バイナンスに執行措置か
米司法省は21日、暗号資産(仮想通貨)関連の重大な執行措置を発表すると公表した。
海外メディアによれば、執行措置の対象は仮想通貨取引所バイナンスの模様。同社は司法取引を行い、米国で事業を継続できるようにするために罰金を約6,370億円(43億ドル)を支払って、チャンポン・ジャオ(CZ)氏はCEOを退任するとみられる。
今回の件は報道以外に、14日付の裁判書類が公開されている。原告は米国で、被告はグローバル版のバイナンスだ。
この書類によると司法省らは、少なくとも2017年8月から2022年10月までの間、バイナンスが米国の法律を遵守せずに米投資家にサービスを提供していたことを問題視している。米市場から利益を得るために、バイナンスは故意に法律違反を犯したと主張した。
主な違反内容は以下の通りである。
- 資金移動業者として登録していなかった
- 効果的なマネーロンダリング対策を実施していなかった
- 経済制裁のルールに違反した
裁判書類には、バイナンスが米投資家にサービスを提供していた証拠として、バイナンスが作成したデータを添付している。そこにはユーザーの比率を示す円グラフが記載。そのグラフには、米投資家がユーザーの23.2%を占めていることが書かれている。
今回の内容については、情報筋の話としてブルームバーグが21日に報道していた。同社の支払額やCZ氏退任の可能性など、報道後に明らかになった情報と記事の内容は概ね一致している。
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バイナンスの対応
海外メディアは、CZ氏はCEOを退任することに同意しており、米規制違反についても認めていると報じた。これは司法取引で、バイナンスUSは事業を継続できる可能性があるという。
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また、減額される可能性はあるが、CZ氏は約74億円(5,000万ドル)の刑事罰の罰金を支払うことにも同意。バイナンス自体も規制違反を認めている模様だ。
BNBの価格は、本記事執筆時点で前日比4%超下落している(CoinGecko参照)。
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バイナンスとは
取扱銘柄や取引高、登録者数が非常に多い大手仮想通貨取引所を運営。他にもベンチャーキャピタル部門の活動や教育コンテンツの提供、慈善活動など幅広い事業を展開している。22年11月には、日本市場への進出を発表した。
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