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ゲーム業界のキーパーソンが語る「Web3ゲームの魅力と可能性」|WebX2024

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ゲーム産業の未来:新興技術活用の可能性と課題

CoinPost株式会社が企画・運営し、日本国内外の主要プレイヤーが一堂に会するグローバルカンファレンス「WebX 2024」において、『ゲーム産業の未来:新興技術活用の可能性と課題』と題したトークセッションが行われた。

大手上場企業のゲーム会社やWeb3の主要プレイヤーが登壇。Web3ゲームの現状と今後のポテンシャル、課題について議論した。

double jump.tokyo株式会社代表取締役の上野広伸氏をモデレーターとして、以下の4人が登壇した。

  • 金友健氏:株式会社コナミ デジタルエンタテインメント部長
  • 真田哲弥氏:BLOCKSMITH&Co. 代表取締役社長・CEO
  • 満足亮氏:Oasys Director in Tech
  • 村田卓優氏:グリー株式会社 web3事業開発責任者

参入動機は

まずモデレーターの上野氏が「どういった期待を持ってWeb3関連の取り組みを始めたか?」と質問した。

コナミの金友氏は、それまでゲームプレイヤーによるリアルマネートレード(RMT)やゲーム内アイテムの売買は、ユーザー同士のトラブルに繋がるので規約上禁止されてきたが、暗号資産・ブロックチェーン技術によってそれが変わることが衝撃的だったと率直に語った。

「ブロックチェーンの技術を使うことによって、安心・安全に利用ができ、かつ不正もできないような形が可能になる」と続けている。ゲームは過去、デバイスなど技術の進化でユーザー体験をどんどんアップデートしてきた歴史があり、「アイデア次第で新しい体験を創出できる」とも述べた。

こうしたことを背景に、2019年頃、ブロックチェーンの開発準備室をコナミ社内で立ち上げたという。

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満足氏は、ゲームに特化したブロックチェーン「Oasys(オアシス)」について、3年ぐらい前から構想を始めていたと話した。

先行のブロックチェーンゲームの例を見ると、既存のパブリックチェーンだけでは、ゲームを幅広くユーザーに届けるには不十分であり、「一工夫加える必要がある」としてオアシスのプロジェクトを開始したという。

ゲーム産業の一部としてブロックチェーンが活用されていくことに大きく期待して始めたもので、現在もそれを目指してプロジェクトを進めていると続ける。

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東証一部(プライム)上場企業のKLabの創業者としても知られる真田氏は、米NBA(ナショナルバスケットボール協会)をモチーフにした「NBA Top Shot」の世界的ヒットなどに刺激され、KLab株式会社の子会社としてBLOCKSMITH&Coを立ち上げたと語った。

ユーザー体験として、お金を稼ぐことができるというのは「大きなモチベーション」になる。しかし、先行ゲームではトークノミクス(トークンを使った経済)が今一つの部分があると思われたという。そこで、改善してもっと良いものを作れるのではないかと参入を決意したと述べている。

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Web3事業の現状と課題点

次に上野氏は、Web3関連事業に対する評価について登壇者に質問した。

グリーの村田氏は、ブロックチェーンビジネスを新規事業として立ち上げて2年間継続し、収益も上がっているために“明確に優秀な事業”と社内で認定されていると述べた。

ゲームと並行してバリデーター事業も行っており、そちらが好調だという。一方で、ゲームではトランザクションを見る限り、ユーザー活動がそれほど付いてきていないとも現状を明かす。

開発費用の回収を考え、小規模なゲームで様子を見るなど、作戦変更をしていると続けた。現状、バリデーター事業などで儲かってはいるものの、大ヒットタイトルを出すこと含め当初の期待値を下回っていると話す。

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コナミの金友氏も「やはりそれほど簡単じゃない」と村田氏に同意。ブロックチェーンゲーム分野でキラータイトルがなかなか登場しない現況に言及した。ただ、コンテンツ数レベルでのWeb3のオプションは広がっており、成功事例の出現は時間の問題としている。

過去の事例としては、暗号資産(仮想通貨)を稼ぐことを目的にした投機筋も多く参入する中で、ゲームのファン作りがないがしろになっていたことや、ゲームとしての面白さ(魅力)に課題があったことを挙げた。

その一方、現在ではファン作りをより重視したり、面白さを追求したクオリティの高いゲームも出始めており、期待しているという。

オアシスの満足氏は、ブロックチェーンゲームの作品数自体が世界的にまだ少なく、多様なユーザーに届けるのが難しいことを課題として指摘した。

真田氏は、小規模市場を前提に予算を抑えて制作した『キャプテン翼 -RIVALS-』の成功事例に言及している。

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さらに、ガートナーの提唱する“ハイプ・サイクル”を参照すると、Web3ゲームおよびWeb3全体は現在、過度の期待期の反動から幻滅期を経て、回復期の入口に差し掛かったくらいのところではないかと意見した。

また、客単価とユーザー数の関係では、歩いて稼ぐフィットネスアプリとして大成功を収めたSTEPNのように、ユーザー数70万人ほどで客単価10万円といったような成功事例も生まれていると指摘している。

金友氏は、Web3ゲームの特徴として、プライマリー(一次市場)を補うセカンダリー(二次市場)ができることや、NFTをユーザーが直接管理し、他のプラットフォームに持っていくことができるメリットに触れた。こうした側面でも、ビジネスとして新しく収益化できる可能性があるという。

これを受けて真田氏も、ユーザーにとって保有するゲーム内資産を換金できたり、二次市場で(NFTなどを)販売することができるところがWeb3の面白さであり最大の特徴だと話す。そのため、既存のゲームよりも客単価が高くなるようなWeb3ゲーム作りを目指したいと意気込みを示した。

モデレーターの上野氏は「これだけ真剣に取り組んでいる人たちが国内外にいるのだから、キャズムを超える日も近いと思う」と期待を込め、本セッションを締めくくった。

フォトセッションの様子

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