
「Coinbase Payments」をローンチ
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは18日、大規模なコマース(商取引)プラットフォーム向けに構築された、ステーブルコイン決済ソリューション「Coinbase Payments(コインベース・ペイメンツ)」を発表した。
イーサリアムL2「Base」を基盤とし、24時間365日、グローバルかつ安全に即時のUSDC決済を提供。Eコマースプラットフォーム「Shopify(ショッピファイ)」で、このサービスはすでに稼働している。
発表後、コインベース(COIN)の株価は16%上昇し、ステーブルコインUSDCを発行するサークル社(CRCL)の株価も25%急騰した。サークル社は、2週間前にIPOで上場し、企業のステーブルコイン参入期待などから16日に最高値を更新していたばかりだ。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
Coinbase Paymentsは、既存のシステムにステーブルコイン決済を追加できるモジュール式スタックとなる。主な機能としては以下が挙げられる。
- ステーブルコインチェックアウト:消費者向けレイヤー
- Eコマースエンジン:加盟店向けレイヤー
- コマース決済プロトコル:オンチェーン実行レイヤー
まず消費者向けレイヤーは、コインベース・ウォレット、メタマスク、ファントムなど数百のウォレットに対応した、USDC用の高速決済機能だ。ガス代(取引手数料)不要で円滑なユーザー体験を提供する。
加盟店向けレイヤーは、加盟店や決済代行業者向けのAPIレイヤー。決済の承認、代金請求、返金、台帳管理、定期課金、キー管理を処理するもので、ユーザーはブロックチェーンの専門知識がなくてもステーブルコインを取り扱うことが可能となる。
オンチェーン実行レイヤーは、安全でスケーラブルなオンチェーントランザクションを実現するオープンソースのスマートコントラクトだ。
エスクロー(第三者が一時的に資金を預かる仕組み)、一定時間後の請求、返金といった従来の商取引の仕組みをオンチェーンで実現。Base上で動作し、1秒未満・低コストで取引を実行する。
コインベースは、2024年にステーブルコインの決済処理額は30兆ドル(約4,300兆円)に達し、前年比3倍の成長を記録したと指摘。より迅速、安価、グローバルな資金移動手段として注目を集めているとも続けた。
ただ、ステーブルコイン決済には、ツールの断片化や技術的な負担、実際のサービスで信頼して使えるインフラの不足という課題が存在。こうした導入ハードルがある状況を「Coinbase Payments」は変えるものだとしている。
コインベースは、ステーブルコインの他、トークン化した株式の取引サービスを提供することも検討していると伝えられるところだ。
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