WBTCの取扱停止へ
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは19日、ラップドビットコイン(WBTC)の取り扱いを停止すると発表した。
停止を行うのは1カ月後の12月19日。理由についてコインベースは「上場の基準を満たしているかを確認する審査に基づいた判断」とだけ説明しているが、トロン(TRX)創設者のジャスティン・サン氏の影響力に対する懸念が背景にあるとの見方がある。
ラップドビットコインは、ビットコイン(BTC)をイーサリアム(ETH)のエコシステムで利用できるようにするための仮想通貨。ビットコインと1:1の割合で価値が担保されており、時価総額は仮想通貨全体で15位に位置する(CoinGecko参照)。
WBTCを巡っては今年8月9日にBitGoが、香港を拠点とするグローバルなカストディ企業BiT Globalとの合弁事業にカストディ事業を移行すると発表。そして、この事業はBitGo、トロン、BiT Globalと関わりがあるジャスティン・サン氏の間の戦略的パートナーシップだと述べていた。
この提携が発表された後、大手DeFi(分散型金融)プロトコルSky(旧:MakerDAO)は、WBTC担保による貸出停止を決定している。
こういった動向から、コインベースもサン氏の影響力を懸念して取扱停止を決定したとの見方が上がった。
cbBTCをローンチ
WBTCの提携が行われた後、コインベースは9月にWBTCと同様のトークン「cbBTC」をローンチ。ローンチは9月だが、8月14日には「cbBTC」の提供を示唆する投稿をXで行っていた。
関連:コインベース、仮想通貨ビットコインの代替資産「cbBTC」をローンチ
cbBTCは最初にイーサリアムとベースチェーンにローンチ。その後は、ソラナ(SOL)のブロックチェーンでも利用できるようになった。本記事執筆時点の時価総額は、およそ14億ドル(約2,170億円)で、仮想通貨全体における順位は82位である(CoinGecko参照)。
データプラットフォーム「Dune」で公開されている、ビットコインのラップドトークンの市場シェアは以下の通り。オレンジのWBTCが最大だが、青のcbBTCもシェアも拡大してきていることが示されている。
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