェーンから同時決済を受け入れる小売業者に。
12:55
「Saga」スマホ、発売から2年でサポート終了 次世代端末「シーカー」へ移行
ソラナ・モバイルが仮想通貨スマホ「サガ」のサポートを発売から2年で終了。2万台の完売を成し遂げ、ミームコインのエアドロップで注目を集めた。同社は現在、第2世代端末「シーカー」に注力し、15万台以上の予約を獲得している。
11:25
イーサリアム『フサカ』、取引のガス上限を導入
イーサリアムは次期アップグレード「フサカ」でEIP-7825を導入し、1取引あたりのガス上限を約1678万に制限する。ホレスキーとセポリアで既に稼働しており、12月3日のメインネット実装を予定している。
10:50
イーサリアム元開発者が財団批判 ヴィタリックの影響力と支配層の存在を指摘
仮想通貨イーサリアムの元コア開発者シラージ氏がイーサリアム財団の体制を批判。ヴィタリック氏を中心とした支配層の存在や報酬格差を指摘し、ポリゴンCEOも不満を表明した。
10:50
「史上最大の金融包摂」USDTステーブルコイン、ユーザー数5億人達成
テザーのステーブルコインUSDTがユーザー数5億人を達成。時価総額1820億ドルでステーブルコイン市場の70%を占め、ケニアのKotani Payへの投資と米国向けUSAT発行を発表。CEOは「史上最大の金融包摂」と評価。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧