イーサリアム利用率再び増加へ
暗号資産(仮想通貨)市場において、イーサリアム(ETH)メインネットが主要ステーブルコインであるテザー(USDT)の供給量で再び主導権を獲得した。
2022年6月以来初めて、イーサリアムはトロンを上回る量のUSDTを保有している。現在、イーサリアムには約669億3600万ドル(約10兆円)相当のUSDTが流通しており、トロンの617億7000万ドルを上回っている。
年初来、イーサリアムのUSDT供給量は約62%増加し、トロンは24.4%の増加にとどまった。この変化は、先週のUSDT新規発行(ミント)活動の急増に伴うものだ。ビットコインが史上最高値を突破したことで、個人投資家および機関投資家の関心が再燃し、仮想通貨市場に活気と流動性が戻っている。
ビットコイン現物ETFへの資金流入が高まっていることも、この勢いを加速させている。機関投資家の資本流入の玄関口と広く見なされているこの展開は、USDTのような流動性の高いステーブルコインにとって絶好の環境を生み出しているとみられる。トレーダーや投資家は、USDTを通じて仮想通貨にアクセスし、法定通貨同等物としてポジションを決済することができる。
イーサリアムは、分散型金融(DeFi)における優位性と機関投資家による採用により、業界においてステーブルコインの流動性における最重要プラットフォームとしての地位を維持している。一方、トロンは低手数料と高速取引が特徴で、中華圏などクロスボーダー送金が多い地域では依然として重要な役割を果たしている。
また、オンチェーンデータによると、テザー社は11月23日にイーサリアムとトロンの両ネットワークで30億ドル相当のUSDTを追加発行したばかりだった。
ステーブルコインの発行量は、仮想通貨市場への関心を評価する一般的な指標となっている。発行されるステーブルコインの量が多いことは価格上昇の兆しと見なされ、逆に少ない場合はその逆を示唆する。Lookonchainのデータによると、テザー社は2024年11月8日以降、約130億ドル相当のUSDTを新規発行しており、市場の活況を裏付けている。
さらに注目すべきは、米証券会社大手Cantor Fitzgeraldがテザー社に対して6億ドル以上で5%の株式を取得したことだ。これは、仮想通貨業界における機関投資家の関心の高まりを示しており、トランプ次期大統領がCantor Fitzgeraldのホワード・ルトニックCEOを商務長官に指名したことも、この流れに拍車をかけている。
関連:イーサリアムの買い方|初心者が知るべき投資メリット、リスク、おすすめ取引所選び