
AI・HPC事業への需要が後押し
暗号資産(仮想通貨)マイニング企業の株価は、2025年初来でビットコイン(BTC)を上回るパフォーマンスを発揮している。ブルームバーグが18日の報道で指摘した。
例えば、上場マイニング企業を追跡するCoinShares Bitcoin Mining ETF(WGMI)は、年初来で150%(2.5倍)以上の上昇を示しているところだ。

出典:ブルームバーグ
このファンドに組み込まれている企業は現時点で、割合の多い順番で、アイリスエナジー、サイファーマイニング、ビットファームズ、ライオット・プラットフォームズ、アプライド・デジタルその他と続いている。
多くのマイニング企業が、昨年のビットコイン半減期以降、AI(人工知能)インフラを始めとするハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)へと事業を多角化しており、株価が好調な背景になっているとみられる。
半減期とは
ビットコインなど仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。ビットコインでは約4年ごとに訪れる。
ナスダック上場のアイリスエナジー(IREN)は4月、仮想通貨マイニング事業から軸足を転換し、AIデータセンターおよびAIクラウドサービス事業の構築に注力すると発表した。
ビットコインマイニング事業の拡張を一時停止し、マイニングによるキャッシュフローを、AIインフラ事業を成長させるために割り当てるとしている。
キャンター・フィッツジェラルドは最近、アイリスエナジーの目標株価を従来の49ドルから100ドルへと大幅に引き上げたところだ。同社が、ここ数か月でAIクラウドサービス部門に力を入れていることを評価した。
なお記事執筆時点では、アイリスエナジーの株価は61ドル付近で推移。過去1年では約540%上昇している。
サイファーマイニングは9月、AIクラウドプラットフォームのフルイドスタックと10年間のHPCコロケーション契約を発表した。テキサス州の施設で、168MW(メガワット)の電力をフルイドスタックに提供するものだ。
この契約には、グーグルも、フルイドスタックのリース債務を保証する形で関与している。グーグルの動きはAIインフラの需要と競争増加を背景にしたものとみられ、同社はテラウルフがフルイドスタックに施設を提供する契約についても、リース債務を保証している。
グーグルは、同時にサイファー・マイニングの株式5.4%、テラウルフの株式14%を取得ているところだ。
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また、ビットディアも、AI・HPC事業はマイニングを補完するものであり、それを置き換えるものではないとしつつ、米オハイオ州の570メガワットのマイニング施設などをAIデータセンターに転換する計画を発表した。
ニーダムは、HPC事業への取り組み刷新を背景にして、ビットディア(BTDR)の株価目標を従来の17ドルから30ドルまで引き上げている。現時点でビットディアの株価は24ドル付近で推移。過去一年で約180%上昇しているところだ。
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