- 仮想通貨市場の下落で、ステーブルコイン需要増加
- ビットコイン、イーサリアム、EOSなどの仮想通貨が急落した11月14日から15日にかけ、USD Coinを含む一部のステーブルコインの24時間取引量が200%以上の増加を記録。仮想通貨の急落が、ステーブルコインの取引量急増の要因となったことが予想される。
仮想通貨市場全体の下落に伴い、ステーブルコインの増加
USDC、 24時間で取引量が約400%増
ビットコイン、イーサリアム、EOSなどの仮想通貨が急落した11月14日から15日にかけ、USD Coinを含む一部のステーブルコインの24時間取引量が200%以上の増加を記録した。
米ドルに裏付けされたステーブルコインの時価総額トップ6は、USD Coin(USDC)、TrueUSD(TUSD)、Paxos Standard Dollar(PAX)、Tether(USDT)、Gemini Dollar(GUSD)、MakerDAO(DAI)。
これらのステーブルコインによる仮想通貨の急落前後24時間の動きを比較すると、最も飛躍的な伸びを見せたUSDCの取引量は397%も増加している。
一夜にして500万ドル強から2500万ドルを上回り、Coin Market Capの時価総額ランキングでもトップ50入りを果たした。
USDCはCircleとCoinbaseが共同開発したステーブルコインで、2018年10月、Coinbaseに上場を果たしたばかりだ。
世界最大の仮想通貨取引所Binanceにも上場が決定したことで、市場の関心がさらに高まったものかと推測される。
DAI、TUSDの取引量も200%以上増加
その他DAIが238%増、TUSDが234%増と、USDCに次いで200%以上の取引量増加を記録。
世界で初めてニューヨーク規制当局から認可を受けたステーブルコインとして注目を集める“PAX”と“GUSD”も健闘を見せた。
PAXの取引量は50%増とトップ6中最も小幅ではあるものの、取引量は4500万ドルから7500万ドルに増加。
GUSDは24時間で68%の増加を見せたが、14日及び15日の取引量そのものは200万ドル、350万ドルと、トップ6中で最も少額だった。
圧倒的シェアを誇るUSDT
USDTの取引量は112%増とUSDCほどの過熱ぶりは見られず、急落中にはクラーケン取引所で0.95ドルまで値を下げたものの、ステーブルコイン市場のシェアは依然としてNo.1の座を維持している。
14日の総取引量26億ドルのうち97%をUSDTが独占していたほか、取引量が100%以上増加し55億ドルとなった翌日も96.9%と圧倒的な強さを証明した。
取引量のシェアで2位のPAXは2.0%にも満たず、USDTが400カ所の仮想通貨市場で取引可能であるのに対し、PAXがわずか35カ所でしか取引されていない。
この歴然たる差が埋まらない限り、同じ土俵での戦うことは難しいだろう。
仮想通貨急落の影響
仮想通貨の急落が、ステーブルコインの取引量急増の要因となったことは間違いない。
ステーブルコインの本質が、仮想通貨のデメリットである「ボラティリティーの高さ」を払拭する為の代替品である点を考慮すると、仮想通貨からステーブルコインに乗り換える投資家が増えるのも不思議ではない。
規制上の制約により、殆どの仮想通貨取引所では米ドルやその他の決済通貨は容易に取引き出来ない為、ステーブルコインはオプション的な位置づけとなる。
ビットコイン(BTC)が6000ドル割れした14日、仮想通貨市場全体が全面安となり、時価総額は300億ドル弱減少した。
複数の下落原因が挙げられているが、ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォーク問題の影響が最も深刻だったとの見方が強い。
新たなステーブルコインが続々登場
ステーブルコインへの流入が、仮想通貨への不安感による短期的な現象で終わらない可能性は十分に考えられる。
17日現在の24時間取引量ランキングでは、首位のBTCが全体の33.43%を占めている一方で、2位のUSDTが23.05%と着実に追い上げ、3位のEthereum(ETH)を10ポイント近く引き離している。
PAXは18位、TUSDは27位、USDCは42位だ。
2018年に入り新たなステーブルコインが続々と登場しているが、米ドルペッグだけではなく、人民元ペッグのBitCNY(BITCNY)やユーロペッグのEURS、ゴールドペッグのDigixDAO(DGX)なども入手可能だ。