
XRPL基盤の決済プラットフォーム構築へ
SBI Ripple Asiaは9月30日、パートナー企業・団体ごとの独自トークンを中核とした新たな決済プラットフォームの構築に向け、東武鉄道グループの東武トップツアーズと基本合意書を締結したことを発表した。
独自トークンの発行に使用するのは、暗号資産(仮想通貨)XRPのブロックチェーン「XRPレジャー(XRPL)」。この新サービスのローンチは2026年上期を目指すという。
SBI Ripple Asiaは2016年設立。SBIホールディングスとリップル社が設立した合弁会社で、日本と韓国におけるブロックチェーンベースのソリューション利用と開発を促進し、国をまたいだ決済や他の金融サービスの革新を推進している。
東武トップツアーズは1955年創業。旅行業を基盤にして、法人・団体旅行や地域創生など幅広い分野で事業を展開している。
両社が基本合意した事業の目的は、決済用の独自トークンと様々な機能を搭載できるNFTを連携させ、パートナー企業・団体のファンエコノミー拡大を後押しすること。そして、新たな決済プラットフォームを共同で構築することである。
今回の協業でSBI Ripple Asiaは、XRPLを活用して独自トークンを発行し、パートナー企業・団体の顧客が宿泊、飲食、買物、サービスなどの支払いに利用できる仕組みを構築する役割を担う。
一方で東武トップツアーズは、パートナーの獲得や利用者・加盟店ネットワークの構築、NFTを活用したマーケティング施策の企画立案を担当する。
SBI Ripple Asiaは今回の契約を機に、ブロックチェーンを活用した新しいソリューションの開発・提供を通じて、地域や企業の新たな成長モデルの創出にさらに貢献できるよう取り組みを推進していくと述べている。
想定するユースケース
今回の発表では、新たな決済プラットフォームの想定されるユースケースとして、3つの事例を挙げた。
1つ目は「観光DX(デジタルトランスフォーメーション)と地域経済の活性化」。このユースケースでは、特定の観光地や商店街でのみ利用可能な独自トークンを発行して、旅行者がスムーズなキャッシュレス決済をできるようにする。地域にとっては、消費の喚起と域内経済循環を促進できるメリットがある。
その上で、独自トークンを利用した際に、NFTを「デジタルお土産」や「未来の宿泊割引券」として配布。こうすることで、旅行後も続く関係人口の創出に貢献するとした。
2つ目は「サステナブルな復興・被災地支援」。被災地の復興を目的とし、支援金を対象の地域でのみ利用可能な独自トークンとして提供するモデルを構築する。
このユースケースでは、支援金が他の地域へ流出せずに現地の加盟店で利用されるため、地域経済の再建に直接的に貢献することが可能。支援の透明性を確保し、息の長い復興支援を実現していくとした。
3つ目は「スポーツ・文化におけるファンエコノミーの拡大」。プロスポーツチーム、アーティスト、文化施設などが、ファンコミュニティで利用できる独自トークンを発行し、グッズ購入やイベントでの決済に利用できるようにするという。
また、NFTの会員証を持つファンに対して、独自トークンの利用額に応じた特別な体験を提供するなどし、ファンのエンゲージメントを最大化して、新たな収益源を創出するとした。
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