実際の政策責任者が出席
米国の暗号資産(仮想通貨)業界のリーダーとバイデン政権の高官らは8日、約1か月ぶりに今後の仮想通貨政策について話し合うための円卓会議を開催した。7月に続き、今回が2度目の会合となる。
関係筋によれば会議はバーチャルで行われ、引き続きロー・カンナ下院議員が主催した。
カマラ・ハリス副大統領の立法担当部長であるクリスティン・ルシウス氏の他、米財務副長官のワリー・アデイェモ氏、国家経済会議のラエル・ブレイナード委員長、ホワイトハウスのブルース・リード副首席補佐官などの政府関係者が出席したと伝えられる。
仮想通貨業界からは、リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOとクリス・ラーセン氏、ユニスワップのヘイデン・アダムスCEO、ステラ開発財団のデネル・ディクソン氏、サークル社のジェレミー・アライアCEO、億万長者のマーク・キューバン氏、コインベースの最高法務責任者ポール・グレワル氏、スカイブリッジ・キャピタルのアンソニー・スカラムーチ氏らが参加した。
会議内容については関係者によると、仮想通貨の用途や、政策の結果についても話された。特に、規制当局が何に注目すべきか、雇用と経済へのインパクトに重点を置くことなどが議題に上がった。政府側に対する不満の表明も少々行われたという。
関係筋は、今回の会議が前回と違った点として、特にブレイナード氏とアデイエモ氏という政策策定の責任を実際に負う人々が参加したことが重要だと述べた。
両氏は、規制当局者の中でも、バイデン政権で仮想通貨政策を監督する最高レベルの代表者である。
関係筋は、両氏はどちらも「非常に好奇心旺盛」だったと伝え、また状況は「前進しているとみられる」と会議の印象を話した。
先月の円卓会議では、民主党のカースティン・ギリブランド上院議員とジョー・ネグース下院議員も参加。業界からは、仮想通貨に対する方針をめぐりバイデン政権や、米証券取引委員会(SEC)への批判が相次いだ。
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仮想通貨は大統領選の争点の一つ
米大統領選では、仮想通貨も重要な争点の一つなっている。
ドナルド・トランプ候補は、仮想通貨擁護を打ち出しており、バイデン政権やSECによる仮想通貨政策を批判。共和党も公式に仮想通貨を支持した。
トランプ氏は、米国がビットコインを戦略的な備蓄として保有することも提案している。
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こうした状況も受けて、民主党の内部からも、仮想通貨に敵対的な政策を止めるべきだと幹部によびかける声が上がっている。また、民主党の大統領候補であるハリス氏を支持する仮想通貨擁護団体「Crypto4Harris」も立ち上がったところだ。
ハリス氏はバイデン氏と比較すると新興テクノロジーにオープンだとする意見もあるが、ハリス氏自身はまだ仮想通貨やブロックチェーンに対して明確な声明は出していない。
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SEC(証券取引委員会)とは
株や債券などの証券の取引を監督する米国の政府機関のこと。1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。
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