Rocket Poolのリキッドステーキング
Coinbase Venturesがリキッドステーキングプロトコル「Rocket Pool(RPL)の運営にかかわるDAO(分散型自律組織)に参加することが12日に明らかになった。
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のリキッドステーキング市場におけるトッププロバイダーLido Financeの一極集中状態が緩和される可能性がある。
Coinbase VenturesはETHステーキング環境の分散化について以下のように述べている。
Rocket Poolコミュニティに参加し、イーサリアム・ステーキングの分散型をサポートすることに興奮している。
ETH finally breaks resistance right as @Rocket_Pool announces the new oDAO member being proposed.
— jasperthefriendlyghost.eth | jasper.lens (@Jasper_ETH) January 11, 2023
None other than @coinbase through their venture arm 🤯🤯
The oDAO is a trusted group that allows @Rocket_Pool to remain a permissionless system.https://t.co/BnpdLBApri pic.twitter.com/zxlPnQmn5h
Coinbase Venturesは、米国の大手仮想通貨取引所Coinbaseの投資部門。Rocket Poolのdiscordチャネル上の発表によると、CoinbaseはRocket PoolのOracleDAO(oDAO)に加わる。
oDAOはRocket PoolのETHステーキングノードの運営とRocket Poolのスマートコントラクトへのアップグレードに関する投票に責任を負う。oDAOのメンバーは報酬としてRocket Poolの独自トークンRPLを受け取る。
リキッドステーキングとは、仮想通貨のステーキング金利を受け取りながら、その代替資産(ステーキング証明トークン)を運用できるDeFi(分散型金融)の仕組み。LidoとRocket Poolでイーサリアム(ETH)をステークすると「stETH、rETH」を受け取り、レンディングの担保としたりDEX(分散型取引所)等で運用できる。
自前でノードを設置する手間を省き、32ETHの最低ステーキング数の条件も回避できるなどユーザビリティに優れるリキッドステーキングは、今年3月実施予定のイーサリアムアップデート「shanghai(上海)」後にさらに重要になると見られている。
2020年11月にビーコンチェーン(コンセンサスレイヤー)が稼働して以来、ステーキングコントラクトに預けられたイーサリアムは執筆時点で1,600万ETH(約3兆1,800億円相当)に上る。ステーキング報酬として合計100万ETHが発生しているが、元本も報酬もshanghaiまでは引き出せない仕組みだ。
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イーサリアムステーキングの分散化
データサイトDUNEによると、リキッドステーキングはイーサリアム(コンセンサスレイヤー)のステーキング量全体の42.54%を占める。
特にLido FinanceはETHリキッドステーキング市場のシェアトップ(65.8%)であるだけでなく、イーサリアム・ステーキング全体のシェアトップ(28.9%)でもある。ステーキング・エコシステムの寡占化については、イーサリアムの開発者を含む複数のアナリストが警笛を鳴らしてきた。
特定のプロトコルが流通するETHの大部分をステークすることになればバリデーター(検証者)のカルテル化を助長し、最終的にイーサリアムプロトコルにとって脅威になると主張されている。
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一方、Coinbaseはリキッドステーキング市場で2位(14.8%)、Rocket Poolは同市場3位(3.0%)のサービスプロバイダーだ。Coinbase VenturesのoDAO参画は、リキッドステーキング市場2位と3位のなんらかの連携を予感させるため、最終的にLidoとの差を緩和する事になるとも期待される。
なお、Rocket Poolコミュニティの中には、米国で規制された組織の参加がoDAOの分散型統治システムに検閲上の悪影響を及ぼすと危惧するものもいる。しかし、Rocket Poolのコミュニティ支援者Jasper氏は、Coinbaseの支援はエコシステム全体を後押しすると強気の見解を示す。
Oh no Coinbase is now helping secure @rocket_pool oracles, this means they will soon take over and dominate the protocol with nearly 2,000 individual node operators, >50x as many as Lido 😲
— jasperthefriendlyghost.eth | jasper.lens (@Jasper_ETH) January 16, 2023
BTW, how did your DAO vote regarding control of the network again? Some 'professionals'. https://t.co/X4QpoJA3T2
分散型プロトコルとしてLidoと比較したRocket Poolの特徴は、16 ETH+RPL(16ETH相当)のデポジットで誰でもバリデーターを運営できること。LIDOの50倍となる2000件のバリデーターにより維持されており、各バリデーターはETHのステーキング報酬だけでなくRPLで手数料収益や報酬を受け取る。
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DeFi Llamaによると、Lidoの利回りは5.0%、Rocket Poolは4.43%となっているが、今後RPLの価格が上昇するようであれば利回り状況にも変化があると期待される。
13日には仮想通貨の自己管理型ウォレット「MetaMask(メタマスク)」が、LidoとRocket Poolを介したETHリキッドステーキングのサポートを開始した。LidoとRocket Poolの独自トークンであるLDOとRPLはそれぞれ23年1月中に120%、64%上昇している。
なお、ETHリキッドステーキングを提供する他の分散型プロトコルではStakewise(SWISE)のトークン価格も過去1か月で2倍に成長している。
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