Uniswap V4の実装見込み
分散型取引所(DEX)最大手のUniswapについて、次世代モデルであるV4のリリース時期について進捗が確認された。23年9月末に予定されるイーサリアム(ETH)の大型アップグレード「Cancun」の実装完了を待つ形で、Uniswap V4のローンチ計画が組まれている。
Uniswap Foundationのガバナンス・リードを務めるエリン・コーエン氏は6日、Cancunのアップグレード完了後、Uniswap V4のセキュリティ監査プロセスが始まることを明らかにした。監査プロセスは未確定ながら、1~4ヶ月後かかる見込みだという。
新たなバージョン4では、流動性プール(LP)と呼ばれる取引ペアのカスタマイズ機能が導入される予定。現行のバージョン3と比較してプロトコルの資本効率とガス効率が大幅に改善されることが期待されている。
特筆すべき新機能として、「フック(Hook)」がある。これは独自の自動マーケットメイカー(AMM)プールを作成するためのプラグインとなる。具体的には、市場状況に応じて手数料を動的に変更したり、指値注文やドルコスト平均法(DCA)を使って一定間隔で買い注文を分散するといった設定が可能となる。
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Cancunアップグレードの影響
また、Uniswap v4では、「フラッシュ・アカウントティング」という新たな仕組みを導入し、複数のプールをまたいだ取引のガスコストを大幅に削減する。これは、Cancunアップグレードで統合される予定のイーサリアムのプロトコル改良案EIP-1153「トランジェント・ストレージ」を活用するものである。そのため、Uniswap v4のリリースは、Cancunアップグレードの成否に大きく影響を受けることとなる。
コーエン氏によれば、V4の実装スケジュールはあくまで目安である。Cancunのハードフォークが延期されたり、監査プロセスが延長されたり、その他の要因によって変更される可能性があることに留意する必要がある。
一方、イーサリアムのブロックチェーン開発者は6月8日の会議で、次期アップグレード「Cancun」に向けて改善提案(EIPs)のリストをまとめていた。
最も大きな変更は、EIP-4844「プロト・ダンクシャーディング(Proto-Danksharding)」で、レイヤー2(L2)からレイヤー1(L1)へのデータ転送にかかるトランザクションコストを削減。これにより、オプティミズム(OP)、アービトラム(ARB)などのレイヤー2スケーリングソリューションの取引手数料を最大で100分の1にまで削減することが可能とされる。
EIP-4844は、将来的にイーサリアムがシャーディング(ブロックチェーンを分割する手法)を実装するための重要なステップとなる。
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