米コインベース、トルネードキャッシュ制裁に反対する訴訟を支援

制裁取り下げを求める訴訟

米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは8日、米財務省がトルネードキャッシュを制裁対象としたことを不当とする訴訟について資金を提供していると述べた。公式ブログで、ブライアン・アームストロングCEOらが発表した形だ。

背景としては8月、米財務省外国資産管理局(OFAC)がトルネードキャッシュを制裁対象に指定したことがある。トルネードキャッシュは、イーサリアムチェーン上で動作し、取引を匿名化するミキシングサービスだ。

ミキシングサービスとは

仮想通貨の取引データを複数混ぜ合わせることによって、その仮想通貨の出所や保有者のアイデンティティを隠すサービス。

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OFACは、北朝鮮の国家を支援するハッキンググループ「ラザルス」など、サイバー犯罪者がトルネードキャッシュをマネロンに使用していることを制裁理由としている。

この制裁については批判の声も上がっているところだ。例えば、仮想通貨シンクタンクCoin Centerは、「中立的な性格を持ち、良い使い方も悪い使い方もできるツールに対する制裁」であり、正当な理由でプライバシーを守りたい米国人も影響を被ってしまうと主張していた。

制裁により、一般ユーザーへの影響も広がっていた。米サークル社がトルネードキャッシュのUSDCプールなど制裁リストにあるアドレスをブラックリスト化しており、その他トルネードキャッシュを経由した資金を保有していた分散型金融(DeFi)ユーザーがブロックされるなどの事例があった。

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制裁の問題点

コインベースは、以下のような声明を出している。

コインベースは、米国財務省によるトルネードキャッシュのスマートコントラクトへの制裁に異議を唱え、米国制裁リストからの削除を裁判所に求める6人の原告による訴訟に資金を提供している。

この制裁は財務省の権限を超えており、罪のない人々を傷つけ、仮想通貨ユーザーのプライバシー保護やセキュリティの選択肢を奪い、イノベーションを阻害するものだ。

アームストロングCEOは、制裁について特に次の2点が問題だと指摘した。

  • 匿名化技術には正当な使用例があるが、今回の制裁の結果、多くの無実のユーザーが資金を捕捉され、重要なプライバシーツールを利用できなくなった
  • 財務省は「技術」を制裁しており、これは議会から同省に与えられた権限を超えていると考えられる

アームストロング氏は、原告の中にも正当な目的でトルネードキャッシュを使用していた者がいると説明。一人目は、ウクライナに仮想通貨寄付を行ったが、その際に悪意のある攻撃を受けることを避けるために匿名化サービスを使ったとしている。

二人目は、オンライン上で有名な人物で、Twitterプロフィールにリンクされた公開ENS名(イーサリアム・ネーム・サービスによる名前)を持っており、セキュリティ保護のためトルネードキャッシュを使用していた。

三人目は、イーサリアムのステーキングビジネスを運営しているが、見知らぬ人から稼いでいる額を詮索されることもあり、自分の資産と安全を守るためにトルネードキャッシュを使い始めていた。

アームストロング氏によると、このうち二人は、現在トルネードキャッシュ上の資金が凍結されてしまっている状況である。

また、アームストロング氏は、議会は財務省に「人やその財産」を制裁対象とする権限を与えているが、オープンソースソフトウェアなど「技術」を制裁する権限は与えておらず、今回の措置は行き過ぎだとも主張した。

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