
3/8(土)〜3/14(金)の週次レポート
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は1200万円周辺から取引を開始。週明け米国時間には、トランプ米大統領がFOX Newsとのインタビューで、米経済の景気後退入りの可能性を否定しなかったことで広範な金融市場でリスクオフムードが加速し、BTCも1100万円台中盤まで下落した。
一方、その後は売り過熱感から徐々に戻りを試すと、トランプ関税によって上値を抑えられつつもウクライナの停戦合意や米消費者物価指数(CPI)の下振れなどを支援に1270万円近辺まで反発した。
ただ、13日にはトランプ大統領がEUから輸入されるワインに200%の関税を賦課する方針を発表し、1200万円周辺まで下落。ドル建てで8万ドル水準となる同水準周辺では下げ止まっているが、米金利が低下しFRBによる6月の利下げ観測が強まる中でもBTCの戻りは鈍くなっている。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】
出所:bitbank.ccより作成
関税合戦によって景気の先行きに警戒感が強まっているが、幸い、今週発表された米国のインフレ指標は物価上昇率の鈍化を示し、スタグフレーションへの懸念は一旦緩和された。ただ、FRBによる利下げ期待よりも景気後退への懸念が優っていると言え、BTCを含めリスク資産には厳しい市況となっている。
こうした中、来週18日〜19日にはFRBの米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、四半期に一度の経済見通しが更新される。
FRBメンバーが1月の個人消費支出(PCE)価格指数と、2月のCPIと卸売物価指数(PPI)の減速を如何に評価し、年内に残り何度の利下げを想定しているかも重要だが、景気後退への懸念からGDP成長率の見通しも重要となってくる。
そういった意味では、市場としては今回のFOMCで「景気を後退させずに年内に利下げを再開する」という明確なメッセージが欲しい訳だが、パウエルFRB議長は先週、利下げを急がないスタンスを示しており、声明、経済見通し、記者会見がどのようなトーンになるか予想しづらい。
実際、インフレの伸びが鈍化しているのは各指標で直近1カ月だけの話であり、現時点で利下げ再開時期の具体的な議論を期待するのは早過ぎるだろう。また、パウエル議長もトランプ政権の関税政策の影響を見極める必要があると発言しており、依然として金融政策の調整もしづらいフェーズにあることが指摘される。
裏を返せば今回のFOMCは現状維持が妥当なシナリオと言えるが、景気後退懸念が燻る中でFRBに動きがなければ、市場にタカ派的な印象を与える可能性があるか。
今週は材料に困らない1週間ではあったが、14日正午時点で週明けの水準まで戻し方向感に欠ける展開となった。
ドル建てでは心理的節目の8万ドルを維持しているが、その下の7万ドル〜7.9万ドルは出来高の薄い真空地帯となっている(第2図)。

【第2図:BTCドルのURPD(13日終値時点)】
Glassnodeより作成
史上最高値を百分割した価格帯別のオンチェーン出来高(UTXO Realized Profit Distribution、URPD)では、2月末にかけての相場下落時に8万ドル周辺エリアで押し目買い需要が盛んだったことがわかるが、7万ドル〜7.9万ドルエリアでは極端に出来高が薄い。
こうした真空地帯では、相場は一方向に走りやすい。実際、今年2月末にかけてBTCが9.4万ドルを割った際、相場は短期間で7.8万ドルまで急落を演じた。よって、BTCは7.9万ドル〜8万ドルエリアを維持できるかがオンチェーン的にも重要な焦点となるだろう。
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