BENJIトークンをアバランチに拡大
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは25日、米国債などに投資するオンチェーンファンド「フランクリン・オンチェーン米国政府マネー・ファンド(FOBXX)」をアバランチで利用できるようにした。
パブリック・ブロックチェーンを使用して取引を処理し、株式の所有権を記録する仕組みを取る米国発のミューチュアルファンドである。運用総額は4億2,000万ドル(612億円)規模だ。総資産の99.5%以上を米国政府の債権や証券、現金などに投資する。
ファンドの株式を表わす「BENJI」トークンは、すでに暗号資産(仮想通貨)ステラおよび、イーサリアム・レイヤー2のポリゴンとアービトラム上で提供されているところだ。
また、Benjiウォレットのユーザーが、ステーブルコインUSDCを用いてBENJIトークンを、パブリックブロックチェーン上でピアツーピア送信できるようにしている。
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フランクリン・テンプルトンのデジタル資産責任者を務めるロジャー・ベイストン氏は、「BENJIトークンをアバランチのネットワークに導入することで、当社初のトークン化マネーマーケットファンド(MMF)へのアクセスがさらに拡大する」とコメントした。
また、アバランチを提供するAva Labsのジョン・ウー社長は、フランクリン・テンプルトンとアバランチは、「今日のオンチェーン投資家の需要を満たし、今後はオフチェーンの資本とユーザーも取り込めるような商品を開発するという点で使命を共有している」と述べた。
フランクリン・テンプルトンは、ファンドの売り手と買い手の両方の機関が、デジタル資産戦略を推進するためにアバランチを活用していると指摘。特に、イーサリアム仮想マシン(EVM)との互換性、1秒未満のトランザクション、低い取引手数料、カスタマイズ性などが魅力だと続けている。
日本企業にも採用事例があり、セキュリティトークン事業を行う株式会社デジタルアセットマーケッツが7月、現実資産(RWA)トークン化の発行・流通に関する事業でアバランチと提携することを発表した。
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トークン化MMF市場は2,600億円規模に
フランクリン・テンプルトンは、トークン化された米国のマネーマーケット・ファンド(MMF)市場は現在18億1,000万ドル(2,640億円)規模にまで成長していると指摘した。
現在のところ、運用資産額によるマーケットシェアは、金融大手ブラックロックが3月に立ち上げたイーサリアム上の「USD機関デジタル流動性ファンド(BUIDL)」が約5億ドル(728億円)で首位、フランクリン・テンプルトンのBENJIが約4億ドル(582億円)と2位だ。
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