経済を変えるメガトレンド
米大手投資銀行ゴールドマン・サックスは公式サイトで、暗号資産(仮想通貨)を含む「デジタライゼーション(Digitalization)」に関するインサイトを宣伝していることが判明した。トップページの一面には、「暗号通貨やメタバースについて、経済を変えるメガトレンドを探求する」とあり、専用ページへ案内している。
デジタライゼーションの項目は、コモディティ、中国、COVID-19など24種類のトピックについて、ゴールドマン・サックスのインサイト(洞察)を集約している「Explore by Topic」の一つだ。
デジタライゼーションのページへ遷移すると、「WEB3とメタバース」カテゴリーがトップにあり、同行が公開している記事やレポートが集約されている。直近の記事は、「次の技術戦場:オンラインゲーミングとメタバース(3月12日)」、「Web3.0の未来像:メタバース編(21年12月)」がある。ページ下部を見ると、ヨーロッパのデジタル経済、ブロックチェーンと分散型ウェブ、といったサブカテゴリ―が並んでいる。
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富裕層による仮想通貨投資需要の高まり
これまでゴールドマン・サックスは仮想通貨に慎重な見方を示してきた。21年6月のレポートでは、「ビットコインを長期的な価値の保存手段、投資の分散化に適した資産としてもみなしていない」と説明。依然として仮想通貨を投資家に勧めない姿勢を示していた。
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しかし、同行は過去数か月間に関連商品の取り扱いを次々と開始している。21年7月に欧州で取引される仮想通貨ETP(上場取引型金融商品)の清算・決済サービスを提供したことを皮切りに、22年3月にはGalaxy Digitalが提供する仮想通貨イーサリアム(ETH)ファンドや、ビットコイン(BTC)のデリバティブ商品のOTC取引の執行サービスを顧客に提供したことが明らかになっている。
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背景には、富裕層による仮想通貨への投資需要の高まりがあるようだ。昨年7月にゴールドマン・サックスは、同社サービスを利用するファミリーオフィスのおよそ半数が仮想通貨へのエクスポージャーを求めていることを明かしていた。
3月24日付けのThe Block報道によると、同行が172の顧客を対象にしたアンケートの結果、全体の60%が今後1~2年に仮想通貨保有量を増やす意向を示している。ゴールドマン・サックスのデジタルアセット部門の代表を務めるMatthew McDermott氏は3月初め、ヘッジファンドからアセット・マネジャー、マクロファンド、銀行、企業財務、保険基金、年金基金までの幅広い層において、ビットコインの需要が見込まれているとの見解を示していた。
ファミリーオフィスとは
ファミリーオフィスは、資産家一族の資産管理を担う運用会社です。アセットマネージャーや弁護士、会計士、税理士などによる専属チームで組織され、資産運用のほか、子どもや孫の教育、事業承継まで、幅広いサービスを手がけている。(参考:三井住友DSアセットマネジメント)
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