
IRSルールへの反対決議案が前進
米国の下院は日本時間12日、DeFi(分散型金融)に税務報告を義務付けることに反対する決議案を賛成291対反対132で可決した。次は、上院での審議へと送られる。
The House just passed @RepMikeCarey’s CRA repealing the IRS’s December Broker Rule, ensuring Americans’ access to DeFi services and its continued innovation here in the U.S. Notably, this vote received incredibly strong bipartisan support with a final tally of 291-132. pic.twitter.com/uMmwBzKPDx
— Crypto Council for Innovation (@crypto_council) March 11, 2025
この法案は、マイク・ケアリー下院議員が提出したもので、米国税庁(IRS)が昨年12月に確定させた税務規則を取り下げようとするものだ。
IRSは、DeFiのウェブサイトなどを運営する「フロントエンドサービスプロバイダー」に取引に関するユーザー情報を収集・報告することを義務付けようとしている。
業界や一部議員からは、DeFiではユーザーと直接やり取りする中央集権型のサービスプロバイダーが存在しないこともあり、情報を収集する主体が明確ではないことや、ユーザーのプライバシーやセキュリティ侵害などの面で懸念が上がっていた。
ケアリー議員は、米国が暗号資産(仮想通貨)業界のリーダーであり続けるようにIRSのブローカー規則を覆す必要があるとして、次のように述べている。
IRSのブローカー規則は、世界的に競争の激しいデジタル資産分野において米国のイノベーションを妨げ、有権者のプライバシーを侵害し、IRSに追加の事務処理を課すものだ。
IRSは、大量の意味のない情報申告を処理するよりも、現在の職務と義務を効果的に処理することに集中しなければいけない。
今回の下院の審議では、民主党からも賛成票が多く投じられ、超党派での採決となった。
なお、トランプ政権に交代してから、米証券取引委員会(SEC)も仮想通貨事業のハードルとなる規則SAB121を取り下げている。
これは、顧客の仮想通貨を保管する企業に対して、それらの資産を「負債」として計上するよう義務付けるもので、銀行が仮想通貨のカストディ(保管)事業を始める上でのハードルを上げるものだった。
関連:米SEC、仮想通貨カストディ事業の壁となる「SAB121」ルールを撤回
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
トランプ政権も決議案を支持
上院ではテッド・クルーズ議員が提出した同様の法案がすでに採決されており、こちらは次に下院での審議となる。
トランプ政権の大統領府もこの法案に賛同を表明しており、両院で可決すれば大統領が署名して成立する可能性は高い。大統領府は、IRSの新たな規則はバイデン政権が退陣直前に発令したもので、DeFi企業に法的遵守で大きな負担を課すものだと述べていた。
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