FTX Japan インタビュー
暗号資産(仮想通貨)取引所FTX Trading Ltdの経営破綻から早3ヶ月半。
綿密な調整と対応を経て、日本法人「FTX Japan 株式会社」では、2月21日から法定通貨(日本円)の出金と仮想通貨の出庫サービスが再開しました。
今回、FTX JapanのCOO、セス・メラメド氏へのインタビューを実施。再建の節目となる顧客資産の返還を中心に展望を伺いました。
関連:FTX Japan 2月21日より仮想通貨・法定通貨出金再開へ
FTXの影響
ーFTX Japanの現在の状況は
出金プロセスが円滑に行われること、ユーザーからの問い合わせに対し限り迅速に対応することに注力しています。
ー資産返還に関してどのような進展があったか
日本時間2023年2月21日正午より出金再開しました。日本時間2月28日午前9時の時点で、5,400名以上の個人と法人の利用者に対し、96億9,000万円相当の出金処理が完了しています。
出金・出庫の進捗状況は、FTX Japanのお知らせで公開しています。
顧客資産の返還について
ー資産返還にあたり、どのような課題があったか
FTX Japanで優先したのは、認証済み口座の出金をできるだけ早く、安全かつ正確な方法で再開させることでした。もっとも困難だったのはFTXの各種システムからデータを取得し、そのデータの正確さを検証することでした。
ーFTXグループの他企業の多くがユーザー資産を返還できない中、なぜFTX Japanは返還可能できたのか
FTX Japanは日本の法規制対象となる事業者であることから、日本の規制、特に顧客の暗号資産と法定通貨(日本円)の両資産に対する「分別管理」を遵守しています。法定通貨は指定された第三者信託銀行の信託口座に、仮想通貨は分別されたコールドウォレット(ネットから切り離した安全性の高いウォレット)に保管されています。
これが、ユーザーへ資産返還するための重要な要素でした。運営チーム以外の人間にアクセス権を与えることは決してありませんでした。
FTX JapanとLiquid Japanの認証済みアカウントの全顧客資産は、FTX Japanの管理下に置かれています。
ー資産引き出しを優先する条件は
あらかじめ設定された条件を満たすユーザーから、依頼された順番に資産が出金されます。その条件には、FTX Japanでの本人確認(KYC)手続きと審査が完了していること、Liquid Japanの口座を開設し、FTX Japanの口座の残高をLiquid Japanの口座へ移管していることなどが含まれます。
この事前の条件については、当社のウェブサイトや電子メールを通じてユーザーに通知されています。
出金に関する情報は、 FTX Japanのお知らせで公開しています。
資産の引き出しができない例
ー一部の日本のユーザーが資産を引き出しできないのはなぜか
一部の日本在住のユーザーが、日本では規制されていない「FTX Trading Ltd」や海外の関連企業が提供するサービスにアクセスしていたことがありました。
日本在住ユーザーは、幾度かにわたり、海外のFTX取引所からFTX Japanに口座残高を移管するよう促され、 実際、多くのユーザーはその案内に沿って手続きを実施しました。
このようなユーザーが2022年11月10日以前にFTX JapanのKYCプロセスを完了し、口座残高をFTX Japanの口座に移管していた場合、その資産は、変換対象の残高に含まれることになります。
ただし、FTX Japanに移管されず、これらの日本の規制対象外のサービスのための口座に残っている資産は、Liquid Japanを通じた返還の対象にはなりません。
ーFTXがFTX Japanのユーザー資産にアクセスしたことはあるか
ありません。
ーFTX から FTX Japan に移管された資産と、直接FTX Japan に預け入れられた資産で異なる取り扱いがされていたのか
いいえ。
ーFTX Earn を利用した日本のユーザーの資産も返還されたか
FTX Japanの顧客として、認証済み口座でFTX Earnを利用したユーザーの場合、FTX Earnの残高は、出金のためにLiquid Japanに送金可能なFTX Japanの口座残高に含まれます。
FTX Japanユーザー向けのFTX Earnのサービス提供は、米国での破産申請前に終了しています。
ーFTX Japanの今後について
出金再開のためのさまざまな経験を通して、貴重な知見とプラットフォームの将来に対するより明確なビジョンを得ることができました。
日本および世界中の利用者や利害関係者との交流を通じて業界を改善し、より安全で透明性が高く、ブロックチェーンの真価を発揮するエコシステム構築のための領域を特定することができたと思います。
FTX Japanは、業界の将来のために必要不可欠な規制、運用方法、ガバナンス要件などに準拠しつつ、仮想通貨関連事業を運営できるという証であると考えています。