
ラス・アル・ハイマで仮想通貨決済導入
アラブ首長国連邦(UAE)ラス・アル・ハイマに位置する大手上場不動産開発企業RAK Propertiesは1日、フィンテック企業Hubpayと提携し、国際的な顧客が暗号資産(仮想通貨)を使って不動産を購入できるようにすると発表した。
ステーブルコインUSDTや、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)などの主要な銘柄による決済を受け付け始めた格好だ。
規制されたHubpayのプラットフォームにより、支払いはUAEの法定通貨ディルハムに瞬時に変換され、RAK Propertiesの口座に直接入金される仕組みとなる。
Hubpayのケビン・キルティCEOは次のようにコメントした。
今回の提携により、RAK Propertiesは仮想通貨で不動産を購入したいと考える新たなグローバルな買い手層を獲得できるようになる。
当社の規制準拠ソリューションは、高額取引のための信頼性とインフラを提供し、世界中のお客様にとって安全でコンプライアンスに準拠した決済プロセスを保証する。
ラス・アル・ハイマは、UAEの七つの首長国のうちの一つだ。北東部に位置しており、砂漠の他にも緑の平原と山岳地帯が広がっている。
RAK Propertiesは創業20周年を迎える不動産開発業者で、ウォーターフロントに、「ミナ」と呼ばれる住宅地を建設中。年末までに800戸以上の引き渡しが予定されている。
仮想通貨の導入を積極的に進めているUAEだが、不動産関係の事例としては、ドバイ土地局が5月に不動産トークン化投資プログラムを開始した。
最低2,000ディルハム(約8万円)からドバイの優良不動産プロジェクトのトークン化株式を購入できるもので、XRPレジャー上で構築されている。
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UAEは明確な規制環境などにより仮想通貨・ブロックチェーン企業を海外から引き寄せている。
一例として、ナスダック上場企業DeFi Technologiesは7月、UAEドバイのオフィス開設を発表した。子会社Valourと、上場投資信託(ETF)の発行企業Valour Digital Securities Limitedを通じてドバイ・マルチコモディティ・センターにトレーディングデスクを開設している。
主に機関投資家に、仮想通貨ETFを提供することを目指している。UAEでも機関投資家の資金がビットコインやイーサリアムの現物ETFに流入しつつあることが背景だ。
UAEの政府系ファンドであるムバダラも、ブラックロックによるビットコイン現物ETF「IBIT」の保有ポジションを拡大している。
ビットコイン現物ETFとは
実際にビットコインを購入し、そのビットコインを基にした信託(ETF)を株式市場で取引するもの。投資家は直接ビットコインを購入することなく、その価値に投資することが可能になる。さらにはデジタル通貨市場の成熟と認知度の向上が期待される。
DeFi Technologiesのチェイス・アーゲン取締役は、UAEの環境について次のようにコメントした。
UAEは、仮想通貨に対する明確な規制枠組みと先進的なアプローチで世界的にも際立っている。官民の有意義な連携が、現実世界のWeb3の普及につながっている数少ない国の一つだ。
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