
「ビットコインは国防に役立つ」
米国のシンシア・ルミス上院議員は、大型カンファレンス「ビットコイン2025」に登壇。暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)準備金関連の法案などについて状況を話した。
米軍の一部も、米国政府が100万BTCを取得することを目指すルミス氏の法案を支持していると述べる。具体的には、次のように述べた。
防衛には、強力な軍事力と、他の通貨を凌駕する経済力が必要だ。中国は両方の分野で支配を狙っている。私たちは経済戦争の真っ只中にあり、同時に軍事的防衛力を強化しているところだ。
米軍の将官たちでさえ、ビットコインは特に中国からの攻撃に対する抑止力として重要だと言っている。
ルミス氏は、ブルームバーグのインタビューでも、特に東南アジア地域に派遣されている将官の中に、中国に対抗するため戦略的ビットコイン備蓄が重要だと考える人々がいると話した。
理由については特に明かしていないものの、ビットコインがデジタル人民元に対する対抗や準備資産の多様化に役立つ可能性や、ビットコインのサイバー攻撃耐性などに注目していることも考えられる。
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ルミス氏は、政府による積極的ビットコイン取得を目指す「国家的な投資最適化により革新、技術、競争力を促進する法(BITCOIN法)」を提出している。
5月2日には、この法案を実現すれば36兆ドル(約5,200兆円)に上る国家債務危機を解決できるとも主張。ビットコインを取得し20年間保有すれば、債務を半分にできるとの見解を述べている。トランプ大統領も同法案を支持しているとも話した。
「ビットコイン2025」でも、ビットコインを取得する予算を捻出するアイデアを再度提示。現在、1970年代の価値で評価されている米国政府のゴールド(金)準備を現在の公正価値で評価しなおし、その差額をビットコイン購入に充てることを提案している。
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ビットコイン少額決済の免税案も
ルミス氏は、600ドル(約86,000円)未満のビットコイン取引については、IRS(米国税庁)への報告を免除するようなルールを設けたいと考えているとも発言した。これは、ビットコインを米国経済内で実際に有用なものとするために重要だとしている。
ライトニングネットワークが進化し、Strikeのような企業が主導して、日常的な買い物でのビットコイン決済を可能にしているとも指摘した。
ライトニングネットワークとは
ビットコインのトランザクション処理能力を解消するため、レイヤー2を利用したオフチェーン技術のこと。混雑しがちなブロックチェーンの外で取引を行うことができ、取引の高速化や手数料削減につながる。取引の高速化や手数料削減が実現すれば、少額決済が行えるようになるため、それによって新しい商品やサービスが生み出されることも期待されている。
その他には、防衛力を強化するためにも、ビットコインマイニングに米国が積極的に携わる必要があると唱えた。マイニングは電力の安定にも貢献するとしている。
たとえば、テキサス州では、夜間に地域の電力消費量が低い時にビットコインをマイニングし需要を生み出すことで、電力網の安定性を高められていると指摘している。
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