今週(4日〜10日)の仮想通貨相場
今週のビットコイン市場は軟調な展開で、49,000ドル付近を推移している。一方でハッシュレートは180(TH/s)を超えるなど、大幅な回復を見せた。
各指標の騰落率一覧
10日の終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
4日〜10日のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
4日〜10日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、週末のクラッシュから戻りを試すも上値は重く、10日正午時点では、週足ベースでは若干マイナス圏に沈み、550万円周辺で推移している。
4日の相場クラッシュを受け、週明けのアジア株式市場では暗号資産(仮想通貨)関連株が軟調となり、BTCも上値を重くしたが、新型コロナウイルスのオミクロン変異株による重症化リスクが低いとの見方が広がるとリスク選好度が上向き、540万円周辺から反発。Block(旧Square)のSpiralからLightning Development Kit(LDK)が発表されたことも後押しとなり、7日には590万円にタッチした。
一方、これによりCMEのBTC先物が窓埋めに成功すると、戻り一服感から相場は反落。週央には、コロナワクチンを共同開発するPfizerとBioNTechが、3回目のブースター摂取がオミクロン変異株に効果があると発表した上、来年3月には同変異株に対するワクチンの提供を発表し、一時は5万ドル水準となる576万円での揉み合いから下放れしたBTC相場だったが、元の水準に戻り下に往って来いを演じた。
ただ、9日には、中国工大集団の6日期限のドル建て債務のデフォルトを受け、フィッチが同社の社債を格下げ。これを受けてBTC相場は再び上値を重くし、米時間にはいると米消費者物価指数(CPI)発表を翌日に控え米株市場で利益確定の動きが広がり、BTCは週明けの上げ幅を解消する格好となっている。
市場の関心はオミクロン変異株から米CPIにシフトしており、高インフレの継続によるテーパリングペース加速が懸念され、週後半からリスク資産の上値は総じて重くなっている。市場では、11月のCPIは前年同月比で6.8%と前回の6.2%から更に加速することが予想されており、結果が市場の予想と合致すれば、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリングペースの加速が決定される公算が相応に大きくなるだろう。
テーパリング終了時期の前倒しで早期の利上げが実施されることも徐々に織り込みが進んでいるが、先週も指摘の通り、不確定要素が排除されるまでBTC相場の復調シナリオは想定し難い。
テクニカル的には、6日安値や200日移動平均線絡みで相場は支えられ、相対力指数(RSI)も「売られすぎ」とされる30%にタッチしているが、上にも下にも行きすぎるのが仮想通貨だ。CPIの結果次第ではこうしたテクニカル的なサポートも難なく割り込む可能性は十分に考慮しておきたい。
今月のFOMCは、日本時間16日の明朝に結果が出る。それまでは不安定な相場の推移が続くと想定している。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:大幅下落のビットコイン、FOMC控え復調シナリオはお預けか