ビットコイン相場と金融マーケット
デフォルト(債務不履行)の危機に陥った中国の不動産開発大手「中国恒大集団(EvergrandeReal Estate Group)」の株価が暴落、香港ハンセン指数も急落した。各国の株式市場でもリスク回避姿勢が強まった。米国では、ダウ平均株価が前週末比614ドル41セント(1.8%)安となったほか、日経平均株価も前週末比-600円以上下落。
22日に開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、テーパリング(量的緩和縮小)の年内開始観測が広がりつつある。中国恒大集団は、中国の不動産バブルを背景に最大手まで台頭したが、昨今では資金繰りが急速に悪化していたという。
銀行融資や債務発行などで多額を資金調達、不動産業以外の多角化経営を推進してきた反動や新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気減速などの影響を受け、負債総額3000億ドル(約33兆円)規模まで膨れ上がった。
市場は、最悪のシナリオとしてリーマン・ショックのような連鎖的な経営破綻を伴う金融危機を警戒する。
当面は、債務の返済能力と中国政府による救済措置が行われるかどうかが注視されそうだ。まずは、23日と29日に控える「社債利払い」の履行が行われるのかどうかが焦点で、30日以内に支払いを履行できなければ、デフォルト(債務不履行)とみなされる。
中国不動産業界全体の構造的問題と、当局による締め付けなどを背景に、恒大集団の事例は氷山の一角である可能性もあるとされ予断を許さない。救済措置を取るか否かを含め、中国政府としても難しい判断を迫られる。
仮想通貨急落
先行き不透明感と金融危機への警戒感から、中国動静がリスクアセット全般に波及したことで、ビットコインなど仮想通貨市場も大きく売られた。コロナ・ショックなど株価の暴落局面では、投資家の現金化需要が高まるほか、信用取引の追証回避売りなどに見舞われやすい。
一方で、一時40,200ドルを付けた後は、42,800ドルまで反発した。短期的には売られすぎ水準にあり、サポートライン(下値支持線)で押し目買いが入ったか。
bybtのデータを確認すると、デリバティブ(金融派生商品)市場では、過去24時間で17億ドル(1800億円相当)がロスカット(清算)された。これに伴い、BTCの先物OI(未決済建玉)は、前日比-11.2%と大幅に減少している。
アルトコイン市場も大きく売られ全面安に。
ここへきて、米SEC(証券取引委員会)が仮想通貨市場への締め付けを強めていることも向かい風だ。
SECは米リップル社とXRPの有価証券問題をめぐり係争状態にあるほか、米最大手取引所コインベースの「レンディング」サービスが証券法違反だとして法的措置の事前通知「Wells notice」を受け、結果的にサービス終了に追い込まれたことがわかった。
関連:仮想通貨貸付は証券法違反か? 米コインベースがSECから法的措置前の事前通知を受ける
BlockFiやCelsiusなどの米暗号資産レンディング大手も、ここ数週間でサービスに関して規制当局の監視下に置かれている。SEC側は、仮想通貨の有利子口座の提供を「未登録有価証券の販売」とみなすと主張しており、類似サービスを提供する企業に波及している。
関連:仮想通貨レンディングCelsius、米両州で警告を受ける
市場心理は急悪化
Alternative.meの提供する「Fear&GreedIndex」にて、再びFear(恐怖)水準となる27まで下落した。
Fear&GreedIndexは、ボラティリティ、市場のモメンタム、SNSの感情分析、ドミナンス、Googleトレンドから算出する指標。昨日時点ではNeutral(中立)を示す50、9月上旬時点はExtreme Greed(楽観)を示す76だったが、金融市場全体の地合い悪化に伴い、投資家心理が急速に冷え込んだ。
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