
次は下院本会議での投票へ
米国下院歳入委員会は水曜日に開催された公聴会で、昨年末に確定した内国歳入庁(IRS)の仮想通貨関連の論争を呼んだ規則を撤廃する決議案を26対16で可決した。マイク・ケアリー下院議員(オハイオ州・共和党)が提出したこの決議案は、次に下院本会議での投票に進む見通しだ。
問題となっている規則は、「カストディアル・ブローカー」に対してユーザーデータの収集と内国歳入庁への報告を義務付けるもので、仮想通貨業界から強い批判と訴訟を引き起こしている。IRSは昨年12月末、「分散型金融(DeFi)ブローカー」に対して、従来の証券ブローカーと同様にユーザーの取引情報を収集することを義務付ける規則を最終決定した。
米財務省はこの規則が「顧客と直接やり取りする」「フロントエンドサービスプロバイダー」に適用されるとしており、これは分散型プロトコル自体ではなく、分散型プロトコルへのアクセスに使用される主要ウェブサイトを運営する事業体を指すとされる。この規則は2027年1月1日以降に発効する予定だ。
ケアリー議員はこの規則が「IRSにフォームの洪水をもたらす」と批判し、「アメリカの納税者とIRSにとってのこの悪夢を避け、米国がデジタル資産と仮想通貨セクターにおいてイノベーションを世界的にリードする立場を確保するために、この決議案を可決しなければならない」と公聴会で述べた。
仮想通貨業界の専門家たちは、拡大された税務報告要件が仮想通貨ユーザーのプライバシーに及ぼす影響と規則の実行可能性について批判を展開している。Uniswapのような非カストディアル仮想通貨サービスプロバイダーは従来のブローカーとは異なる機能を提供しており、誰または何の事業体がユーザー情報の収集を義務付けられるのかが必ずしも明確ではない。分散型金融では、ユーザーと直接やり取りする中央集権的なサービスプロバイダーが存在しないケースもあり、これが「解決不可能な問題」と呼ばれる要因となっている。
この決議案は議会審査法(CRA)に基づいて提出されたもので、同法は1996年に制定され、議員が「特定の連邦機関の行動を覆す」ために使用できる。昨年には米国証券取引委員会(SEC)のスタッフ会計公報121(SAB 121)を覆す試みにCRAが使用されたが、ジョー・バイデン大統領により拒否権が発動された。その後、当該スタッフ公報は同機関によって撤回された。
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