Dappエコシステムの変化
分散型アプリデータ企業DappRadarは12日、Blockchain Game Alliance(BGA)と共同で、ブロックチェーンゲーム分野についてのレポートを発表。2023年第3四半期(7−9月期)は、メタバースにおける取引量と売上高に顕著な落ち込みがみられた。
Dapp(分散型アプリ)エコシステムを俯瞰すると、ブロックチェーンゲーム部門は、今期のユニーク・アクティブ・ウォレット数(UAW:重複を除去したウォレット数)で、1日平均が78万6,766と、前四半期から12%増加。勢いは衰えたものの、市場の35%を占め、首位を維持している。
一方、ソーシャルファイ(SocialFi)分野への関心の高まりから、ソーシャルDappsが市場での存在感を増し、UAWで見ると、前年同期比の1%から急増し、11%を占めるようになるなど、他セクターの勢いが増してきている。
関連:Friend.techコード活用のソラナ「Friendzy」など、ソーシャルファイが流行に
メタバースでは今期、2万8,000件、合計約19億4,300万円相当(1,300万ドル)の土地取引が行われたが、2022年Q3以降、最低の取引量と売上高に落ち込んだ。
レポートは、取引活動の低下と「仮想世界のDappsに対する熱意」と区別することが重要だと主張。香港のWeb3大手企業アニモカブランズ(Animoca Brands)による、約30億円(2,000万ドル)の資金調達の成功を例に挙げた。
Animoca Brandsの「Mocaverse」プロジェクトは、「Web3ゲーム、メタバース文化、エンターテインメントの礎」となることを目指している。その取り組みを強化する動きとして、この資金が使われることが、この分野への関心が衰えていない証拠だと、レポートは指摘した。
関連:Animoca Brandsが新たに30億円を資金調達 Mocaverseプロジェクト推進へ
投資の動向
23年Q3に行われたWeb3ゲーム分野への投資は、約896億円(6億ドル)で、年初からの総額は約3,437億円(23億ドル)となった。この金額は昨年の総投資額の30%にすぎないという。
一方、投資の対象がゲーム・メタバースが35.5%であるのに対し、投資会社への投資が43.6%を占めていることに、レポートは注目。この分野の将来性について、ベンチャーキャピタルが自信を持ってコミットしている状況を表していると指摘した。
また、Q3で注目される投資として、著名投資会社a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)によるゲーム会社に向けた支援プログラム「SPEEDRUN」に言及した。
今年3月にローンチされた同プログラムには1,600社が応募。書類審査と200回の面接後に32社が選ばれ、a16zから資金の提供を受けた。
来年度のプログラム「SPEEDRUN2024」の応募は9月30日に締め切られたが、a16zは選出された各スタートアップに約7,470万円(50万ドル)、最大112億円相当(7,500万ドル)の支援を行う予定だという。
関連:プレイヤーが世界構築可能なWeb3ゲーム「Proof of Play」、a16zなどから約50億円調達
ゲームで有力なブロックチェーン
UAWとトランザクション数という指針から見ると、Web3ゲームで有力なブロックチェーンのトップは「Wax」で、12.8億回の取引が行われた。第2位はソラナ、第3位はBNBチェーンと続いた。
しかし、四半期ごとの成長率で見ると、Skaleが+265%、zkSync-Eraが+126%と大きく躍進し、5位と7位に躍り出た。レポートはこのようは新たなプレーヤーの参入と活躍が、Web3ゲーム分野の明るい展望を示しているとまとめた。
首位を占めるゲーム
UAWの平均から算出したWeb3ゲームのトップは、Alien Worlds。さらに「動いて稼ぐ」web3ゲームにも人気が集まっており、Sweat Economyと SuperWalkが上位5位にランクインした。
一方、取引量で見ると、全盛期よりは衰えたもののAxie Infinityが堂々のトップに君臨。Gods Unchainedが、新シーズンの発表で取引量を大幅に伸ばし、2位にランクインした。
また、レポートでは新たなトレンドとして、3位にランクインしたTresure DAOなど、カジュアルゲームスタジオの活躍に言及。トップ10のDappsのうち四つが、カジュアルゲームスタジオであり、「Web3ゲームの次の波はカジュアルゲームスタジオ」が占めることになるかもしれないと述べた。
関連:Web3ゲーム「Big Time」、コインベースなどに新規上場
関連:グランド・セフト・オート開発元子会社のWeb3ゲーム、「Sugartown」がNFT市場で躍進