
- 英国政府、仮想通貨市場の最新評価を今後進め、秋にも報告する計画
- 英国のロード・テイラー上院議員が先日のビットコイン価格下落を受けて、特に国内ブロックチェーン産業に及ぼし得る影響について政府に見解を求めた。これに対し担当大臣のベイツ氏は「政府として公式な評価を終えていない状況だ。引き続き仮想通貨市場の監視と評価に努める」と答えた。評価内容の報告は間もなくこの秋に行われる見込みだ。
- CFDとは
- 差金決済取引(CFD: Contract For Difference)。証券会社に証拠金を預託し、その資金を元に差金決済を行う。株式に代表される実際の資産に投資するのではなく、買値と売値の差額を取引する点に特徴があり、欧州を中心に人気となっている。
英国で先日、米国のビットコインおよび仮想通貨価格の下落を受け、ロード・テイラー上院議員が政府の認識を確認したことが伝えられています。
質疑の内容
テイラー上院議員が、
「米国の仮想通貨市場の最新状況の報告は受けていると思うが、英国のブロックチェーン産業に及ぼし得る影響を政府はどう見ているか」
と質問したのに対し、国際開発担当大臣のベイツ氏は、
「政府として公式な評価を終えていない状況だ。引き続き仮想通貨市場の監視と評価に努める」
と答えました。
この秋にも最新評価が報告される見込み
ベイツ大臣は返答の中で、財務大臣が3月に仮想通貨資産に関する作業部会を発足させたことに言及しました。
この作業部会は英国財務省、イングランド銀行、およびFCA(金融行為監視機構)の三者から構成され、暗号通貨資産やその金融サービスにおける事例のリスクや将来性の評価を行うと共に、規制が必要になった場合の検討も視野に入れています。
現在作業部会で進めている評価の結果は、この秋にも報告が予定されています。
先週には、財務省のジョン・グレン財務担当政務次官が、国が後押しする仮想通貨の現状に関し、財務省とイングランド銀行の間で未だに公式な話し合いが行われていないことを明らかにしたばかりでした。
ジョン・グレン次官はまた、現時点でイングランド銀行に仮想通貨を発行する計画がないことを認めた上で、引き続き調査/検討を続けていく意向を示しました。
今年3月にも、ジョン・グレン次官は同様の質疑に応じた経緯があります。その際、グレン次官は、
「政府としては、仮想通貨を法定通貨として認識する計画は今のところない。また、金融商品としての枠組みを設けることも考えていない」
と答えました。
英国仮想通貨規制に関するこれまでの経緯
英国では、今年2月22日の財務委員会で仮想通貨に関する意見交換が初めて行われました。
この意見交換は、英国における仮想通貨/DLT(分散型台帳技術)の役割拡大の可能性を探ると共に、消費者、企業および政府の三者における仮想通貨の機会とリスクを深掘りすることを目的としたものです。
今後、同委員会では、ブロックチェーンを含むDLTが金融機関や中央銀行、および金融インフラに及ぼす潜在的影響を検討する計画です。
現在、英国では、仮想通貨を活用したCFD(CoinPost編集部注:本記事冒頭の「CFDとは」を参照)のような特定商品を除き、仮想通貨に関する包括的な規制が行われていない状況です。
参考記事1: The Consequences of Crypto Price Swings Have yet to Be Determined
参考記事2: UK Govt not making any assessment of consequences of recent cryptocurrency value swings