
仮想通貨マイニング恒久禁止の狙い
カナダのブリティッシュコロンビア州政府が人工知能データセンター向けの電力供給を制限し、新規の仮想通貨マイニングプロジェクトを恒久的に禁止する法案を提出した。ブルームバーグが21日に報じた。同州政府は鉱山や天然ガス施設など雇用と税収をより多く生む産業に送電網への接続を優先する方針だ。
州営電力会社BCハイドロは2026年初頭に2年間のプロジェクト募集を開始し、AI向けに300メガワット、データセンター向けに100メガワットを割り当てる。一方、鉱業、石油・ガス、製造業、林業、水素産業向けの産業用電力は上限を設けない。エイドリアン・ディックス州エネルギー相は記者会見で、同州がこれらの産業から大量の電力要求を受けていると述べた。
BC州は2022年に新規仮想通貨マイニングへの接続を一時停止し、2024年に延長していた。政府は今回、エネルギー消費が不均衡で経済的利益が限定的だとして恒久禁止に踏み切る。
米バージニア州やメリーランド州では電力集約型のAIデータセンターの増加が住民の電気料金を押し上げているという反面もあり、BC州は「新興セクターからの電力需要に対処する課題に直面した他の地域の多くが、料金負担者に大幅な値上げを課している」と指摘した。
BC州の方針は隣接するアルバータ州とは対照的だ。アルバータ州は今後5年間で1,000億カナダドルのデータセンター投資を誘致し、天然ガス資源を電力供給源として売り込んでいる。
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