はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「知的財産権(IP)をWeb3でどう活用すべきか」講談社、サンリオ、手塚プロダクションの有識者が討論|WebX2024

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

IPの世界展開とライセンス保護

CoinPost株式会社が企画・運営し、日本国内外の主要プレイヤーが一堂に会するグローバルカンファレンス「WebX 2024」において、「IPの世界展開とライセンス保護:技術活用に見出す可能性は」と題したトークセッションが行われた。

講談社、サンリオ、手塚プロダクションでIP関連事業に携わる有識者が、Web3を知的財産(IP)ビジネスにどう活用していくか、Web3の開く可能性や課題について討論した。

ACGWORLDS株式会社の中村旭希取締役をモデレーターとして、以下の3人がパネルセッションを行った。

  • 石渡正人氏:株式会社手塚プロダクション 参与
  • 濵﨑皓介氏:株式会社サンリオ 事業戦略本部 執行役員
  • 森口智揮氏:株式会社講談社 IPビジネス部 部長

Web3関連の具体的な取り組み

まず各社が、Web3とIPに関する取り組みを紹介した。

サンリオの濵﨑氏は、デジタル事業立ち上げの背景として、「ちいかわ」など個人クリエイターが生み出したキャラクターが人気を呼び、大きなビジネスになっていく事例を挙げた。

「誰しもがクリエイターになる世界」が訪れるだろうことを想定し、クリエイターを応援する新規事業を創設したという。これまで自社のIPを取り扱ってきた知識と経験を活かし、クリエイターとファンを繋いだり、グローバル展開を支援することなどを行っていく。

出典:サンリオ

サンリオはデジタル戦略について「メタバース」「UGX(ユーザー生成体験)支援」「ファンコミュニティ」という3つの分野で新事業を開発している。

「メタバース」に関しては、VRChatへのコンテンツ提供、Vtuber事業を始めた。Vtuberにはキラーコンテンツになる可能性を見ているとする。

次に「UGX(ユーザー生成体験)」とは一般的に、ユーザーがコンテンツを消費するだけでなく、自ら体験を作り出し、その体験がコンテンツの一部として反映されるという意味だ。

サンリオの「UGX(ユーザー生成体験)支援」事業では、この8月に作品投稿サービス「Charaforio」を開始。ファンによる2次創作、ファンアートを支援するものだ。これまでは公式がタッチしづらいところだったが、現在は「公式とファンが一緒に盛り上がりたい」という動向があるという。

濵﨑氏は、Web3についてはまだ「一般の消費者からすると遠い世界」だが、サンリオの持つ世界観などにより、一般の人が知らないうちにNFT(非代替性トークン)を発行していたというような体験を提供することを考えていると話した。

出典:講談社

講談社の森口氏は、Web3にはここ数年で取り組みを開始しており、「ライセンスビジネスの延長」として様々なパートナーと協力し、「事例を積み重ねていく段階」だと述べる。

取り組みとしては「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」と、人気NFTプロジェクト「MetaSamurai」のコラボや、今年の冬に「進撃の巨人」をザ・サンドボックスへ展開する計画を挙げた。

Web3ですでに成功しているプラットフォームと協力して展開していくという方向性だという。

出典:手塚プロダクション

次に手塚プロダクションの石渡氏は、モデレーターの中村氏が所属する企業が提供するACGWORLDSの中に、「TCOM」というメタバース空間を作ろうと動いていると明かした。

その中でも「いろんなクリエイターたちが新しいものを生み出せるような」創作空間をメインに据えるという。スマートコントラクトも開発しており独自トークンの発行も予定している。

この空間では例えば「初音ミク」のように、プロットやキャラクターなどをファン主導で生み出し、そこに音楽やシナリオなど様々な要素を加えていくことで作品化する「N次創作」を実現するプラットフォームも構想していると話す。

二次創作やライセンス管理の課題と可能性

モデレーターの中村氏は、IPをめぐっては、無許可で使用されてしまうことがあったり、IP管理窓口をどこが担当しているかが分かりにくいなどの問題があるため、そこに取り組みたいと述べた。その上で、「IPを扱う難しさ」がどこにあったか、各登壇者に問いかける。

講談社の森口氏は、人気タイトルを展開するとしても、作品についているファンや世界観を守ることを考えると、同社としては既存作品の二次創作への取り組みは難しいと話した。二次創作ではオリジナルの世界観から逸脱してしまうリスクもあると指摘する形だ。

そこで、Web上でオリジナルのIPを展開するなどの方に可能性を見ているという。

これを受けて濵﨑氏は、サンリオの場合はキャラクターに強力なストーリーが付随しているわけではないために、キャラクターの世界観を維持しつつも、それをベースに様々な人が「いろんな解釈でその世界観をさらに広げて」いってもらえると述べた。

また、権利を抱え込みすぎるとグローバルリーチが難しい側面も考えられ、デジタル技術によりIP管理が簡単にできるようになることに期待を示した。プラットフォームで何かを支配するよりは、文化の中でモメンタムを作っていけたらと語っている。

手塚プロダクションの石渡氏は、数年前は鉄腕アトムのモザイクアートが高額で落札された事例もありNFTに期待していたものの、その後調べた結果、Web3のマーケットは魅力的に思えなかったと明かした。

現在は、Web3の魅力が活かせるのは創作の領域だと考えていると続ける。

これに対して、サンリオの濵﨑氏は「Web3は技術トレンドで、その上に市場に新たな種がいろいろ生まれてくる」と応じた。特に、版権管理やライセンスビジネスの基盤になる可能性に注目しているという。

契約締結、監修、販売管理、ロイヤリティの支払いなどをグローバルにやっていく上で助けになるようなWeb3のポテンシャルに言及した。

新しいビジネスの可能性

セッションの最後では、Web3の課題や可能性について、さらにざっくばらんな議論が行われた。講談社の森口氏は、大手NFTマーケット「オープンシー」でロイヤリティが任意になった事例に言及し、著作権者の権利を守ることは譲れないと述べた。

石渡氏は、Web3の技術を使えば、様々なクリエイターが、プロットやキャラクターの段階から公開し、それが自分のものだと証明できることが大きいと意見した。これにより、例えば有名クリエイターではなくても、新しいクリエイターが、創作した部分を大手に買ってもらうというようなビジネスも可能になると語る。

これには濵﨑氏も、成功事例が出てくると、そうした方向に進むだろうと同意した。

モデレーターの中村氏は、「Web3業界を我々で率先して開拓できればと思う」としてセッションを締めくくった。

関連ゲーム業界のキーパーソンが語る「Web3ゲームの魅力と可能性」|WebX2024

関連RWAによる流動性革命 メルカリらが新事業発表|WebX2024

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/24 月曜日
10:25
「仮想通貨市場の弱体化、背景にマーケットメーカーの機能不全」トム・リーが指摘
ビットマイン会長が仮想通貨市場の下落が続いている要因を分析した。10月10日の清算イベントがマーケットメーカーを機能不全にしていると見解を示している。
11/23 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、ヴィタリック紹介のイーサリアム新ツールやXRPのステーキング導入案など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン売られ過ぎでも反転せず、12月FOMCの据え置きが現実味を増す|bitbankアナリスト寄稿
今週のBTC対円相場は1400万円割れまで下落。ヌビディア好決算後も1400万円割れが続き、米雇用統計の強弱まちまちな内容が見通し悪化を助長。12月FOMCでの金利据え置き観測が強まる。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|金融庁の暗号資産規制方針に高い関心
今週は、金融庁の仮想通貨規制方針、ビットコイン採掘割合の95%到達、ビットコインとイーサリアムの市況分析に関する記事が関心を集めた。
11/22 土曜日
13:45
ANAPホールディングス、企業向けビットコイン戦略支援「ビットコイン道場」を開始
ANAPホールディングスが企業のビットコイン活用を支援する継続型プログラム「ANAPビットコイン道場」の提供を開始した。会計や税務などの実務を専門家が包括的にサポートし、参加企業がコミュニティ形式で課題解決に取り組む仕組みを提供する。
13:02
コンヴァノがビットコイン戦略から本業回帰、AI・ヘルスケア事業に注力へ
コンヴァノが仮想通貨ビットコインを最大約2万BTC取得する計画を取り下げ、成長中の事業へ軸足を移す。業績予想を上方修正しており本業成長を重視する戦略転換となる。
10:55
米当局がビットメイン製品を国家安全保障リスクで調査、トランプ関連企業も1万6000台使用
米国土安全保障省が中国メーカーのビットメインを調査し、機器がスパイ活動や電力網破壊に使用される可能性を指摘。トランプ大統領の息子たちの会社アメリカン・ビットコインも1万6000台を購入した。
10:05
コインベース、ソラナのミームコイン取引所「ベクター」を買収
コインベースがソラナ基盤SocialFiプラットフォーム「ベクター・ファン」を買収すると発表した。年内に取引完了予定で、ソラナエコシステムへの参入を拡大し、すべてを取引できる取引所の構築を目指す。
09:35
ベセント米財務長官、ビットコインバーにサプライズ訪問 仮想通貨業界への影響は
スコット・ベセント米財務長官がビットコインバー「Pubkey DC」を訪問し、仮想通貨コミュニティで話題になっている。業界関係者の反応と今後の影響を解説する。
08:25
NYSEがグレースケールのXRPとドージコインETF承認、25日上場予定
NYSEがグレースケールのドージコインとXRP ETFの上場を承認し、11月25日に取引を開始する。今週はビットワイズのXRP ETFやフィデリティのソラナETFも上場し、アルトコインETF市場が急拡大している。
07:45
「仮想通貨財務企業などの上場後の事業の大幅変更について対応を考える必要」JPXのCEO
日本取引所グループの山道CEOは、ビットコインなどを保有する仮想通貨財務企業への規制強化は現時点では検討していないと説明。一方で、事業の大幅変更については対応を考える必要があるとも述べている。
07:05
個人マイナーがビットコイン採掘に成功、1億8000万分の1の確率を克服
極めて小規模な個人マイナーがわずか6TH/sのパワーでビットコインブロックの採掘に成功し、約26万5000ドル相当を獲得した。確率は1億8000万分の1で、近年最も幸運なソロ採掘となった。
06:25
トム・リー率いるビットマイン、初の配当実施もイーサリアム保有の含み損は6250億円超 
イーサリアム最大の企業保有者ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズが11月21日、2025年8月期通期で純利益3億2816万ドルを計上し、大手仮想通貨企業として初めて配当を実施すると発表した。しかしイーサリアム価格下落で含み損は40億ドル超に達している。
06:02
金持ち父さん著者キヨサキ、3.5億円分ビットコインを売却し広告事業投資へ 以前の姿勢から一転
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏が11月22日、約225万ドル相当のビットコインを売却し、外科センターと看板広告事業に投資すると発表した。以前の「売らずに買い続ける」発言から一転した。
05:45
マイケル・セイラー、指数除外懸念に反論「ストラテジーはファンドではない」
ストラテジー社のマイケル・セイラー会長は主要株価指数からの除外懸念に対し「我々はファンドではなく上場事業会社だ」と反論した。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧