仮想通貨に関わる税制緩和の一環
タイ政府は26日より、暗号資産(仮想通貨)送金へかかる付加価値税(VAT)を免除する措置を発効した。
新王令の下で、認可された仮想通貨取引所におけるデジタル資産の送金はすべて、2023年12月31日まで納税対象から除外されることになる。
タイ政府は3月にも、仮想通貨への税制緩和を発表していた。2023年12月31日まで「年間損失と利益を相殺できるようにする」ことや「仮想通貨取引にかかる付加価値税7%を免除する」ことを挙げている。
今回の政令は、同様の措置を仮想通貨の取引に加えて、送金にも拡大するものだ。
タイの税務当局は2月、仮想通貨のキャピタルゲインに15%課税する計画も中止していた。「過度な課税は業界の発展を抑制してしまう可能性がある」との批判の声を受けた動きだった。
タイ政府は、こうした免除措置は、同国のデジタル資産分野への投資を促進するための取り組みの一環であると述べている。また、認可された取引所での仮想通貨取引を促進し、取引が同国の証券取引委員会など関連当局の監督下で規制・実施されるようにすることも目的とした。
タイのArkom Termpittayapaisit財務大臣は、「税制の緩和により、タイの仮想通貨取引所の信頼性と安定性が向上するだろう」と発言している。
商品やサービスの支払い手段としては禁止
税制を緩和する一方で、タイ政府は3月、仮想通貨を商品やサービスの決済手段として使用することを実質的に禁止する通知を発表している。
理由としては、仮想通貨決済が普及することにより、「金融システムの安定性」に影響する可能性や、「価格変動による価値喪失、サイバー犯罪」 などのリスクを挙げた。
なお、取引は引き続き公認され、タイ政府は「ブロックチェーン技術などのメリットを見出し、さらなるイノベーションのために、そうした技術の活用を重視・促進していく」方針だ。
関連:タイの金融当局、仮想通貨による商品・サービスの支払いを実質禁止へ
CBDCについても付加価値税を免除
タイ政府は24日、リテール型中央銀行デジタル通貨(CBDC)を使った送金についても付加価値税を免除する通知を発表している。
通知によると、タイ政府は、デジタル経済とそのインフラストラクチャの開発を目指しており、金融イノベーションの発展に貢献する重要なプロジェクトとして、デジタル通貨の発行や使用に向けて動いているという。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。仮想通貨との大きな違いは、CBDCはデジタル上の法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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