はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

トランプ関税でリスクオフ継続、ビットコイン真空地帯の下抜けリスクも|bitbankアナリスト寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

3/8(土)〜3/14(金)の週次レポート

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。


目次
  1. ビットコイン・オンチェーンデータ
  2. bitbank寄稿

ビットコイン・オンチェーンデータ

BTC取引数

BTC取引数(月次)

アクティブアドレス数

アクティブアドレス数(月次)

BTCマイニングプールの送金先

取引所・その他サービス

bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

今週の週次レポート:

今週のビットコイン(BTC)対円相場は1200万円周辺から取引を開始。週明け米国時間には、トランプ米大統領がFOX Newsとのインタビューで、米経済の景気後退入りの可能性を否定しなかったことで広範な金融市場でリスクオフムードが加速し、BTCも1100万円台中盤まで下落した。

一方、その後は売り過熱感から徐々に戻りを試すと、トランプ関税によって上値を抑えられつつもウクライナの停戦合意や米消費者物価指数(CPI)の下振れなどを支援に1270万円近辺まで反発した。

ただ、13日にはトランプ大統領がEUから輸入されるワインに200%の関税を賦課する方針を発表し、1200万円周辺まで下落。ドル建てで8万ドル水準となる同水準周辺では下げ止まっているが、米金利が低下しFRBによる6月の利下げ観測が強まる中でもBTCの戻りは鈍くなっている。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】
出所:bitbank.ccより作成

関税合戦によって景気の先行きに警戒感が強まっているが、幸い、今週発表された米国のインフレ指標は物価上昇率の鈍化を示し、スタグフレーションへの懸念は一旦緩和された。ただ、FRBによる利下げ期待よりも景気後退への懸念が優っていると言え、BTCを含めリスク資産には厳しい市況となっている。

こうした中、来週18日〜19日にはFRBの米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、四半期に一度の経済見通しが更新される。

FRBメンバーが1月の個人消費支出(PCE)価格指数と、2月のCPIと卸売物価指数(PPI)の減速を如何に評価し、年内に残り何度の利下げを想定しているかも重要だが、景気後退への懸念からGDP成長率の見通しも重要となってくる。

そういった意味では、市場としては今回のFOMCで「景気を後退させずに年内に利下げを再開する」という明確なメッセージが欲しい訳だが、パウエルFRB議長は先週、利下げを急がないスタンスを示しており、声明、経済見通し、記者会見がどのようなトーンになるか予想しづらい。

実際、インフレの伸びが鈍化しているのは各指標で直近1カ月だけの話であり、現時点で利下げ再開時期の具体的な議論を期待するのは早過ぎるだろう。また、パウエル議長もトランプ政権の関税政策の影響を見極める必要があると発言しており、依然として金融政策の調整もしづらいフェーズにあることが指摘される。

裏を返せば今回のFOMCは現状維持が妥当なシナリオと言えるが、景気後退懸念が燻る中でFRBに動きがなければ、市場にタカ派的な印象を与える可能性があるか。

今週は材料に困らない1週間ではあったが、14日正午時点で週明けの水準まで戻し方向感に欠ける展開となった。

ドル建てでは心理的節目の8万ドルを維持しているが、その下の7万ドル〜7.9万ドルは出来高の薄い真空地帯となっている(第2図)。

【第2図:BTCドルのURPD(13日終値時点)】
Glassnodeより作成

史上最高値を百分割した価格帯別のオンチェーン出来高(UTXO Realized Profit Distribution、URPD)では、2月末にかけての相場下落時に8万ドル周辺エリアで押し目買い需要が盛んだったことがわかるが、7万ドル〜7.9万ドルエリアでは極端に出来高が薄い。

こうした真空地帯では、相場は一方向に走りやすい。実際、今年2月末にかけてBTCが9.4万ドルを割った際、相場は短期間で7.8万ドルまで急落を演じた。よって、BTCは7.9万ドル〜8万ドルエリアを維持できるかがオンチェーン的にも重要な焦点となるだろう。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

関連:おすすめ国内仮想通貨取引所 投資家のクチコミ比較ランキング

関連:ビットバンクプラス公式サイト

過去のレポート一覧

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
04/19 土曜日
15:00
金価格の史上最高値から150日以内にビットコイン上昇か、歴史的パターンが示す40万ドルへの道筋 
金が3,357ドルの史上最高値を記録する中、専門家は過去のパターンからビットコインが150日以内に反発すると予測。パワーローカーブモデルは2025年後半に400,000ドル到達の可能性を示唆。JPモルガンは金ETFへの資金流入とビットコインの取り残しを指摘。
13:45
仮想通貨市場低調の中、堅調な分野は? ビットワイズ1~3月期レポート
ビットワイズが2025年1~3月期の仮想通貨市場をレポート。ステーブルコインなど、市場全体の下落にもかかわらず過去最高を記録した分野を解説している。
11:30
2025年2Q、規制改善でアルトコイン回復へ──Sygnumなどが予測
Sygnumとビットワイズが2025年暗号資産市場を分析。ビットコインの安全資産としての地位確立と規制環境改善がアルトコイン回復を後押しする一方、ステーブルコインと実物資産トークン化が過去最高を記録。第1四半期の価格下落から反発なるか。
10:45
米政府の100万ビットコイン購入で価格は100万ドル到達か、BPI幹部が大胆仮説
ビットコイン政策研究所の幹部が米国による100万BTCの購入が価格に与える影響を予測。トランプ大統領の戦略的ビットコイン準備金設立や関税収入を活用した購入戦略の実行可能性に注目が集まる。
10:05
2025年米国債供給過多が仮想通貨市場に与える影響は? バイナンスリサーチが分析
バイナンスのリサーチ部門が2025年に米国債は過去最高規模の供給が予測されると指摘。金利上昇圧力と、ビットコインなど仮想通貨市場への影響を分析した。
09:05
量子コンピュータvsビットコイン 1BTCをかけた解読コンテスト開催
量子コンピュータの脅威に備えた『QDay Prize』コンテストが開始。ビットコイン暗号解読に成功したチームに1BTCを贈呈。量子耐性対策が進む中、ビットコインの未来にどんな影響があるのか。
08:00
アスター、仮想通貨ASTRの不要な発行の抑制や利回り安定化を実現へ
日本発のWeb3プロジェクトのアスターは、仮想通貨ASTRのトークノミクスをアップデートしたことを発表。今回の変更で、不要な発行の抑制や利回りの安定化を目指す。
07:44
アリゾナ州のビットコイン準備金法案などが前進 投票の最終段階へ
米アリゾナ州議会でビットコイン準備金法案が進展し最終投票を待つ状況に。州財務官に年間10%の暗号資産投資権限を付与する内容だが、知事は障害者サービス予算問題を理由に拒否権行使の可能性も。
06:55
ビットコインクジラの最新動向 1万BTC以上の超大口保有者は蓄積継続
仮想通貨ビットコインの大口保有者の行動に焦点を当て、超大型クジラの市場吸収と大口投資家の動きの違いを解説。
06:20
ギャラクシーリサーチ、ソラナのトークンインフレ改革に新提案
仮想通貨ソラナ(Solana)コミュニティの経済モデル改革に向け、Galaxy Researchが新たな投票方式「MESA」を提案した。
04/18 金曜日
18:29
業界キーパーソン3名が語る仮想通貨市場の現状と展望|香港Web3 Festival2025
香港Web3 Festivalで、TON Foundation取締役のスティーブ・ユン氏、香港立法会議員のダンカン・チウ氏、CoinMarketCap CEOのラッシュ・ルー氏にインタビュー。マクロ経済の影響、規制環境の変化、アジア市場の可能性について、業界リーダーたちの見解を独占取材した。
18:12
Neowave Academyが日本進出 Web3の潮流を切り拓けるか
Neowave Academyが主催した「Tokyo Nexus」イベントで日本Web3市場への本格参入を宣言。伊藤健次氏やArata氏などが集結し、投機から価値蓄積へと進化する暗号資産市場を分析。教育コンテンツを中心とした事業展開を推進し、Web3普及に向けた取り組みを共有。
14:00
トランプ関税政策で揺らぐ米国マイニング産業──東南アジア製機器依存の代償と国内生産への転換
トランプ大統領の新たな関税政策で、東南アジア製マイニング機器に依存する米国のマイニング業界が危機感を募らせている。緊急対応策として、機器の輸入を急ぐ企業や海外拠点を模索する企業もあるが、米国内で製造することを選択する企業もある。
13:25
アジア初のXRP投資商品、リップル社が初期出資へ
仮想通貨運用会社HashKey Capitalが、アジア初のXRPパフォーマンス追跡型投資ファンドを発表。Rippleが初期出資を行い、機関投資家向けに直接保有せずXRPへのエクスポージャーを提供する新たな投資手段が誕生。
12:29
LINE NEXT CSO「キム・ウソク」氏が語るWeb3大衆化戦略とは
LINE NEXT CSOのキム・ウソク氏がWeb3の大衆化戦略を語る独占インタビュー。LINEの強みを活かし、ウォレット体験の改善、直感的なUI、メッセンジャーとの連携強化で1,000万人のユーザー獲得を目指す。Web2からWeb3への架け橋となる挑戦に注目。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧