CoinPostで今最も読まれています

大手銀行INGが独自の「ゼロ知識範囲証明」を開発、通常の証明に比べ高性能かつ幅広い応用が可能に

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

大手銀行INGがゼロ知識証明の応用技術を開発
オランダの大手銀行INGは銀行業界カンファレンス「Sibos」にて、ゼロ知識証明をより応用の効く形にした「ゼロ知識範囲証明」を開発した。これは通常のゼロ知識証明よりも計算が軽く、ブロックチェーンによる処理も速くなるというメリットも期待される。
ゼロ知識証明とは
証明者の証明する内容が正しいことを、「証明する内容が正しい」以外の情報を与えずに承認者に示す暗号化方式の一種。これにより、具体的にはパスワードを相手に教えることなく、そのパスワードが正しいものだと証明することができるようになるなど、プライバシーを保持した取引が可能になる。仮想通貨でも匿名性の高いZcashなどで採用されている。

▶️ CoinPost:仮想通貨用語集

INGバンクの新たなプロトコルとは

INGバンクはブロックチェーンにおけるさらなるプライバシー向上のために、ゼロ知識証明の一種である独自のZero-Knowledge Set Membership(ZKSM)ソリューションを発表した。

オランダに本社を置くこの大手銀行INGが開発したZKSMの正体は、ゼロ知識証明をより単純な形式にした、「ゼロ知識範囲証明」というものだ。

ゼロ知識範囲証明では、数値(金額など)が特定の範囲内にあることを、その数値が具体的にいくらであるかを相手に公開せずに証明できる。

例えば、住宅ローン申請者は自身の収入が、ローンの審査で求められる一定の範囲内にあることを、収入額を伝えることなく証明できるようになる。

このような範囲証明は、通常のゼロ知識証明よりも計算が軽く、ブロックチェーンでの処理も早くなるというメリットもあるとされる。

また、ブロックチェーンの構築上で拡張するように仕組まれているため、英数字を特定の順列内で検証可能なデータとして扱うことが可能になっている。

現実的な利用で言うと、数字データを数学の寸法証明や位置情報などのデータに変換することができるようになるとのことだという。

これを用いることで、例えば、ユーザーの本人確認(KYC)において、そのユーザーは特定の地域の住人であることを具体的な住所を明かすことなく証明することができる模様だ。

EU圏内の住人であることを示すには、まずEUのすべての国のデータセットを用意し、ユーザーがこのデータセット内のいずれかに該当するデータを示すことができればよいとされる。

Coindeskの報道によれば、ING銀によるブロックチェーンへに対する取り組みはオープンソースで進められてきたため、今回のプロジェクトも、Zcashの共同創業者でMITで研究を行うMadars Virza氏のような学問的な領域の人からレビューを受けてきているという。

INGのAnnerie Vreugdenhil氏は、今回のZKSMのオープンソースに関する発表は、データとプライバシーを分散型台帳技術(DLT)を用いてどのように扱っていくかを探求していく過程において、新たな一歩となるだろうと、そして以下のように言及した。

INGでは、幸運なことに業界でもトップクラスの知恵を持ってこのプロジェクトに取り組むことができている。今回開発したこの革新的なソリューションがいよいよ実装、試験段階へ進むことに非常にわくわくしている。

進む企業によるブロックチェーンの採用

最近では、企業によるブロックチェーンの採用が見る見る増えていることが確認できる。

例に挙げれば、マイクロソフト(MS) が分散型IDに特化した「ウォレット型アプリ」の開発をしていることや、自動車巨人トヨタ がデジタル広告を最適化するために広告分析に特化したブロックチェーン企業Lucidityと提携したこと、さらには世界最大の会計事務所デロイトトーマツ が商業貿易における取引での信用を創出するためにブロックチェーンの利用を推進している報道など、大手企業がブロックチェーンを取り入れ始めたことにより、より広範囲へ浸透し、普及していくと言えるだろう。

CoinPostの関連記事

ビットコイン下落が優秀な仮想通貨企業の買収合併の加速化する原因|米大手機関投資家のデータ分析
米国の大手機関投資家JMP証券のデータ分析は、倍以上の仮想通貨企業の合併と買収はビットコインの54%下落に繋がると示す。 下落相場の中、優秀なブロックチェーン企業が買収され、業界における競争が激化。
ゴールドマンサックスが仮想通貨90種類以上対応のカストディ・サービスに出資を敢行
ウォール街メガバンクゴールドマンサックスが仮想通貨90種類以上対応のカストディ・サービスに出資を敢行。 この出資の背景にはゴールドマンがカストディ事業へ本格参入の第一歩として話題となっている。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/28 木曜日
17:35
分散型AIの3大プロジェクトが団結、新トークン「ASI」に統合へ
SingularityNET、Fetch.ai、Ocean Protocolが人工超知能連合を結成し、各プロジェクトの暗号資産(仮想通貨)を新トークンASIに統合する計画を発表。単一の分散型AIネットワークとしてリニューアルを目指す。AGIの父と呼ばれるベン・ゲーツェル博士が主導する。
15:58
ビットコインのレイヤー2「BEVM」ローンチ
BEVMがメインネットをローンチ。暗号資産(仮想通貨)ビットコインをガス通貨として利用するEVM互換のレイヤー2ネットワーク。シリーズAで数十億円を調達し、分散型ビットコインクロスチェーンカストディサービスを実現。
15:00
NEARプロトコル、マルチチェーン再ステーキング「LiNEAR」始動へ 
NEARプロトコルがChain Signaturesを導入、暗号資産(仮想通貨)の相互運用性を強化。ビットコインやイーサリアムなど複数のブロックチェーンをサポートする。オムニチェーン再ステーキングLiNEARが始動。
14:15
「イーサリアムが有価証券でもETF化は可能」ブラックロックCEO
仮想通貨イーサリアムに関しては、米国においてその法的ステータスが定かではない。CFTCは商品(コモディティ)と見做している一方、SECはETHに関係するスイスのイーサリアム財団を調査していることが先週報じられた。
10:45
Parallel Studios、VanEckやソラナベンチャーズから53億円調達
パラレルはイーサリアムメインネットおよびBaseチェーン上で稼働するものだが、先日発表された、コロニーのローンチ先がソラナのブロックチェーンであることや、今回ソラナベンチャーズが出資したことから、今後クロスチェーンでの展開が考えられる。
10:15
イーサリアム「BLOB」にデジタルアートを記録する方法 Ethscriptionsが導入
イーサリアムのチェーン上にデジタルアートなどを記録するEthscriptionsは「BlobScriptions」を発表。ブロブにデータを記録する方法となる。
08:10
21Shares、欧州でTONの上場取引型金融商品を提供
今月初めテレグラムは仮想通貨TONを正式に統合し広告収入をチャンネル所有者と共有し、TONブロックチェーン上でToncoinを使って報酬を支払うようになった。この動きが投資家からの需要を押し上げたようだ。
07:30
ブラックロック「BUILD」、一週間で240億円超の資金流入を記録
ブロックチェーン上でトークン化された現実世界資産(RWA)の運用を提供するOndo Financeからの10億円以上新たな資金もありファンドの規模は拡大中。
06:50
スクエニやソラナ財団、Elixir Gamesに21億円出資
Elixir Gamesは、ゲームローンチャー「Elixir Games Launcher」で、さまざまなWeb3ゲームを遊べるPCアプリを提供。また、Web3ゲームがNFTなどのゲーム内資産のセールを代行するローンチパッドで、ミントなどの機能を提供する予定だ。
05:50
SECに有利か、裁判官がコインベースの棄却申し立て認めず
その一方、裁判官は、コインベースが顧客が仮想通貨ウォレットアプリを利用できるようにしたときに、無登録ブローカーとして運営していたというSECの主張を取り下げることを決定した。
03/27 水曜日
17:25
Slash Payment、独自トークンのエアドロップ対象条件を発表
暗号資産(仮想通貨)決済サービスSlash PaaymentのエコシステムトークンSVLについて、エアドロップの参加条件が明かされた。分散型決済エコシステムの利益が、ステーキング参加者に還元。スナップショットまでに割り当てを増やすことも可能だ。
17:00
ビットコインなど仮想通貨投資の始め方|初心者が注意すべきリスクとおすすめ戦略
ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)投資の初心者向けスタートガイドを解説。基本戦略や知識、特に注意すべきリスクやセキュリティ対策を紹介し、「何歳から始められる?」のか、取引所ごとの年齢制限一覧も提供。
16:04
KDDIのNFT市場「αU market」、アニモカブランズとの連携開始
KDDIが展開する「αU market」で、『PHANTOM GALAXIES』の限定版NFT販売を開始。アニモカブランズが支援するブロックチェーンゲームとの連携施策の第一弾。暗号資産(仮想通貨)ウォレット「αU wallet」を接続して購入できる。
14:23
21Shares「半減期前のビットコインは、過去の歴史とは異なるダイナミクスを経験している」
スイスを拠点にする資産運用企業21Sharesは、仮想通貨ビットコインの半減期が市場に及ぼす影響について分析したレポートを発表。ビットコインは現在、過去3回の半減期とは、「異なる市場ダイナミクスを経験している」と指摘した。
12:23
ビットコイン7万ドル台で堅調推移、コインベース・プレミアムは強気から中立に
暗号資産(仮想通貨)市場では、半減期前のビットコインは過去最高値に迫る7万ドル台まで反発して堅調推移を辿る。米国の機関投資家動向を示すコインベース・プレミアムは強気から中立に転じた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/03/28 15:00 ~ 18:00
東京 東京日本橋タワーB2階
2024/04/06 ~ 2024/04/09
香港 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター3FG
2024/04/09 14:00 ~ 16:00
その他 オンライン
2024/04/13 ~ 2024/04/14
東京 東京都港区
重要指標
一覧
新着指標
一覧