
アルトシーズンが来ない可能性
仮想通貨分析企業アルトコイン・ベクターは、ビットコイン(BTC)とアルトコイン間の資金循環パターンを分析し、次のアルトシーズンの中心にイーサリアム(ETH)が位置すると予測した。2024年11月のトランプ相場ではBTCが7カ月の横ばいから脱却し、10万ドルに向けて急騰したことが資金循環の引き金となったと指摘した。

当時の資金流入はBTCからETH、ラージキャップ(時価総額上位のアルトコイン)、ミドルキャップ、スモールキャップへと段階的に移動し、最終的にBTCに回帰する循環を形成した。しかしラージキャップの最後の押し上げ後、市場の同期性が失われ、BTC中心の相場に転換しているという。
5月初旬からETHがBTCをアウトパフォームする場面も見られたが、現在は再びBTCが優勢を取り戻している。同社はETHがビットコインと仮想通貨全体の構造的な橋渡し役を担うとの見方を示した。
一方、アナリストのジョン・ガルト氏は今月4日、今回のサイクルではアルトシーズンが発生しないとの悲観的見解を発表した。2017年と2021年のアルトシーズンはETHがBTCの優位性に挑戦したことで実現したが、現在はETHも含めてBTCに対抗できるアルトコインが存在しないと指摘した。
さらに、クリプトクアントの登録アナリスト、ブラク・エスメチ氏も19日に同様の懸念を表明した。BTCが10.4万ドル付近で推移する中、アルトコインは期待を下回る推移を続けている。

同氏が注目する「アルトコイン1年累積売買数量差額」は2024年12月にプラス転換してアルトコインの局所的天井を示唆した後、下落傾向が継続している。現在この指標は-360億ドルと大幅なマイナス圏にあり、アルトコイン市場の投資家離れが深刻化しているようだ。
ビットコインが引き続き強気相場を享受する中でもアルトコインは冬の状況が続いており、この指標が再び上昇に転じない限り本格的なアルトシーズンやFOMO相場の到来は期待薄との見方が優勢だ。市場構造の変化により従来の循環パターンが機能しなくなっている可能性が高まっている。
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一方で、今回のサイクルではアルトシーズンよりも、『ステーブルコインシーズン』への期待が高く、サークル社の株価がIPOから5倍以上暴騰してきたことがトリガーとなっている。
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