「Base」メインネット公開
米大手の暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは9日、自社が開発中のL2ネットワーク「Base」のメインネットを全ユーザーに向けて公開したことを発表した。
ᴏɴᴄʜᴀɪɴ 🟡 ꜱᴜᴍᴍᴇʀ
— Coinbase 🛡️ (@coinbase) August 9, 2023
Today's the day—@BuildOnBase mainnet is here. Time to bring the next billion users onchain.
Mint “Base Day One” and watch the NFT evolve as more people come onchain.https://t.co/S7a1p0QShP pic.twitter.com/kV1F4lgVna
メインネットの公開により、仮想通貨ユーザーはBaseとイーサリアムのブロックチェーンとの間でトークンの往来が可能になった。Baseによれば、既に100以上のdapps(分散型アプリ)とサービスプロバイダを備えている。「Base上の決済通貨はイーサリアム(ETH)。誰でもネットワーク手数料(ガス代)ほぼゼロで、高速、セキュアな取引でdAppsを探索できる」と述べている。
Baseは認証済み登録ユーザー数1億人を超えるコインベースが育成(インキュベート)しているプロジェクトで、イーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションとして位置づけられる。その目標は、次の100万人の開発者と10億人のユーザーを仮想通貨の世界に引き込むことだ。
Baseのテストネットは2023年2月23日に立ち上げられ、7月には開発者向けにメインネットが公開されてテスト利用が進められてきた。
今回の公開まで、Baseへのトランザクションは一方向のみが許可されていたが、8月8日時点にBaseの預入総額は61,000 ETHを超え、1.35億ドル(約200億円)相当となっている。
このメインネットの公開を通じて、Baseにおける双方向の資金移動が可能となり、さらなる資金の流入が期待される。
Optimismとのコラボ
Baseはレイヤー2技術の一種Optimistic Rollupを採用、「Optimism(OP)」が提供するL2技術群「OP Stack」を利用して構築されている。コインベースは、分散化、許可不要、誰でも利用可能であることを保証している。
また、Baseはスマートコントラクト型のアカウントや高度な支払い機能「アカウント抽象化」をサポートし、従来のシードフレーズや秘密鍵の生成・保存の手間を省略できる。その代わりとして、2段階認証などを介してブロックチェーンとの交信が可能となる。
関連:Visaのイーサリアム実験報告書、「アカウント抽象化」による取引機能を探求
Optimismは「スーパーチェーン構想」を推進中であり、複数の「OP Stack」チェーンが並行して動作しつつ、一つのブロックチェーンのように相互作用するシステムを目指している。Baseの開発者チームはこの構想を支持し、収益の一部をOptimism Collectiveと共有する意向を明らかにしている。また、Baseとしての独自トークンの発行予定はないと強調している。
Optimistic Rollupとは
より多くの取引を迅速に処理することを目的とし、取引手数料(ガス代)を削減できるよう設計されているL2技術の1種。オフチェーンでトランザクションを処理し、まとめてレイヤー1に提出する技術で、L2から送られる取引データが正しいことを前提に動作する。もし不正があった場合は、「不正証明」によって取引を無効にし、関係者に罰則や報酬が与えられる。
▶️仮想通貨用語集
関連:Optimism、大型アップグレード「Bedrock」が6月に実施予定
Baseエコシステム
NFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)の市場のトッププロジェクトとしては、OpenSeaやUniswapなどが、新たなL2ネットワーク「Base」への参入を明らかにしている。Baseが新しいユーザー獲得の舞台として、多くの主要プロジェクトの注目を集めていることが伺える。既に100以上のdAppsがローンチしているという。
Base mainnet is now live and available for everyone, with 100+ dapps and service providers available in the ecosystem and deep integrations across Coinbase productshttps://t.co/jNMwSLimbL pic.twitter.com/peFoksSwhQ
— Base 🛡️ (@BuildOnBase) August 9, 2023
さらに、Baseを中心とした新しいプロジェクトの発展も期待される。コインベースはBase上でのアプリ開発を行うデベロッパー向けに、100以上のイーサリアム補助金(約2500万円相当)の提供を予告している。
8月4日から18日にかけては、Baseを含む他のスーパーチェーン関連メンバーと連携し、バーチャルハッカソン「スーパーハック」を開催する予定だ。こちらのイベントでは、賞金として125,000ドル(1700万円)が授与されることとなっている。
Baseは「Onchain Summer」と題したイベントを数週間にわたり開催する計画で、Base上で制作されたアート、音楽、ゲームなどがフィーチャーされる。この動きと並行して、コインベースのウォレットアプリやNFTプラットフォーム「Coinbase NFT」もBaseへの対応を進めている。
この「Onchain Summer」には、飲料の巨人コカ・コーラ社やNFT市場のリーダーOpenSea、そしてゲーム界の重鎮Atariをはじめ、50以上の著名企業やアーティスト、クリエイターが参画するとの情報が入っている。
Baseのローンチを祝う特別なNFT「Base, Day One」も発表されており、Onchain Summerの始まりとして注目されている。
今後22日間、onchainsummer.xyzでは毎日、新しいミントが発表される予定。例として、8月10日には、FWBとDeekaymotion、Cozomo de Mediciのコラボレーションによるデザイン、8月11日にはトレーディングカードゲーム「パラレル」のスターターデッキ、8月13日にはコカ・コーラが提供するグローバル・マスターピース・キャンペーンのアート作品などがラインアップされている。
関連:コインベースのL2「Base」、9日にメインネットをパブリックローンチへ
分散化計画
Baseには今後2年間を対象とした分散化の具体的なロードマップが公開されている。このロードマップによれば、現在、Baseネットワーク上の唯一のシーケンサーとして機能しているのはコインベースだけであるが、2023年中に新たなシーケンサーが追加される予定だ。さらに、スマートコントラクトのより広範な分散化を進めるとともに、セキュリティ評議会の設立を予定しており、これにより管理の分散と安全性を高い水準で両立させる方針を明らかにしている。