仮想通貨24億円相当を押収
英国の警察が、暗号資産(仮想通貨)の詐欺プロジェクトを運営していたとして容疑者を逮捕し、2,225万ドル相当(約24億円)を押収したことが分かった。
英国グレーターマンチェスター地域の警察は、まず950万ドル相当(約10億円)のイーサリアム(ETH)が入ったUSBメモリを押収。さらに、デジタル形式の金庫からも1,270万ドル相当(約14億円)の資産を発見し、没収した。
事件の経緯
警察の公式発表によると、この詐欺プロジェクトは、ブロックチェーンベースの貯蓄・取引サービスを偽り、英国、米国、欧州、中国、オーストラリア、香港など、各国の投資家から資金を不正取得していた。
詐欺師は、プロジェクトに多くの資金が集まるのを待ってからウェブサイトを閉鎖し、その資金を自分の口座に振り込んだという。
しかしその後、英国の警察は、このプロジェクトを実行していた者たちがマンチェスターに一時滞在しているという情報を得て、彼らの居場所を突きとめ、逮捕した。
詐欺とマネーロンダリングの容疑で逮捕されたのは、23歳の男性と25歳の女性である。現在はいったん釈放されたが、疑いが晴れたわけではなく、その容疑について捜査が進められているところだという。
マネーロンダリング
犯罪によって得られた収益金の出所などを隠蔽し、正当な手段で得た資金と見せかけることで、一般市場で使っても身元がばれないようにする不正行為。G20でも問題提起されるなど、マネロン対策は最優先課題の一つとされる。
▶️仮想通貨用語集
警察によると、今回押収された金額は被害額の90%に相当し、現在、正当な所有者に返還するための手続きが進められている。
グレーターマンチェスター警察は、オンライン詐欺の増加に対応するため、経済犯罪部門とサイバー犯罪部門の予算を増やしているところだ。特に、資産回収を担当する職員を増やすため150万ポンド(約2.3億円)以上の資金が投入されている。
消費者に警戒呼びかけ
グレーター・マンチェスター警察経済犯罪部門のJoe Harrop主任警部は、次のように述べた。
私たちは様々な面で日常的にインターネットや携帯電話を利用するようになっており、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨も、新たな取引手段と考えられている。こうしたトレンドを利用しようとする犯罪者も増加中だ。
こうした新しいタイプの犯罪についても当局が対応し、不正行為がどのようなプラットフォームで行われようとも、捜査対象になると示すことが重要だ。
また、同警察サイバー犯罪部門のPete Nuttall刑事は、次のように消費者に警戒を促した。
資金を投入する前に、そのプロジェクトについて調査してほしい。こうした(仮想通貨関連の)貯蓄・取引サービスは技術的にかなり複雑な場合があり、安全を保つためには深い知識が必要だ。たとえ知識を持ったユーザーでも、安全の保証はない。もしあなたが仕組みを理解できない場合は投資しない方がよい。