2024年1月、米国証券取引委員会(SEC)がビットコインETFを承認したことで、仮想通貨市場全体が盛り上がりを見せています。2024年はビットコインの半減期も控えており、強気な価格推移を予想をする人も少なくありません。
仮想通貨投資家の中には、分散型取引所(DEX)のLPで運用利益を追求する人が増えています。そもそもLPとはLiquidity Provider(流動性提供者)の略で、UniswapなどのイーサリアムDeFi上で流動性を提供し、報酬を得ることを指します。
本記事では、最近DeFiユーザーから支持を集めているAperture Financeの特徴や仕組みを解説します。
DeFi上級者のニーズに対応
DeFi(分散型金融)は2020年から、仮想通貨コミュニティの間で急速に支持を拡大しました。2021年11月のピーク時には、合計1700億ドル以上もの資金がDapps(分散型アプリ)上で運用されていたといいます。
読者のなかにも、UniswapのLPでイールドファーミングを行っている方は多いはず。日々運用を行う中で、「LP比率を自動的に調整できれば」「イールドを自動再投資したい」などと思ったことがあるかもしれません。
そのような方におすすめなのが、Aperture Financeが提供するLP管理ツールです。同ツールは、Uniswap V3のLP比率を自動調整したり、イールドを自動で再投資したりと、投資家の細かいニーズに応えているのが特徴です。
Aperture Financeとは
Aperture Financeは、米シリコンバレーを拠点とするスタートアップです。2020年に設立された同社は、個人投資家や機関投資家向けにクロスチェーンDeFiプラットフォームを提供しています。
具体的には、Ethereum・Arbitrum・Optimism・Polygon・Base・BNB Chain・Avalancheなどのクロスチェーン取引を行うことが可能です。また同社は、イーサリアムレイヤー2のManta Pacific上に独自DEXのApertureSwapも展開しています。
AUMは最大1億ドル超
Aperture Financeは数多くのDeFiユーザーに支持されており、2023年12月時点でピーク時のAUM(運用資産残高)は、1.2億ドルを超えています。
また、接続済みの仮想通貨ウォレット数は約5万3000件で、取引合計額は3億ドル、取引回数は7万回以上に上ります。
毎日500万ドルのLP調整
Aperture FinanceのLP管理ツールは、毎日約500万〜1500万ドルの比率調整を行っています。
上記のペースが継続した場合、Aperture Financeは1年間で16億ドルのLPを調整することになります。
DeFi投資家から幅広く支持を集めるAperture Financeですが、代表的なプロダクトはUniswap V3のLPを管理するツールです。
LP管理ツールの特徴
Aperture FinanceのLP管理ツールは、以下の特徴が挙げられます。
- ・LP比率の自動調整
- ・LP決済スケジュール
- ・LPイールドの自動再投資
- ・収益を得られる指値注文
LP比率の自動調整
Aperture FinanceのLP管理ツールでは、一定の価格・プール比率・時間に基づいて自動的にLP比率を調整することが可能です。
通常、DeFiでLP比率の調整を行うには、手動でLPを引き出し、金額を計算し、新しいポジションで流動性を再度追加する必要があります。
Aperture Financeでは、これらの作業すべてを1ステップにまとめることが可能です。比率計算を代行してくれるため、手間がかからないだけでなく、計算ミスも起こりません。さらに、ガス代の上限設定を行える点もメリットといえます。
例えば、「ETHが2,300ドルに上昇したら、ETHとUSDCのポジションを50対50にリバランスする。有効期限は90日」などの設定が可能です。
LP決済スケジュール
Uniswap V3でのLPポジションを、一定の価格または比率に基づいて自動的に決済することができます。これによって、常に市場価格をモニタリングする必要がなくなります。
また、LP比率の自動調整と同様に、ガス代の上限や期日も設定可能です。
例えば、「ETH / USDCのLPポジションが100%ETHになった時、自動で決済してすべてのETHをウォレットに送信する」などの設定が可能です。
LPイールドの自動再投資
LPで獲得した未請求のイールドを、LPポジションへ自動的に再投資できます。
LPでは時間の経過とともにイールドがたまっていきますが、これをLPポジションへ再投資することで、複利運用することが可能です。しかし再投資にはガス代が必要なため、「複利運用から得られる利益とガス代のバランス」を考慮しなければなりません。
Aperture Financeでは、LPイールドの再投資設定を行うことで、面倒な計算や作業が必要なくなります。当初設定した条件が揃った時のみ、自動的にイールドの再投資を行ってくれます。
例えば、「未請求のイールドの合計が250ドル以上で、ガス代が50ドル未満の場合、WETH-USDCのLPへ自動的に再投資する」などの設定が可能です。
収入を得られる指値注文
Aperture Financeでは、Uniswap V3で指値注文を出すことができます。
通常、DEXにおいて希望の価格で仮想通貨をスワップするのは容易ではありません。仮想通貨はボラティリティが大きいため、手動で決済する前に価格が変動することが多いからです。
Aperture Financeを利用すると、簡単な操作でUniswap V3へ指値注文を出すことが可能です。
例えば、「WBTCの価格が3万9999ドルより高い時、WBTCをUSDCにスワップ(売却)する」などの設定が可能です。
さらにAperture Financeの指値注文では、スリッページがゼロになることや、約定待ちの間に0.3%のイールドを得られる点もメリットです。
Aperture Financeの評判
Aperture Financeは、DeFi投資家から高い評価を受けているようです。
X(旧Twitter)のユーザーからは、「Aperture Financeの自動再投資機能は、Uniswap V3アプリのなかでもトップクラスに便利だ。特に、レイヤー2は再投資の手数料が低いのでメリットが大きい」という声もあがっています。
チームについて
2020年に設立されたAperture Financeは、これまでDeFi投資家や機関投資家を対象に様々なプロダクトを提供してきました。
Google出身者など在籍
シリコンバレーを拠点とするAperture Financeは、Google、Amazon Web Serivice、Netflix出身のエンジニアを擁するチームで構成されています。
また創業メンバーは、スタンフォード大学、コロンビア大学、コーネル大学、カリフォルニア大学バークレー校などの高学歴揃いです。
530万ドルの資金調達に成功
Aperture Financeは2022年2月、シードラウンドで530万ドルの資金調達を実施しました。
調達先は、ParaFi Capital、Arrington XRP Capital、Costanoa Venturesなどのベンチャーキャピタルです。ちなみにArrington XRP Capitalは、米メディアTechCrunchの創業者であるHeather Harde氏が共同設立したことで知られています。
またAperture Financeは、2022年5月にもシリーズAラウンドで250万ドルの資金調達に成功しています。
優秀なチームと潤沢な資金を持つAperture Financeは、今後も積極的にプロダクト展開を行っていくことが予想されます。
2024年にアップグレード予定
Aperture Financeは、DeFiユーザーのあらゆるニーズに答えるインテントソリューションを提供するために、2024年後半にアップグレードを行う予定です。
「インテント(意図)」とは、最近DeFi開発者の間で議論されている概念です。これは、DeFiユーザーの意思にそったトランザクションが実行される仕組みのことを指しています。
Aperture Financeは、今後より高度なユーザーのインテントに対応できるDeFiプラットフォームを提供するとしています。同社のブログ記事では、Aperture Financeの将来のビジョンとして「Apertureの統合インターフェースでDeFiの様々な問題を解決するソルバーDAOを目指す」と述べられています。
プラットフォームのアップグレードに加え、Aperture Financeは独自のトークンを発行する予定も控えており、今後ユーザーはさらに増えていきそうです。
LP管理はAperture Financeで
仮想通貨市場はボラティリティが非常に大きいため、DeFi運用には細かい調整が必須です。しかし、普段本業で忙しい方にとっては、常に市場をモニタリングすることは難しいのが本音ではないでしょうか。
Aperture Financeは、Uniswap V3でLP運用をするすべての方にとって、非常に役立つツールといえます。気になる方は、ぜひAperture Financeの公式サイトをチェックしてみてください。