「D.O.G.E」創設など受け控訴せず
暗号資産(仮想通貨)ドージコイン(DOGE)をめぐる集団訴訟で、原告の投資家らと被告のイーロン・マスク氏およびテスラ社は、この裁判を終わらせることで合意した。
この裁判は2022年に開始したもので、投資家らがマスク氏とテスラ社など同氏が率いる企業を、ドージコイン詐欺で訴えていた。原告は、マスク氏がソーシャルメディアX上でドージコインを称賛し、人々にドージコインを買い込むように仕向け、その取引から利益を得ようとしていたと訴えていた。
原告団は当初、被告に2,580億ドル(約40兆円)の損害賠償を求めていた。
2024年8月、地方裁判所のアルビン・ヘラースタイン判事はこの訴訟を却下している。マスク氏の一連の発言は「誇張表現」に過ぎないもので、「常識に基づいて考える投資家なら、こうした発言に行動を左右されることはない」と判断した格好だ。
その後9月、原告は控訴しようとしていたが、この度訴訟を取り下げることを決めた。
原告側の弁護士であるエヴァン・スペンサー氏は、この背景についてDecryptに語り、以下の3つの事項を考慮したと述べている。
- 事件の性質を本当には理解していなかった90歳の判事による地方裁判所の判決
- トランプ氏とマスク氏が手を組んで政府効率化局(頭文字はD.O.G.E)を創設すること
- 大統領選後にドージコインが300%急騰したこと
これらを踏まえると、イーロン・マスク氏が法律を超越しており、米国の裁判所による罰則を受けることなくドージコインを操作できることは明らかだと意見している。
スペンサー弁護士は、市場操作についてマスク氏に責任を負わせるためにできる限りのことをしてきたが、現在は原告と「控訴を取り下げる時が来たことに同意している」と続けた。
今回の合意はヘラースタイン判事の承認を待っているところだ。
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制裁申し立ても取り下げへ
この裁判で両当事者は、互いの法務チームに対する制裁を申し立てていたが、これも取り下げることになる。背景として、原告の投資家らは、マスク氏側の弁護士が控訴手続きを妨害したとして制裁を要求していた。
一方で、被告のマスク氏とテスラ社は、「手っ取り早く金を強要」することを目的とした「取るに足らない」訴訟を行っているとして、投資家側の弁護士らに制裁を課す申し立てを提出していた。
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