
規制の整備が取引量を後押しか
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスは24日、アジア太平洋地域で暗号資産(仮想通貨)の普及が加速しているとのレポートを公開した。特に、日本が最も高い成長率を記録していると指摘する。XRPが人気であることも示した。
2025年6月までの12月か月間で、日本のオンチェーン取引額は前年比120%増加しており、インドネシア(103%)、韓国(100%)、インド(99%)、ベトナム(55%)を上回っていた。

出典:チェイナリシス
チェイナリシスは、成長の背景には、長期的に市場の成長を支える複数の政策動向があると指摘。投資手段としての仮想通貨の役割を踏まえた規制改革、税制の変更計画、円建てステーブルコイン発行者の認可などを挙げている。
日本の金融庁は、仮想通貨を現行の資金決済法ではなく、金融商品取引法(金商法)のみで規制することを検討しているところだ。業界や投資家からは、分離課税への移行や国内での仮想通貨ETF(上場投資信託)の解禁につながる可能性があるとして注目されている。
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また、金融庁は日本円建てステーブルコイン発行のライセンス制度を開始しており、JPYC株式会社が初の取得企業となった。
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チェイナリシスによると、2025年6月までの12か月間で、中央集権型取引所における日本円(JPY)を使った仮想通貨の購入は特にXRPに流入していることが特徴だ。
日本円によるXRPの購入額は217億ドル(約3兆円)、ビットコイン(BTC)が96億ドル(約1.4兆円)、イーサリアム(ETH)が40億ドル(約6,000億円)だった。チェイナリシスは、日本の投資家がリップル社とSBIホールディングスの戦略的提携を背景に、XRPの実用性に賭けている可能性が示唆されると分析した。
日本の他、インド、韓国、インドネシアの仮想通貨市場もすでに高い水準からの継続的な成長を続けているところだ。

出典:チェイナリシス
仮想通貨の受け取り額を見ると、アジア太平洋地域では、インドが3,380億ドル(約51兆円)で最大の市場である。同国の大規模な海外移住者層には国際送金ニーズがあり、若年層も仮想通貨取引を副収入として活用している。
チェイナリシスは、インドでは若い学生がブロックチェーンを試したり、仮想通貨を小規模な収入源として利用するコミュニティが存在しており、日常生活の草の根レベルでの普及が顕著だと指摘した。
アジア太平洋地域で2番目に大きな市場は韓国である。韓国ではステーブルコインの利用が急速に拡大している。BithumbやCoinoneなどの主要取引所は2023年12月からUSDT/KRWペアを追加しているが、この取引量は2025年初頭に50%以上増加した。
地域における市場規模は3位がベトナム、4位がインドネシア、5位が日本と続いている。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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