
株式割安になった場合の対応を語る
米ストラテジー社(旧称:マイクロストラテジー)のマイケル・セイラー会長は、ラスベガスで開催された「Bitcoin 2025」カンファレンスに登壇。同社の株式がディスカウントで取引された場合の対応について語った。
たとえ株価が1ドルまで下落したとしても対応できると述べている。
今後極度の暗号資産(仮想通貨)の弱気相場が到来した場合、ストラテジー社の株価対純資産価値(mNAV)が1を下回る可能性はあるか、その場合、同社の戦略へ影響するか?という踏み込んだ質問に答える形での発言だ。
mNAVとは、企業の株価がその純資産価値に対してどの程度のプレミアムまたはディスカウントで取引されているかを示す指標。通常、これが1を超えている場合、株価はプレミアム(割高)であり、1未満の場合は、ディスカウント(割安)だとみられる。
セイラー氏は、ネット上で、グレースケールのビットコイン(BTC)投資信託「GBTC」が、過去ETF転換前にディスカウントで取引されていたことが例に出されているのを見かけると指摘した。
その上で、信託会社と異なり、ストラテジー社は株を買い、株を売り、再資本化することができるとしている。同社株式が万が一1ドルまで下がった場合にも切り抜ける手段はあるとして、次のように話した。
もし株が明日1ドルで取引されたら、私たちは普通株ではなく優先株を売却するだろう。ビットコインに対して10対1で過剰担保された株を、10%の利回りで売るだろう。そして、何十億ドルも利益を生み出す。
こうして利益を生み出していることが投資家に評価されることで、株式にも価値が戻ってくるだろうと続けている。
セイラー氏は、ビットコイン価格の長期的な上昇への確信と、ストラテジー社の資本市場での運用能力に自信を持っており、それが回答の背景にあるとみられる。
優先株とは
英語でpreferred stock。普通株に比べて、配当を先に受け取れる権利があるなど、一定の優先権が与えられている株式のこと。
また、誰かがストラテジー社株式を1ドルで空売りした場合は、優先株で10億ドルを売却し、その資金で普通株を買い戻して資本増強を図るとも述べた。こうしたことは、信託会社ではなく事業会社だからこそ可能になるとも付け加えている。
セイラー氏は、ストラテジー社のような事業会社のmNAVが1を下回ることがあるとすれば、その経営体制が非合理的で株主価値を破壊していると株主が判断する場合だとも指摘した。
なお、現在ストラテジー社の株式はその保有するビットコインに対してプレミアムで取引されている。
こうしたプレミアム価格は、ストラテジー社をモデルとするビットコイン財務戦略を採用しているメタプラネット社でも存在しているところだ。
関連:ビットコイン価格より割高? メタプラネット株に5倍のプレミアムがつく理由を専門家が解説
セイラー氏は、同じ「Bitcoin 2025」で基調講演も行っている。改めて投資家にビットコインの長期保有を推奨した。
関連:ビットコインと仮想通貨関連株はどちらを買うべき?メリット・デメリットを解説
関連:ビットコインを保有する上場企業ランキング|日本・米国の注目企業を解説