英、自己管理型ウォレットの送金でデータ収集を行わない方針

マネロン規制に関する提案を修正

英財務省は20日、暗号資産(仮想通貨)の非ホスト型ウォレットに関する、送受信者の識別情報収集について、一律ではなく、リスクベースのアプローチをとるよう変更すると発表した。

財務省は昨年7月、金融活動作業部会(FATF)のトラベル・ルールに準拠する形で、「資金洗浄とテロ資金調達及び資金移動規制の改正」に関する協議文書を発表。全ての個人のウォレットへの送金について、個人識別情報の収集を義務付けるよう以下のような提案が盛り込まれ、物議を醸し出していた。

仮想通貨企業は、仮想通貨送金の発信者と受益者の個人情報が、適切な形式で、送金と同時に送受信されることを保証するシステムを導入する必要がある。

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財務省は同協議文書の発表後、約3ヶ月間のパブリック・コンサルテーションを実施。マネロン・テロ資金供与監督当局、産業界、一般社会、学術界、および複数の政府省庁から提出された94件の回答を踏まえ、今回、政府の最終的な方針を示す中、データ収集要件が大幅に緩和されることとなった。

トラベル・ルール

マネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールで、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。
対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。

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リスクをもたらす証拠に欠ける

最新の提案で財務省は、仮想通貨を保有する多くのユーザーが、セキュリティやカスタマイズなどの利点から非ホスト型ウォレットを使用しており、違法取引に使用される「不釣り合いなリスク」をもたらすという証拠はないと指摘。「非ホスト型ウォレットの取引が自動的に高リスクとは見做されることに同意しない」と述べた。

そのため、全ての非ホスト型ウォレットの送金について、送受信者情報の収集を義務付けるのではなく、「違法金融のリスクが高いと特定された取引」に限定し、仮想通貨事業者が情報を収集することを提案した。

非現実的な身元確認

また、英国政府は、収集された情報の検証は求めないと明記。現在、FATF自体が、非ホスト型ウォレットの送受信に関する情報の検証を期待してはいないことをその理由として挙げた。

財務省は、収集した情報の検証義務付けは、仮想通貨ユーザーおよび事業者双方にとって困難だと主張。検証するためには、受益者に「送金元の住所、生年月日などを証明する公的文書の提出が求められる可能性」もあることから、現実的ではないとした。

トラベルルールが適用される事業者

修正された提案で財務省は、仮想通貨送金の際に仲介者の役割を果たす事業者を明確に示した。

本法案は、トラベルルールが仮想通貨取引のプロバイダーまたはカストディアンウォレットのプロバイダーである仲介業者にのみ適用され、ソフトウェアプロバイダーなど、トラベルルールの適用が意図されていない他の事業者は対象外となることを明確化するものである。

今回の修正提案が議会の承認を得られた場合、今年9月1日に施行される予定。セクター別の業界ガイダンスは、改正された法律に基づいて更新されるが、コンプライアンスのための技術開発などを考慮し、事業者によるソリューションの導入等に12ヶ月の猶予期間を設けることも決定された。

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