はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ヴィタリック、ゼロ知識証明を10倍高速化する新技術「GKRプロトコル」を解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

新たな暗号技術を解説

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は19日、ブロックチェーンの検証を大幅に高速化する暗号技術「GKR」について解説するブログ記事を公開した。

GKR(Goldwasser-Kalai-Rothblum)プロトコルは、大規模で複雑な計算を効率的に処理するように設計されており、ゼロ知識証明(ZK)計算の高速化と低コスト化、スケーラビリティ強化を目的としている。

ブテリン氏は、GKRを使うと一般的なラップトップで毎秒200万回の計算を検証可能であり、わずか50枚の消費者向けレベルのグラフィックカードでイーサリアムのトランザクション全体を検証できると主張している。

GKRプロトコルの重要な構成要素は、サムチェック(sumcheck)と呼ばれる数学的手法で、大量の複雑な計算をランダムなポイントで実行される小さなチェックに分割し、作業を簡素化する。GKRはこれを再帰的に適用することで、すべての中間値を公開することなく計算の整合性の検証が可能になり、効率性とスケーラビリティが向上する。

GKRは、すべてのステップを順番に処理するのではなく、最終結果から逆方向に進み、各レイヤーで正しく計算されていることを段階的に確認するため、すべての計算を確認する必要はない。各段階でランダムなサンプルをチェックするだけだが、数学的原理から計算全体の正当性が保証される。

従来のZK-SNARKやSTARKでは証明の各ステップで「コミットメント」を行う必要があるが、GKRは、サムチェックのみを実行し、中間コミットメントを省略することができる。そのため、トランザクションの確認速度が向上するとともに、コスト削減にもつながる。

ブテリン氏は、Poseidon2ハッシュ関数の検証を例にとり、GKRの効率性のコストを試算。STARKでは約100倍のオーバーヘッドがかかるところ、GKRでは10倍から15倍という結果となった。ただし、他にも最適化の手段があると指摘し、一桁のオーバーヘッドでハッシュ証明が十分に可能になると同氏は主張している。

最適化されたイーサリアムを目指して

イーサリアム財団は7月末、次の10年に向けた構想として「Lean Ethereum」を発表した。モジュール性、ミニマリズム、セキュリティ重視を中心に、スリムで効率的なイーサリアムとして再設計する。

ブテリン氏は9月に大阪で開催されたイーサリアム開発者カンフェレンス「EDCON2025」で、イーサリアムの開発ロードマップを発表。短期的には拡張性やプライバシーの向上を優先し、中期的には相互運用性の向上を目指すが、長期的なビジョンとして「Lean Ethereum」を強調した。

そのビジョンにGKRは大きく貢献することになると見られる。

GKRプロトコル自体はプライバシーを直接提供するものではないが、ZK-SNARKやSTARKレイヤーと組み合わせることで、簡潔な証明検証能力を維持しつつ、プライバシーの確保も可能になる。このようなハイブリッドのアプローチにより、イーサリアム開発者は、速度や効率性を損なうことなく、スケーラブルでプライバシーにも配慮した検証を実装することができると期待されている。

イーサリアムのスケーリングソリューションの一つであるロールアップも、より効率的な証明の集約を可能にするGKRプロトコルによって、強化されると考えられている。トランザクションのバッチ検証に必要な計算負荷が軽減されることで、ファイナリティが高速化され、ノードの負担が軽減される。そしてガス料金の削減、アクセス性の向上にもつながる。

関連:新構想「リーン・イーサリアム」とは? 今後10年の開発目標=ETH財団

関連:ヴィタリック、イーサリアムの開発計画をプレゼン 大阪開催の「EDCON」に登壇

プライバシーの強化

イーサリアム財団は9月、プライバシーをオプション機能としてではなく、デフォルト標準とするという方針を発表した。プライバシーチームの名称を「イーサリアムのためのプライバシー・スチュワード」(Privacy Stewards for Ethereum、イーサリアムのプライバシー管理人)に改名し、イーサリアムの監視に対する脆弱性に対処するソリューションに取り組む。

この取り組みはブテリン氏が4月に、グローバル決済インフラとしてのイーサリアムの存続には、プライバシーが不可欠であると提唱したことを受けてのものだ。

ロードマップでは次のように警告している。

イーサリアムは世界の決済レイヤーになる道を進んでいるが、強力なプライバシー保護がなければ、世界の自由の基盤ではなく、グローバルな監視の基盤となってしまうリスクがある。

GKRプロトコルは、ZK証明の効率化により、プライバシー処理を低コスト・高速化し、このプライバシー強化の流れも支援することにつながる。また、スケーラビリティが向上することにより、大規模なプライバシーアプリも可能になると考えられている。

関連:アーサー・ヘイズらがイーサリアムの年末1万ドル予想を維持、大幅下落後も強気姿勢

WebX アンケートご協力のお願い
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11:15
メタマスク、予測市場取引機能を導入 ポリマーケットと連携しウォレット内で完結
メタマスクが12月4日、トラストウォレットが12月2日に予測市場機能を相次いで発表した。ユーザーは自己管理型ウォレット内で実世界のイベント結果を予測し仮想通貨で取引できるようになる。
10:45
SBI VCトレードとサッポロビール、黒ラベルTHE BARリニューアル記念でNFT配布キャンペーン開始
仮想通貨取引所SBI VCトレードとサッポロビールがWeb3技術を活用した実証実験を12月5日に開始した。黒ラベルTHE BARのリニューアルを記念し、応募者全員にNFTを配布。保有者は店舗で特別なビール体験が受けられる。
10:10
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、5週連続で資金流出 4200億円規模に
ブラックロックの仮想通貨ビットコイン現物ETF「IBIT」から5週連続で約4200億円が流出した。上場以来最長の流出超過を記録。同社の事業開発ディレクターは「正常な動き」と述べた。
09:30
米SEC、仮想通貨プライバシー円卓会議を来週開催 ジーキャッシュ創設者も参加
米証券取引委員会が金融監視とプライバシーをテーマにした円卓会議を12月15日に開催予定。ジーキャッシュ創設者ゾーコ・ウィルコックス氏を含む専門家がパネリストとして参加し、仮想通貨の匿名技術と監視措置について議論を行う。
08:35
トム・リーのビットマイン、今週約9.8万ETHを追加購入 総保有額1.8兆円相当
ビットマインは今週もETHの押し目買いを実施し9万7650イーサリアムを追加購入した。アーカムのデータによると、同社の総保有額は1.8兆円に達しETH総供給量の3.16%を占めている。
08:00
KLab、ビットコインと金を組み合わせた財務戦略を発表
KLabは、仮想通貨ビットコインと金を財務資産に組み込むデュアル・ゴールド・トレジャリー戦略を実施すると発表。同日発表した資金調達で得る約51億円のうち36億円を充当する。
07:35
ウィズダムツリー、欧州初の完全ステーキング型イーサリアムETPを上場
ウィズダムツリーが4日、Lidoプロトコル経由でミントされたstETHのみを保有する欧州初の完全ステーキング型イーサリアムETPを上場した。運用資産約5000万ドルでドイツ、スイス、フランス、オランダの取引所で取引が開始された。
06:30
ビットコイン保有企業の指数除外方針に反対、ストライブ社がMSCIに書簡
米ナスダック上場企業ストライブがMSCIに対し、ビットコイン保有企業を株式指数から除外する提案に反対する書簡を送付した。同社は7500BTC以上を保有する企業として、50%基準は不公平で実行不可能だと主張。
05:55
仮想通貨評価損不計上でフィスコとクシムに課徴金勧告 金融庁監視委が虚偽報告を指摘
証券取引等監視委員会が5日、フィスコとクシムに対し、仮想通貨の評価損を適切に計上せず有価証券報告書に虚偽記載を行ったとして、それぞれ1500万円と1200万円の課徴金納付を勧告した。
12/05 金曜日
19:26
テザー投資家が英政党に史上最高額寄付 改革党に18億円相当
ステーブルコイン発行会社テザーの投資家クリストファー・ハーボーン氏が英国改革党に900万ポンド(約18億円)を寄付し、存命個人からの政党寄付として史上最高額を記録。米国でもトランプ大統領が選挙期間中に仮想通貨業界から2600万ドル超を集めるなど、仮想通貨資金が英米両国の政治に影響力を持ち始めている。
18:40
Cloudflare障害でコインベースなど取引所が一時アクセス不能 11月に続き再発
12月5日夕方、Cloudflareの障害により、コインベースやクラーケンなど複数の仮想通貨取引所とDeFiプロトコルのユーザーインターフェースが一時的にアクセス不能に。11月18日に続く障害で、インフラ依存のリスクが再び浮き彫りとなった。
17:24
米上場AlphaTON Capital、約630億円調達へ TONトークン取得とAI投資
ナスダック上場のデジタル資産運用企業AlphaTON Capitalが、米SECに4億2069万ドル(約630億円)の資金調達枠を申請。TONトークンの追加取得とテレグラムのCocoon AIネットワークへの投資を計画。TONエコシステムへの機関投資加速が見込まれる。
14:30
チェーンリンク現物ETF、初日に64億円の流入で好調 ソラナETFからは最大流出
仮想通貨チェーンリンク現物ETFの取引初日に64億円が流入し好調な滑り出しとなった。一方ソラナ現物ETFからは過去最大の資金流出があった。
14:00
国際通貨基金(IMF)、ステーブルコインの規制断片化に警鐘 
国際通貨基金が今週、ステーブルコイン市場の評価報告書を公開し、各国の規制枠組みの断片化が金融安定性を脅かし監視を弱体化させ、国境を越えた決済の発展を遅らせていると警告した。
13:30
CZとピーター・シフが激論交わす、ビットコインvs金「どちらが真の価値保存手段か」
バイナンス創設者CZ氏と金支持派エコノミストのシフ氏が4日、ドバイでビットコイン対トークン化金の討論を実施。金塊の真贋確認場面が話題となり、検証可能性や価値保存機能をめぐり対照的な見解を示した。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧