法定通貨レアルでの入出金可能に
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは21日、ブラジル政府の決済システムPixと連携し、ユーザーが法定通貨レアルを使って入出金できるようにしたと発表した。株価は+11%以上上昇した。
これまで、ブラジルのユーザーは、仮想通貨購入に際してはクレジットカードしか仕えなかったが、法定通貨入出金が可能となり、利便性が向上した形だ。
Pixは、ブラジル中央銀行が開発し、2020年にリリースした即時決済システム。金融包摂を目的の一つとしており、年中無休で振り込みや送金などを低コストで行える。スマートフォンによる決済も可能だ。
さらに、コインベースのアプリを完全にポルトガル語に対応させ、顧客サポートも年中無休で24時間利用できる。ユーザー登録時のプロセスもこれまでよりシンプルになった。
コインベースのグローバル担当責任者Nana Murugesan氏は、「私達はブラジルの大きな可能性と成長機会を認識しており、ブラジル市場のニーズに合わせた製品の投資と開発に取り組んでいる」と述べた。
コインベースは、ブラジルの責任者Fabio Plein氏について、南米も含めたアメリカ大陸全体のディレクターとしたことも発表。ブラジルおよび中南米地域でより積極的に事業を行っていく姿勢である。
Plein氏は、次のようにコメントした。
コインベースは、現在約1.1億人のユーザーを擁しており、少なくとも10億人にサービス提供することを目指す。この目標を達成するにあたってブラジルは重要な市場だ。
ブラジルは人口が多く、草の根での仮想通貨使用も活発であり、その将来が期待できる。
コインベースは、2021年、ブラジルにテクノロジーの拠点を設置し、同国などに向けた仮想通貨とWeb3の技術を開発していく構えだ。また、コインベースのベンチャー部門は、ブラジルの仮想通貨管理会社Hashdexや、中南米地域で仮想通貨ベースの金融サービスを提供するLednに出資している。
ブラジルの銀行ともパートナーシップをめぐり議論しているところだという。
コインベースのグローバル戦略
Murugesan氏は、コインベースのグローバル展開戦略は「深く」「広く」という二方向あると話している。
「深く」を適用する範囲は、ブラジル含め、欧州のいくつかの国、オーストラリア、シンガポールなど10以下の市場であり、その国に固有の特別な戦略が取られる。
一方で、「広く」は、様々な国に対応できるようなボーダレスなアプローチであるとした。一例としては、各国で使えるコインベースウォレットがあるとしている。
コインベースとは
アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く仮想通貨取引所である。創業は2012年。世界最大手の民泊サービスのエンジニアを経験した人物と、大手証券会社の為替ディーラーを経験した人物が共同で事業を立ち上げ、短期間で仮想通貨業界のトップベンチャーとなった。
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米国外に取引拠点を検討か
コインベースは、米国外にも取引拠点を設置することを検討していると伝えられるところだ。背景には米国の規制環境があるとみられ、グローバルな顧客向けに他の拠点を探しているという。実際に取引プラットフォームを創設する形なのか、どの国に創設するのかなど詳細は決まっていないとされる。
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