CoinPostで今最も読まれています

Web3業界で2023年に注目すべき技術トレンド5選=レポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

イーサリアムのインフラ整備が進む

アジア最大の暗号資産(仮想通貨)に特化した資産運用会社HashKey Capitalは8日、2023年に注目すべきweb3業界の技術トレンドについてレポートを発表。イーサリアムの最新のアップグレードやステーキング関連技術など、以下の5つの動きに焦点を当てた。

  • イーサリアムの主要アップグレード(上海、Cancun)
  • ステーキング関連技術・製品・サービス
  • モジュール型ブロックチェーンの改良とアプリ固有のロールアップ開発
  • ZK(ゼロ知識証明)の非スケーリングアプリケーション(例:ZK ブリッジ)
  • AA(account abstruction:アカウント抽象化)とMPC(マルチパーティ計算)、ライトニングネットワークなどの技術をエンドユーザー向けに展開

HashKeyはまず、最重要アップグレードが今年イーサリアムで行われることに注目。2月28日にSepoliaテストネットで実装を完了し、順調に進行している上海アップグレードと、次期アップグレード「Cancun」に言及した。

上海アップグレードでは、ステーキングされているETHの出金機能が実装され、数年越しのロックアップ解除(引き出し)が可能になる。

関連:イーサリアム、Sepoliaテストネットで上海アップグレードの実装を完了

さらに上海に続く主要アップグレードとして、イーサリアム改善提案「EIP-4844」の実装を行うCancunが予定されているが、HashKeyはCancunを「2023年の最も重要な技術的アップグレード」と評している。

EIP-4844は、「Proto-Danksharding」という機能を実装する提案。この機能はイーサリアムのスケーラビリティ改善のために設計されており、実装されれば、L2の手数料を最大100倍安価にすることが可能になるとみられている。

また、イーサリアム仮想マシン(EVM)のアップデート、EVM Object Format(EOF)が行われる予定。この変更により、スマートコントラクトの運用性能が向上し、手数料削減につながるという。

ただし、アップグレードの詳細は今後変更する可能性もあり、Dankshardingの基盤づくりの作業は進むが、今年中に実現する可能性は低いとHashKeyは見ている。

ステーキング関連技術の開発

HashKeyは上海アップグレードが完了すると、ステーキング関連の技術が更なる発展を遂げるとの見解を示した。さまざまなステーキングソリューションが登場するが、流動性を提供するソリューションが成功の鍵を握るとしている。

  • 流動性ステーキング
  • 分散型ステーキング
  • リステーキング
  • DVT(分散型バリデータ技術):ステーキングの分散化を支える
  • ステーキング報酬の安定化:異なるノード間の報酬ギャップの低減

モジュール型ブロックチェーン

HashKeyは2023年に注目を集める分野の一つとして、モジュール型ブロックチェーンに言及。さまざまなレベルと方向性で開発が期待されているという。

モジュール型ブロックチェーンは、技術、アプリケーション、ルール、標準をモジュール化したパブリックチェーン。各モジュールは異なる機能を担っており、コンセンサスとアプリケーションなどの実行を別々のレイヤーに分離して処理するのが特徴となっている。

HashKeyはデータの可用性レイヤーにおける競争の高まりや、より柔軟で効率的な実行レイヤーの実現を予想している。成果を上げ、注目されるプロジェクトとして、Celestia、 Polygon Avail、Arbitrum AnyTrustなどを挙げた。

ZK関連の進展

HashKeyは、スケーリング問題解消という面で「zkEVM」の重要性に言及。技術の成熟には時間がかかるが、ConsenSys zkEVM、Polygon Hermez、Scrollなどで今年、テストネットやメインネットが開始される予定だという。

関連:米ConsenSys、zkEVMの一般向けテストネットを3月28日にローンチへ

zkEVMとは、イーサリアムの仮想マシン(EVM)と互換性や等価性を持つL2ソリューション。ZKロールアップは技術は優れているものの、EVMと互換性を持たせることが困難とされてきたが、ScrollやzkSyncら複数のプロジェクトが技術を実現しようと取り組んできた。

ZKロールアップとは

ゼロ知識証明を導入したロールアップ技術のこと。ロールアップとは、メインのブロックチェーンのセキュリティを活用しながら、トランザクションの一部をオフチェーン(ブロックチェーン外)で処理することにより、ネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションを指す。

▶️仮想通貨用語集

ZKの他の分野の応用は昨年大きな進展を見せたが、そのトレンドは今年も継続し、中でも「zkBridge」に注目しているとHashKey。バリデータの署名の検証をZK証明に変更したり、ZKに合意形成プロセスとしてPoSを実装するなどの方法があると説明した。

ウォレット技術の進展

HashKeyは、ウォレット分野でMPC(マルチパーティ計算)が必須機能になる可能性があると予想している。MPCを使用すると、複数の関係者間でキー(鍵)を安全に分割、暗号化、配布することが可能になり、ユーザー資産の安全性を高めることにつながる。

また、EIP-4337などAA(アカウント抽象化:通称スマートアカウント)の技術は、完成に近づいており、コード開発が順調に進むと2023年には成熟の域に達すると予想。MPCと組み合わせたウォレット製品の発表を期待したいと述べた。

今月2日、ERC-4337がイーサリアムへ実装されたと発表され、開発者はアプリケーション構築を開始できるようになった。ERC-4337は、イーサリアム創設者のヴィタリック・ブテリン氏が2015年に発表したコンセプトに基づいている。

メタマスク等の仮想通貨ウォレットではユーザーが秘密鍵を管理しているため、通常では各取引でブロックチェーン上で支払いを開始するためにユーザーの操作が必要だった。今後はアカウント抽象化の仕組みを応用して、ウォレット経由の支払いを自動化することができるようになり、利便性が向上する。

関連: イーサリアムが「スマートアカウント」を実装、ウォレットのユーザビリティ向上に期待

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/29 金曜日
08:40
2.6兆円相当のBTC保有数到達、ブラックロックのビットコイン現物ETF
純流入再び加速 ブラックロックのIBIT・ビットコイン現物ETFの運用資産は初めて、250,000 BTC(2.6兆円)を超えた。1月11日の取引開始からわずか11週間で2兆円…
08:10
Wormholeの仮想通貨「W」、取得開始日明かす
Wormholeは、今月7日に、Wトークンのエアドロップアロケーションや適合対象アドレスを公開。ソラナ、EVM系、Sui、Aptos、Osmosis、Injectiveといったネットワークでのユーザーや、ソラナNo.1NFTコレクションである「Mad Lads」のホルダーを対象としている。
07:40
米投資会社、マイクロストラテジーの株はBTCより割高と指摘
マイクロストラテジーの株価から概算する仮想通貨ビットコインの価格は17万ドル超であると米ケリスデールが分析。同社の株は、ビットコインに対し正当ではないプレミアムがついて取引されているとの見方を示した。
07:20
アバランチ財団「Codebase」、最初の支援プロジェクト15社を選出
アバランチではすでに「Colony Lab」という分散型アクセラレーターが活動しているが、今回Codebaseと連携し支援対象への資金提供を拡大し、1プロジェクトにつき、100万ドルを超える金額を提供する可能性がある。
06:45
5月承認の可能性低いもBitwiseらがイーサリアム現物ETFの上場申請行う
イーサリアムETFが現在の多くの申請の最終期限となる5月に承認される見込みは、SECがイーサリアム財団を調査しているとの報道などを受け大幅に後退している。1月には70%あったが、現在は20%程度まで低下してきた模様だ。
05:50
Bybit、ソラナミームコイン「POPCAT」の永久先物提供
ソラナの仮想通貨ミームコインへの需要は未だ高い。代表的な犬系ミームコイン「WIF」は29日過去最高値を更新し、前日比で20%上昇している。
03/28 木曜日
17:35
分散型AIの3大プロジェクトが団結、新トークン「ASI」に統合へ
SingularityNET、Fetch.ai、Ocean Protocolが人工超知能連合を結成し、各プロジェクトの暗号資産(仮想通貨)を新トークンASIに統合する計画を発表。単一の分散型AIネットワークとしてリニューアルを目指す。AGIの父と呼ばれるベン・ゲーツェル博士が主導する。
15:58
ビットコインのレイヤー2「BEVM」ローンチ
BEVMがメインネットをローンチ。暗号資産(仮想通貨)ビットコインをガス通貨として利用するEVM互換のレイヤー2ネットワーク。シリーズAで数十億円を調達し、分散型ビットコインクロスチェーンカストディサービスを実現。
15:00
NEARプロトコル、マルチチェーン再ステーキング「LiNEAR」始動へ 
NEARプロトコルがChain Signaturesを導入、暗号資産(仮想通貨)の相互運用性を強化。ビットコインやイーサリアムなど複数のブロックチェーンをサポートする。オムニチェーン再ステーキングLiNEARが始動。
14:15
「イーサリアムが有価証券でもETF化は可能」ブラックロックCEO
仮想通貨イーサリアムに関しては、米国においてその法的ステータスが定かではない。CFTCは商品(コモディティ)と見做している一方、SECはETHに関係するスイスのイーサリアム財団を調査していることが先週報じられた。
10:45
Parallel Studios、VanEckやソラナベンチャーズから53億円調達
パラレルはイーサリアムメインネットおよびBaseチェーン上で稼働するものだが、先日発表された、コロニーのローンチ先がソラナのブロックチェーンであることや、今回ソラナベンチャーズが出資したことから、今後クロスチェーンでの展開が考えられる。
10:15
イーサリアム「BLOB」にデジタルアートを記録する方法 Ethscriptionsが導入
イーサリアムのチェーン上にデジタルアートなどを記録するEthscriptionsは「BlobScriptions」を発表。ブロブにデータを記録する方法となる。
08:10
21Shares、欧州でTONの上場取引型金融商品を提供
今月初めテレグラムは仮想通貨TONを正式に統合し広告収入をチャンネル所有者と共有し、TONブロックチェーン上でToncoinを使って報酬を支払うようになった。この動きが投資家からの需要を押し上げたようだ。
07:30
ブラックロック「BUILD」、一週間で240億円超の資金流入を記録
ブロックチェーン上でトークン化された現実世界資産(RWA)の運用を提供するOndo Financeからの10億円以上新たな資金もありファンドの規模は拡大中。
06:50
スクエニやソラナ財団、Elixir Gamesに21億円出資
Elixir Gamesは、ゲームローンチャー「Elixir Games Launcher」で、さまざまなWeb3ゲームを遊べるPCアプリを提供。また、Web3ゲームがNFTなどのゲーム内資産のセールを代行するローンチパッドで、ミントなどの機能を提供する予定だ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/06 ~ 2024/04/09
香港 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター3FG
2024/04/09 14:00 ~ 16:00
その他 オンライン
2024/04/13 ~ 2024/04/14
東京 東京都港区
2024/04/13 10:00 ~ 17:00
その他 オンライン
重要指標
一覧
新着指標
一覧