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グアテマラのビットコイン・レイクに行ってみた|体験記寄稿4 草の根活動を通じてビットコインが広まった現場で見たこと・感じたこと

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ライトニングネットワークの威力

前回はビットコイン・レイクのコミュニティリーダーの奮闘で、パナハッチェルと周辺地域でビットコイン決済が急速に普及していることを紹介しました。ここでのビットコイン決済は全てライトニングネットワーク上で行われる、いわゆる、ライトニング決済です。

著者提供:ビットコイン・レイクでの1日はグアテマラ産の美味しいコーヒーで始まります。支払いはもちろんライトニング決済

2017年バブル期には、ビットコインの送金手数料が高騰し、ビットコインは決済手段にはなり得ないとよく言われたものです。2021年半ば、プチバブルと中国でのマイニング取り締まり強化で一時再高騰しましたが、SegWitやバッチ処理の普及で、メモリープールが逼迫する頻度は激減し、オンチェーン、つまり、ベースレイヤーであるビットコインネットワークの手数料は低位安定しています。

オンチェーンのトランザクション手数料推移(CoinMetrics)

ただ、手数料が安くても、日常の買い物にオンチェーン決済は向きません。決済に時間を要するためです。

手数料もいずれはビットコイン価格とともに上昇は不可避でしょう。将来的には、ベースレイヤーは時間とコストがかかってもセキュリティとファイナリティが求められる決済に利用する、例えるなら全銀ネット、日銀ネット、Fedwireのようなものになると言われています。

日常的な決済はセカンドレイヤーであるライトニングネットワークが既にデフォルトになりつつあります。ライトニングはVisaネットワークみたいなものですが、決済は即時、手数料はゼロに近いです。

クレジットカードも支払う側から見ると、そう見えるかもしれませんが、実際には店舗が1~5%程度の決済手数料を負担しており、顧客がPOSにカードを通して支払った代金が店舗に渡るのは数週間後です。

日本では決済手数料は店舗が負担しますが、海外、特に途上国では顧客に転嫁されることも多いです。さらに、クレジットカードを海外で使うと海外利用手数料として1.5~3%程度が課されます。

ライトニング決済導入により、店舗は手数料削減と入金サイクルの大幅短縮というメリットを享受できます。クレジットカード会社と契約できない銀行口座を持たない事業者は、現金以外、オンラインの決済手段を初めて提供できるようになります。支払う顧客側も海外では手数料を節約できます。

ここ1~2年のライトニングの進化は目を見張るものがあります。決済可能な金額は数千円から数十万円に伸び、決済フローも従来のインボイスをQRコード化してカメラで読み取る方式に、NFCカードをかざして読み取る方式が加わり、ますます時短になりました。

以下動画はタッチ決済対応のVisaとライトニングの決済スピード対決です。約3秒差で左側のライトニングの勝ちです。ライトニングネットワークを知らず、未だにビットコインは遅くて決済には使えないと言っている人に見せてあげてください。

50回超のライトニング決済を体験してみて

私は今回エルサルバドルとグアテマラ合わせて10日間の旅行中、50回以上のライトニング決済を行いました。普段から公私ともにライトニング決済を多用していますが、リモート決済がメインで、送受金の相手はライトニングに通じたビットコイナーです。

しかし、今回は対面決済がメイン、しかも相手はライトニングはおろか、ビットコインについてもよく知らない人たちでした。

普段とは違うシチュエーションで初めて経験したトラブル、改めて実感したライトニングの利便性、そこから見えてきた理想のライトニングウォレットの要件などを共有させていただきます。

ビットコインを受け取る店舗の環境

ビットコイン・レイクはローカルビジネスへのビットコイン導入前、推奨ウォレットを決めるにあたり、多くのライトニングウォレットをテストした結果、エルサルバドルのビットコインビーチの公式ウォレットであるビットコインビーチウォレット(BBW)が一番ニーズにマッチしているとの結論に至ったそうです。ただBBWをそのまま店舗に導入するには、1つ問題がありました。

BBWは支払額や残高をエルサルバドルの通貨であるビットコインか米ドルでしか指定、表示できないのです。そこで、オープンソースのBBWをフォークして、グアテマラの通貨ケツァル対応のオリジナルPOSを開発しました。

著者提供:BBWをフォークしたビットコイン・レイクPOS

店舗はPOSに代金をケツァル建てで入力してインボイスを生成し、QRコードを顧客に提示、それを顧客が自身のウォレットで読み取り、金額を確認後、実行ボタンをタップします。

著者提供

しかし、せっかく用意したPOSを活用していない店舗も多かったです。店員が使い方を知らないのか、単に面倒なのか、理由は定かではありません。

通常、ライトニング決済では、店舗が会計毎に使い捨てのインボイスを作成します。つまり、会計の度に以下の作業が発生します。

  1. スマホをアンロック
  2. ウォレットアプリを開く
  3. 受金ボタンをタップ
  4. 金額を入力
  5. インボイス作成ボタンをタップ

ウォレットやPOS操作に慣れていない店員、客回転が速くインボイス作成が機会費用となりえる人気店、インボイス作成のためにいちいち手を洗わないといけないワンオペレの飲食店などには受け入れ難いのでしょう。

そのため、ほぼ全ての店舗には、繰り返し使えるライトニングアドレスをQRコード化して印刷した紙が置いてあります。

著者提供

このライトニングアドレスに支払う場合、顧客が自分のウォレットで支払金額を入力する必要があります。私はこれまでも、エルサルバドル、アメリカ、ヨーロッパなどでこの方法を経験しており、金額入力という一手間が増えるものの許容範囲でした。

ただ、今回は使用するウォレットによって面倒なことになりました。

以下、私のスマホにインストールされたライトニングウォレットです。

著者提供

このうち、グアテマラの通貨ケツァルに対応しているのは、Muun、Breez、Wallet of Satoshi(WoS)、Phoenixの4つです。これらのウォレットを使った場合の決済フローは以下です。

  1. ウォレットでQRコードを読み取る
  2. 店員に言われたケツァル建て金額を入力
  3. 送金ボタンをタップ

(Muunは実際にはこの方式の決済には利用できません。金額指定のないflexible amount invoiceに対応していないためです。)

では、ケツァル未対応ウォレットの場合、どうなるでしょうか?

  1. ウォレットでQRコードを読み取る
  2. 店員に言われたケツァル建ての金額を、通貨換算アプリでビットコイン建てに換算
  3. 著者提供

  4. 通貨換算アプリの画面を店員に見せて、ビットコイン建ての支払金額を了承してもらう
  5. 3のビットコイン建て金額に少し上乗せした額をウォレットの金額欄に入力
    (通貨換算アプリ、店舗のウォレット、私のウォレットが参照するレートが違う可能性を考慮して、店舗のウォレットが受け取るケツァル建て金額が不足する事態を回避するため)
  6. 送金ボタンをタップ
  7. 店舗のウォレットにケツァル建て金額が不足なく届いたことを確認

結構な手間です。しかも、3のビットコイン建ての金額入力は、ウォレットによって更に一手間かかります。

BBWとBlixlはビットコイン建ての金額指定をsats単位での入力に限定しています。そのため、通貨換算アプリに表示されたドルとウォレットのドル表示を頼りに、桁を間違えないようビットコインをsatsに変換、入力する必要があります。

寄稿者:練木照子(Teruko Neriki)練木照子(Teruko Neriki)
ビットコインとライトニング関連スタートアップへの投資に特化したVCフルグルベンチャーズ所属。「ビットコインスタンダード」「ビットコイン、強気にならずにはいられない理由」「ビットコインの歩き方」翻訳出版。ビットコイン研究所について詳細はこちらからご覧いただけます。
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