- カナダの新興技術に対する寛容姿勢
- ビットコイン投資信託CEOであるSean Clark氏は、CCNの取材に対してカナダ政府がブロックチェーンを含む新興技術に寛容な姿勢である理由を説明した。またClark氏は、今後5〜10年間に仮想通貨の市場規模は、数兆ドル規模まで成長すると考えている。
カナダが新興技術に寛容的な理由
アメリカ証券取引委員会(SEC)が未だビットコインを始めとする仮想通貨金融商品への対応に不透明さを残す中、カナダのFirst Block Capital社が提供する信託ファンド”FBC Bitcoin Trust”が、初めての、そして、唯一の認可されたビットコインのミューチュアル・ファンド(mutual fund)のステータスを獲得。
退職金貯蓄プラン(Registered Retirement Savings Plan、RRSP)や非課税貯蓄口座(Tax-Free Savings Account、TFSA)で運用可能となったことを発表しました。
同社のCEOであるSean Clark氏はCCNのインタビューにこう答えています。
一般的にカナダの規制は、ブロックチェーンや仮想通貨の潜在的な利益を理解した上で設けられている。伝統的にカナダの規制は技術革新に対して寛容的で、これがアメリカと異なる点だ。
以前コインポストでも報道しましたが、カナダの中央銀行であるカナダ銀行の調査によると、カナダは他国に先駆けるイノベーション・低エネルギーコスト・高速インターネット環境の普及率に加え、理想的な規制体制を基盤に、仮想通貨先進国家として頭角を現してきており、ブロックチェーン技術の活用に関してはアメリカ、イギリスに次ぐ世界第3位の規模にあるとされます。
カナダ規制当局:より対話に積極的な姿勢
Clark氏は、同社が他の専門家と共同で、カナダ証券管理局の法整備を助けるため仮想通貨やブロックチェーンに関する講義を行ったことを例に挙げ、「この際の経験と、特にSECとの対話などを比較すると、カナダ規制当局は技術革新に関する対話によりオープンな姿勢だと思う」と発言しています。
また同氏は、同国政府が仮想通貨やその他新興技術に対して寛容的である要因に、カナダ首相Justin Trudeau氏の存在を挙げております。
同首相はブロックチェーン技術に期待しており、アメリカがこういった新興技術に対してあまり積極的な態度を取っていない事を背景に、有能な労働力を海外からカナダに取り入れ、更に経済成長を遂げようとしていると目されております。
その他の重要な要素として、トロント証券取引所が、ブロックチェーンや仮想通貨関連企業が名を連ねる数少ない取引所であることも挙げています。
一方のアメリカでも複数ブロックチェーンETFが上場していますが、規制当局は、そのETFの名に「ブロックチェーン」という単語を含まないよう指示をしている事はカナダと対照的であると言えるでしょう。
投資家の安全第一
市場への参入を許可されているFirst Block Capital社のようなファンドは、会計検査の点でより批判的な視線が注がれますが、機関投資家や個人投資家を巻き込まれうるリスクから守られるよう保証するなど、カナダ政府はブロックチェーン技術や仮想通貨に対し、比較的活動しやすい環境を提供しています。
このように企業と規制当局との間でより協力的な関係を築きあげられるよう努めているようです。
Clark氏は、First Block Capital社により提供されるプロダクトを「本当のビットコイン投資信託」と説明し、グローバルレベルにおいても、そのようなものは現在他には存在しないと主張しています。
また同社の最高投資責任者(CIO)を務めるMarc van der Chijs氏は、プレスリリースにて以前以下のようなコメントを残しています。
私達は、今後もブロックチェーン、仮想通貨関連の認可された投資商品においてカナダが世界的リーダーとなれるように後押ししていくつもりだ。
私達の目標は、デジタル通貨資産クラスをより身近なものにすることである。そして、既に政府によって税制優遇された口座で運用することができるようになり、昨今ディーラーネットワークとして急速に発達している資産分配プラットフォームNEO Connectによって1日単位での流動性が確保できるようになったことで、その目標の実現まであと一歩というところまで来ている。
今後の展望
Clark氏は、今後5年から10年の間に仮想通貨の市場規模は、数兆ドル規模にまで成長すると考えています。
また同氏は
ただここ最近は弱気市場が続いていることから、1年半から2年後に起こるであろう高騰が始まる前に、今から4ヶ月間はビットコインやアルトコインの取引価格がこのまま硬直状態を保つか、あるいは下がる可能性がある。
と述べています。
またこの予測される高騰は、機関投資家の仮想通貨業界参入や、ETFの承認によって下支えされたものになるだろうとしています。
Clark氏は、既存の普通株を通して仮想通貨アセットに合法性と透明性を与えることや、金融商品の開発などに取り組む自社のことについて述べ、以下のように結論づけました。
仮想通貨市場に参入する際、規制されていない取引所を利用せずにすむため、投資家の信頼が向上するだろう。また、これにより様々なリスクが減少し、普通株のように機関投資家が仮想通貨市場に参入することが考えられる。