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年末のビットコインデリバティブ相場をプロが解説|仮想NISHI氏寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

*本レポートは、暗号資産取引所SBI VCトレードのクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。

ビットコインマーケットレポート(12月23日~12月29日)

ビットコインは、12月に入ってからは1万6千ドル~1万8千ドルのレンジ相場となっており、現在は全体的に(短期的な)売られすぎが解消しつつある状態となっている。過去5年間においては、2019年を除きクリスマス付近にボラティリティが高まるというアノマリーがある。執筆時点での価格は1.68万ドル付近。

クリスマス・イブ-クリスマスの騰落率

2021年 12月24日 +9.18% 25日 ▲0.83%

2020年 12月24日 +2.11% 25日 +4.16%

2019年 12月24日 ▲0.74% 25日 ▲0.87%

2018年 12月24日 +2.26% 25日 ▲6.30%

2017年 12月24日 ▲5.56% 25日 ▲0.35%

(ドル/UTC基準)

足もと

クリスマス休暇に入ったことから、ビットコインのアクティブOI(未決済建玉:下画像赤枠)は、絶対値がかなり少ない状態となっている。ファンディングレート(下画像青枠)を見るとポジションはニュートラルに近い状態となっており、デリバティブ市場を起因とする端的な急落は起こりにくくなっているといえる。

外部環境

米株価指数との相関が高い状況が今年2月ごろから約10か月にわたり続いていたが、11月上旬のFTXショック以降は相関が薄くなっている。さらに直近では一部株価指数とは逆相関に傾いており(S&P500、▲0.64、下画像赤枠)、全体として上昇しているリスクアセットに比べ弱い動きとなっている。

逆イールドの状態(米国2年債利回りが10債利回りを上回る状態)も続いており(下画像青枠)、外部環境による暗号資産市場全体に対する逆風は依然として強い状況にあるといえる。

現物市場

現物市場の成行売買状況は、やや売りが強い状況にある(下画像赤線)。

先物・デリバティブ市場

先物の未決済建玉(OI)は減少傾向にあり、依然としてFTX破綻ショック時と同様の水準まで下落している(下画像赤線)。CMEではアセットマネージャーや、主に価格差益を狙うレバレッジドファンドにより、ポジションがロングに傾いている。

デリバティブ市場

現物価格より先物価格の方が安い状況(バックワーデーション)となっており、需給は引き締まっているとみられる。

オプション市場

現状の価格から離れている12月30日権利行使のポジション(下画像黄色ポジション)が多いことから、権利行使日に近づくにつれてボラティリティが高まってくる可能性がある。

ハッシュレート

ビットコインのハッシュレート(採掘速度)は依然として高水準にある。次回予想は+4.13%の難化予想。

直近のクリプト指標

12月23日 米個人消費支出(PCE):22年11月結果

12月24日 ミシガン大学 消費者信頼感指数:22年12月結果

12月27日 有効求人倍率(11月)発表

総括

例年、アノマリーとしてクリスマス・イブ付近から年末にかけてボラティリティが高まる傾向がある。デリバティブ市場では、アクティブOIは少なくなっているものの、全体的にはやや売られすぎという状況である。

先物市場では、11月にビットコインが急落したことによる損失回避のためのヘッジショートポジションがCMEの年末SQ付近である程度解消されることや、オプション市場において現状の価格から離れている12月30日権利行使のポジションが多いことなどが、年末のボラティリティの高まりを誘発する材料として考えられる。

寄稿者:仮想NISHI仮想NISHI
「暗号資産もSBI」を掲げる、暗号資産取引所SBI VCトレードのクリプトアナリスト。BTC Status Alert制作協力者、DECOCHARTの企画・監修者としても、日本の業界に必要な投資関連情報の配信に携わっている。
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