ビットコインETFで借用書発行か
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースのブライアン・アームストロング最高経営責任者は15日、同社が世界最大手の資産運用会社ブラックロックに対し、 ビットコイン(BTC)の借用証明書(IOU)を発行しているとの指摘を全面的に否定した。I told everyone I went through the chain – I mean it’s a public ledger literally anyone can do it – Coinbase are writing IOUs for Blackrock.
— Tyler (@TylerDurden) September 14, 2024
Now everyone is waking up and hopefully Coinbase has a bank run.
Baldilocks is anti bitcoin. pic.twitter.com/GsnTSg0y6Q
仮想通貨アナリストであるタイラー・ダーデン氏は14日のXへの投稿で、公開されているブロックチェーンを精査した結果、「コインベースはブラックロックのためにIOUを作成している」と示唆した。
ダーデン氏は以前の投稿で、「ブラックロックはコインベースから好きなだけビットコインを取得でき、取引はオフチェーンで記録される」と主張。すべてのETFウォレットを参照したいと述べていた。
ダーデン氏の非難に対し、アームストロング氏は「正直言って、何のことかわからない」と反論。「コインベースが処理するETFの発行およびバーンは、最終的にオンチェーンで決済される」と述べた。
基本的にコインベースの機関投資家の顧客は、取引がオンチェーンで決済される前に、取引のための金融やOTC(店頭取引)オプションの利用が可能だが、すべての資金はほぼ1営業日以内にオンチェーンで決済されると、同氏は説明した。
さらに、機関投資家のビットコインアドレスの公開に関しては、顧客の意思に反してコインベースが共有する立場にはないと主張し、「機関投資家の資金を大量にビットコインに流入させたい場合は、このような状況になる」と述べた。
価格操作が可能に
ダーデン氏が危惧しているのは、ビットコイン現物ETF運用でトップに立ったブラックロックがコインベースが発行したIOUを保有することで、ビットコイン価格に多大な影響力を与え、相場操縦することが可能になるという点だ。
オフチェーンでの取引が行われることで、実際にビットコインの現物を1:1で保有している証明が必要でないとなれば、ブラックロックがコインベースからビットコインを借りて空売りすることも可能になると、ダーデン氏は主張した。
噂への反論
このような懸念に対し、The ETF Storeのネイト・ジェラチ社長は、コインベースがブラックロックにIOUを発行しているという噂を否定し、ETFは基盤となるビットコインを100%保有していると強調。このような噂を流す人物は、ETFの仕組みを理解していないと非難した。
シカゴを拠点とし、商業訴訟に携わるジョー・カルラサーレ弁護士は、ダーデン氏が主張するような計画が実現する可能性について、疑問を呈した。同弁護士によると、計画の実現には、コインベースとブラックロック、監査人、二つの会計事務所、少なくとも四つの法律事務所の協力が必要であり、実現する可能性は「極めて低い」と述べた。
アームストロングCEOは、コインベースは上場企業であり、世界4大会計事務所のデロイトが毎年、監査を行っていることを強調した。
cbBTCトークンへの批判
コインベースは9月12日、現物ビットコインに裏付けられたERC20基準のトークンであるcbBTCをイーサリアムとベースチェーン上で展開した。
関連:コインベース、仮想通貨ビットコインの代替資産「cbBTC」をローンチ
コインベースに対するダーデン氏の非難は、TRONブロックチェーンの創設者ジャスティン・サン氏がcbBTCを批判したことから始まった。
#cbbtc lacks Proof of Reserve, no audits, and can freeze anyone's balance anytime. Essentially, it’s just 'trust me.' Any U.S. government subpoena could seize all your BTC. There’s no better representation of central bank Bitcoin than this. It’s a dark day for BTC.
— H.E. Justin Sun🌞(hiring) (@justinsuntron) September 12, 2024
cbBTCには準備金証明がなく、監査もなく、いつでも誰の残高も凍結できる。基本的に、それは「私を信頼しなさい」というだけのものだ。米国政府の召喚状があれば、あなたのBTCすべてを差し押さえることが可能だ。中央銀行のビットコインをこれほどよく表しているものはない。BTCにとって暗い日となった。
cbBTCに関してアームストロング氏は、発行の基盤となるビットコインがコインベースによって保管されていることに対する「信頼」によって成り立っていることを認めている。
サン氏はcbBTCとは「Central Bank」(中央銀行)BTCのことだと皮肉っている。
イーサリアムブロックチェーンには、すでにWBTCという最大規模のビットコイン代替資産があり、WBTCはBitGoによって発行されいる。
BitGoは、サン氏と関わりの深い香港拠点のBitGlobalとカストディ提携計画を8月に発表したが、大手DeFiプロトコルSky(旧:MakerDAO)がWBTC担保による貸し出しを停止するなど、コミュニティからの反発が起きた。その結果、コインベースが独自のビットコイン代替資産cbBTCを立ち上げるに至った経緯がある。