「仮想通貨は米ドルの立場に影響しない」
米財務省のWally Adeyemo副長官は先日、暗号資産(仮想通貨)への関心の高まりは、世界的な基軸通貨であるという米ドルの立場には影響しないだろうと述べた。米メディアCNBCが報道した。
Adeyemo氏は、仮想通貨には、米ドルを使わずに、不正に資金を移動させたい人々が悪用できる側面があるとの認識を示した。その上で、世界的に協力して、デジタル資産に関するアンチマネーロンダリング規則の厳密な遵守を促進することで、このリスクに対処できると話した。
また、米ドルの地位は、米国経済の強さが背景にあるとして、次のように語った。
最終的に、世界におけるドルの地位を左右するのは、米国経済への投資に関連して、私たちが行っていく意思決定だろう。人々がドル基盤の経済に関わるのは、彼らがアメリカに投資したいからだ。
つまり、米国が経済を成長させるような政策を行えば、他の国の、米国経済への投資も促進されると意見する格好だ。Adeyemo氏は、インフラ法案も、そうした政策の一例に挙げた。
インフラ法とは
今後8年間で1.2兆ドル(約130兆円)を道路・橋、鉄道、港湾・空港、水道、高速通信網、電力網などの国内インフラへの投資を行う。バイデン政権の経済分野の主要政策の1つ。2021年11月15日に成立。
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他国のデジタル通貨の影響は?
また、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨だけではなく、他国が発行する中央銀行デジタル通貨(CBDC)の影響についても言及している。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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米国は近年、選挙妨害疑惑やサイバー攻撃などの理由で、ロシアに制裁を科してきた。仮にロシアが「デジタルルーブル」を発行しても、こうした制裁は有効に働く可能性が高いという。
Adeyemo氏は、ロシア企業が世界で行うビジネスの多くはドル建てで行われていると指摘。米国が経済大国である限り、制裁体制は維持されると述べた。
ロシア中銀のElvira Nabiullina総裁は、2022年初頭に、デジタルルーブルのプラットフォームについて原型を構築し、パイロットテストを行う計画だと話している。
ロシアは、デジタルルーブルを、現金とオンライン決済に加わる、第三の貨幣形態として構想。デジタルルーブル取引には、非常に少額の手数料を課すことも検討している。
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一方で、ロシアのプーチン大統領は10月、石油などのエネルギー資源の国際取引に米ドルが利用される点について「抵抗感はない」としつつ、ロシアに対して米ドルを利用した制裁が続く場合は、「他の通貨で取引を行なわざるを得ない」と言及。
なお、仮想通貨は米ドルに代わる決済手段には現時点でならないとの見解も示していた。
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Adeyemo氏は今回楽観的な見方を示したものの、米国が、他国のCBDCを注視していることはこれまでにも報道されている。特に中国のデジタル人民元に関して、ドルの優位性や制裁に対する潜在的な影響力を把握しようと努めているとされる。
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