
「ロイヤリティ伴うNFTにも証券性なし」
米証券取引委員会(SEC)のへスター・パース委員は19日、NFT(非代替性トークン)の多くは証券性を持たないと述べた。なお、SECの公式見解ではない。
パース氏は、クリエイターに報酬を支払うよう設計されたNFTも含めて、証券ではないと意見している。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
こうしたNFTは、スマートコントラクトによって動作し、NFTが再販売されるたびに、その販売価格の一部をロイヤリティとして作品のクリエイターに自動的に送金するようにプログラムされているものだ。
例えば、ストリーミングプラットフォームが、曲や動画が再生されるたびにクリエイターにロイヤリティを支払うのと同様、NFTアーティストが作品の初回販売後にも利益を得ることを可能にする。
パース氏は、次のように指摘し証券性を否定した。
一部のNFTに搭載されているこの「クリエイターロイヤリティ」機能は、NFT所有者に事業体への権利や権益、あるいは「証券に伝統的に関連付けられる種類の利益」を与えるものではない。
SECの職員はすでに、特定の種類のミームコインやステーブルコインは証券ではないとの見解を明確にしたところだ。特に事業体などに対する経済的権利を譲渡するものではないものについて該当する。
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パース氏は、この点についても改めて強調し、次のように述べた。
ミームコインのような収集品やステーブルコインなど、特定の基準を満たす資産を「証券」という定義から恒久的に除外することは有益だろう。外部からの支配や外部組織への依存の兆候がない仮想通貨も除外される可能性がある。
証券性が問題になるケース
パース氏は、現在市場に流通する仮想通貨の大半は、証券とはみなされないとの見解を示した。
一方で、証券性について曖昧になるのは、それ自体は非証券である仮想通貨が、関連ネットワークまたはアプリケーションの開発初期段階で配布される場合だとしている。つまり、その資産がまだ機能しておらず、ネットワークやアプリケーションが中央集権化されている段階だ。
こうした時には問題が複雑化するが、それに対応する方法としては、トークン発行者が、購入者への誠意を示すために、自社および当初購入者の仮想通貨にロックアップ期間(売却できない期間)を設定することなどを挙げた。
また、当局側の対応としては、投資契約の対象となる可能性がある仮想通貨に関する取引に対して、セーフハーバー制度(この場合、証券登録からの条件付き免除手続き)を用意することが考えられるとしている。