SPAC上場計画を撤回
暗号資産(仮想通貨)や株式などの取引サービスを提供するeToroは、SPAC(特別買収目的会社)の「FinTech Acquisition Corp. V(FinTech V)」と合併してナスダックへ上場する計画を撤回したことが分かった。
5日の発表によると、計画を撤回した理由は「両社がコントロールできない外部的要因」だという。もともと今年の6月30日までに取引を完了するという期限が設定されていたが間に合わず、両社合意のもとで合併計画を撤回。eToroは、同社の事業は健全に行われていると説明している。
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SPACとは
「Special Purpose Acquisition Company」の略。事業を持たずに未上場企業の買収を行うことを目的とする企業を指す。先にSPACが上場し、その後にターゲットとなる企業(今回の場合はeToro)を買収。それによってターゲットとなる企業が上場を果たす仕組みである。正式な審査を経ずに企業が上場できることなどから、最近は規制当局の監視が強化されているという。
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今回の発表で、FinTech VのトップBetsy Cohen氏は、以下のようにコメントを寄せた。
eToroには成長実績があり、強い勢いもあるため、これからもソーシャル投資プラットフォームとして世界を牽引してくれるだろう。
我々がコントロールできない外部的要因によって契約は中止になったが、eToroチームの成功を祈っている。
また、eToroの共同創設者Yoni Assia氏のコメントは以下の通り。
合併手続きを始めた時の望み通りにはならなかったかもしれないが、eToroの事業は健全で、バランスシートも安定しており、これからも成長と利益のバランスを維持していく。
資金のあるアカウントの数は22年2Q(4月から6月)終了時点で、約270万と2021年末から12%超増加しており、顧客の獲得・維持も継続できている。
両社の合併計画は昨年3月に発表された。合併完了後は「eToro Group Ltd.」として事業を継続し、株式をナスダックへ逆さ上場(SPAC上場)すると説明。合併後の推定時価総額は当時のレートで約1.1兆円(104億ドル)だった。
eToroは事業の健全性を主張しているが、一部メディアは、同社が全体の約6%に相当する100名の従業員を解雇する計画を進行していたり、50億ドルの評価額で8億ドルから10億ドルの資金調達を進めたりしているとも報道。なお、今回は両社が合意しているため、契約撤回に伴う支払いは発生しないという。