Glassnode、ビットコイン分析
暗号資産(仮想通貨)データ分析企業Glassnodeは8日、ビットコイン(BTC)供給量の保有年数を測る「HODL Wave」指標を基にした考察を公開。中・短期の保有(HODL)が進んでいることがわかった。
Young Coins < 3m
— glassnode (@glassnode) July 8, 2021
These waves will spike as old coins are distributed and change hands to newer buyers, and decline when accumulation is in play
Across the board, accumulation appears to be the more probable scenario, however as for bearish trends, it takes time to play out
4/6 pic.twitter.com/yofJmWy8Ku
Glassnodeは自社が開発した独自指標「Realised Cap HODL waves」をもとに現在の仮想通貨市場を分析。
Realised Cap(実現時価総額)は一般的に使われる時価総額を改良した指標で、ビットコインの取引履歴(UTXO)を元に最終取引時点での価格を算出する。時価総額は銘柄の市場価値を測るのに対し、実現時価総額はネットワーク上の価値を図る上で有益とされる。
HODL WaveはUTXOデータを元にビットコイン供給量の内、どれほどの量のビットコインがどれほどの期間、HODL(≒保有)されているかを示す指標となる。今回の分析では、Glassnodeは以下のように保有者を分類した。
- 若年層:3ヶ月以内
- 中年層:3ヶ月〜12ヶ月以内
- 高年層:1年以上
指標の読み方
Glassnode社のデータによると、現在のマーケット環境下で、新規参入も含む若年層(3ヶ月以内)が減少し、中年層(3ヶ月~12ヶ月)が増加している。これは、マーケット全体でビットコインを売却する期間から以降し、保有する動きが強まっている事を示す。また、これが進み、高年層(1年以上)が増加している場合はHODL(ガチホ)傾向がより強まっていると読むことができる。
一方、過去の事例から、中長期のHODLウェーブが急激に減少する場合はビットコインの使用または分配を意味することになり、マイナスの影響に転じる可能性も含むことになる。
Trends to watch:
— glassnode (@glassnode) July 8, 2021
Bullish
* Younger bands (say 3m-6m) start to decline as older bands (6m-12m) swell instead = maturing
* Older waves continue swelling = HODLing
Bearish
* Old or Middle waves decline rapidly
* Young waves swelling rapidly
Both suggest spending/distribution
~fin
ビットコインの保有傾向
7月8日時点では、1月以降から減少傾向にあった高年層のビットコイン供給量が一旦安定している状況だ。現在は11.3%にあり、これは2017年の高騰相場直後の2018年1月時点の2.2%(供給量に対して)と比べ増加している。
2018年と比べて、約4.9倍のビットコインが長期保有されていることを示すデータだ。
Old Coins aged 1y+
— glassnode (@glassnode) July 8, 2021
Similar to 2017, we saw a period of distribution into bull market strength in Q1.
However, the thickness of these waves remains 4.9x larger than the 2017 top, with over 11.3% of the Realised Cap made up of 1y+ coins
Old Hands are HODLing a lot more value
2/6 pic.twitter.com/IFNxBPZWEv
一方、Glassnodeは3ヶ月から12ヶ月の間、保有されたビットコインは9,000ドルから6万ドル(100万円〜660万円)台で買われたものと指摘。「中年層」のボリュームが増えていることから、保有(HODL)傾向が強まっているものの、損失を計上していることも想定されるため、売り圧になり得るデータになると警戒感を伝えた。
また、若年層のビットコイン供給量は減少しているため、Glassnodeは保有傾向が強まっていると分析。仮想通貨相場は「買い集め」(accumulation)フェーズに入っていると考察した。
過去データから、全体的に買い集めが「より想定されるシナリオ」としつつ、弱気トレンド(の発見)には時間がかかると分析。総括としては、高年層のビットコインは乱高下する相場の中でも保有を継続する姿勢を示し、高年層または中年層の供給量が増加を続ければ強気シグナル、減少に転じれば弱気(マイナス)シグナルになり得るとして、このデータの今後継続してみていく重要性を説いた。
BTC「買い集め」進む
Glassnodeの「HODL Wave」指標以外でも、相場の「買い集め」フェーズ(≒売り圧低下)を示唆するデータは確認されている。
ブロックチェーン・データ分析企業Santimentの統計でも、取引所のビットコイン保有率低下が観測されており、過去6ヶ月間で最も低い水準に。投資家が急速にビットコインを売却するリスクが下がるため、前向きな兆候と分析した。
The ratio of #Bitcoin's supply on exchanges has
— Santiment (@santimentfeed) July 5, 2021
encouragingly slid down to its lowest since early January. The 6-month low is a promising sign, as it generally will indicate that there is a decreased risk of more major $BTC selloffs. https://t.co/vFh7pcjUmX pic.twitter.com/t3duiStvg6
時価総額2位のイーサリアムでも仮想通貨取引所へのデポジットが継続しており、取引所のETH供給量は18年11月以来の低水準に達している。
また、著名オンチェーン・アナリストのWilly Woo氏も先週末、1,000BTCから1万BTCを保有する大口投資家のビットコイン供給量が増加したと指摘。「クジラ」がビットコインを買い集めていると分析していた。
Whales:
— Willy Woo (@woonomic) July 3, 2021
"Nom nom nom… BTC so yummy today." pic.twitter.com/TLoHyaJtn2
関連:大口ビットコイン投資家は買い継続 イーサリアムは売り圧低下を示唆するデータも