CoinPostで今最も読まれています

米政府監視機関GAO「SEC仮想通貨会計公報は議会審査対象」SECの越権行為に釘を刺すか

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ガイダンスではなく規則と認定

米政府説明責任局(GAO)は10月31日、証券取引委員会 (SEC)が発行した暗号資産(仮想通貨)の保管に関する会計公報は、議会審査法(CRA)の適用対象であるとの判断を示した。

昨年3月に発行されたSECの職員会計公報121号(SAB121)は、顧客の仮想通貨を保有する金融機関に対し、会計及び情報開示に関するガイダンスを提供するもので、それらの資産を自社の貸借対照表に「負債」として計上するなど、解釈の具体例も示されていた。

関連:米SEC、仮想通貨カストディ企業のリスク開示関連のガイドラインを発行

SECは、SAB121は「政府機関による声明」ではなく、行政手続法(APA)の「規則」の定義を満たしていないため、CRAの対象ではないと主張。一方、GAOはSECの主張を否定。

「SAB121はAPAに基づく規則の定義を満たしており、CRAの対象となるため、SECはこの公報を議会及び会計検査院長官に提出する義務があった」との立場を貫いている。

GAOは、「SAB121がSEC全体を代表する声明として発行されたものではないのは確かだが、職員の意見を表明するものとして、SECの公式サイトに掲載されたものであるため、政府機関の声明として認識される」と述べた。

また、SAB121は特定の事業体に適用されることが明示され、その事業体が考慮すべきガイダンスが含まれているため「将来への効力」を持っているとした。さらにそれらの事業体による仮想通貨の会計処理や情報開示の優先事項を示しているため、SAB121はポリシーを解釈し規定していると説明した。

業界の声

ブロックチェーン協会の最高政策責任者であるJake Chervinsky氏は、今回のGAOの判断は、「SECが法律に違反したという、連邦機関からの明確な声明」であり「大きな影響力を持つ」とコメントした。 

SAB121は、仮想通貨カストディ企業に対し「貸借対照表上でデジタル資産の負債を二重計上することを義務付けた」ため、業界に甚大な損害を与えたと同氏は指摘。SECはSAB121をただち撤回すべきであると主張した。

仮想通貨支持派議員の声明

米連邦議会下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長とシンシア・ルミス上院議員は、SAB121はCRAにおいて、規則にあたるとのGAOの判断を受けて声明を発表。「SAB 121 は消費者に多大な損害を与えるものであり、SECによる明らかな越権行為だ」と指摘した。

SAB121は、健全性を重視する規制当局や一般からの意見を全く取り入れずに起草されたものであり、この有害な規則を阻止するため、議会が介入ししなくてはならない。

(マクヘンリー議員)

ルミス議員も、数週間以内にCRAを使って、この規則を阻止する予定だと述べている。

SAB121に対する批判

SAB121に対しては、仮想通貨業界はもとより、規制当局や議員の間でも多くの異議が唱えられてきた。

仮想通貨擁護派として知られるSECのへスター・ピアース委員は、SAB121の公開直後に公式声明を発表。SECが会計慣行の変更につながる「最終的な解釈指針」を、職員会計公報を使用するという形で公表したことを批判した。

22年6月、シンシア・ルミス議員を含む5人の議員もゲーリー・ゲンスラーSEC委員長に書簡を送り、行政手続法で義務付けられた規則制定プロセスを回避しようとするSECの姿勢に懸念を表明。「重要な会計変更」について「適切な手順に従わない」SAB121の撤回を求めた。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア